あらすじ
第1巻
「薬谷完治」という日本人の薬剤師が、過労のために死亡した。目覚めた時、彼はまったく違う姿の、異世界人の少年になっていた。シャルロットと名乗るメイドの少女に聞くと、現在の彼はファルマ・ド・メディシスという、薬師見習いの貴族の子なのであるという。異世界で暮らしつつ、この世界における自分の能力、すなわち神術や診眼について把握していくファルマのもとに、ある日急報が届く。女帝のエリザベート二世の容体が急変したため、父親のブリュノ・ド・メディシスと共に治療に向かう事になったのだ。ファルマは「白死病」と呼ばれているエリザベート二世の病が結核である事を見抜き、薬を作ろうとするが、息子の様子がおかしい事に気づいたブリュノから、お前は何者なのかと問い詰められる事になる。
第2巻
ファルマ・ド・メディシスによる治療は奏功し、エリザベート二世は健康を取り戻した。彼女に気に入られたファルマは、自らの「この世界の人々を救いたい」という願いのもと、エリザベート二世の後援を受けて自分の店「異世界薬局」を開く。異世界薬局は最初のうちは閑古鳥が鳴いていたが、やがて客足もよくなり、化粧品なども取り扱うようになった。化粧品を気に入ってくれた貴族の女性のスポンサードを得たファルマは、化粧品を専門に扱う2号店をオープンする。
第3巻
ある日、海に遊びに行っていたファルマ・ド・メディシスは、水の事故を防ぐ目的で、「海水を消滅させる」という能力を使ってしまう。この能力はどうやらこの世界では忌むべきものであるらしい事に気づき、それについては口をつぐもうとするのだが、のちにこの「物質を消す能力」も医療に応用できる事がわかった。だが、異端審問官達にファルマが悪霊なのではないかという疑いをかけられ、ファルマはその襲撃を受ける事になる。ファルマがその力を示したところ、異端審問官達はファルマを逆に神であるとみなして膝をついたが、その中に一人、ファルマが示した力のために大ケガをした者がいた。こうしてファルマは前世を含めても自身にとって初めてとなる、人間への外科手術に挑戦する事となる。
登場人物・キャラクター
ファルマ・ド・メディシス (ふぁるまどめでぃしす)
薬師見習いの10歳の少年。「薬谷完治」という31歳の薬剤師が、死亡後に異世界に転生したのちの姿。もともとこの世界で生きていたファルマ・ド・メディシスは、雷に打たれた事をきっかけに完治と精神が入れ替わっている。そのためファルマとしての自我は、わずかな記憶以外には残っていない。超常的なまでの神術や、診眼の能力を持ち、のちに「異世界薬局」の主となる。
エレオノール
ファルマ・ド・メディシスの家庭教師をしている若い女性。ファルマからは「エレン」という愛称で呼ばれている。薬谷完治が転生した事に伴うファルマの変貌に最初に気づき、当初は恐れをなして距離を取ろうと考えていた。のちに事情を理解してからは、ファルマのよき理解者となる。
シャルロット
メディシス家に仕え、ファルマ・ド・メディシスの身の回りの世話をしているメイドの少女。普段は親しい者には「ロッテ」という愛称で呼ばれている。無邪気な性格で、甘いものが大好き。「異世界薬局」が開店して以降は、その手伝いをするようになった。
ブリュノ・ド・メディシス (ぶりゅのどめでぃしす)
ファルマ・ド・メディシスの父親であり、メディシス家の当主である中年男性。宮廷薬師として女帝のエリザベート二世に仕えている。世界そのものの医療水準が低い事もあり、異世界の知識を持つファルマには遠く及ばないものの、この世界においては最高クラスの能力を持った薬師である。現在のファルマが自分の息子ではない事を理解し、その正体は神ではないかと疑っている。
エリザベート二世
サン・フルーヴ帝国の若き女帝。「白死病」という不治の病に冒されていたが、ファルマ・ド・メディシスの異世界の医療知識と能力によって健康を取り戻した。以後、ファルマを強力にバックアップし、「異世界薬局」を裏から支援している。
場所
異世界薬局 (いせかいやっきょく)
エリザベート二世のバックアップのもと、ファルマ・ド・メディシスが経営している薬局。本来は異世界の言語で表現される名称であるのだが、それを日本語に訳すと「異世界薬局」もしくは「聖域薬局」という意味になる。のちに化粧品を取り扱う2号店もオープンする。
その他キーワード
神術 (しんじゅつ)
異世界において貴族階級だけが使う事のできる魔術の一種。いくつかの属性に分かれており、さらに「生成」と「減少」の二つに分けられ、さまざまな物質を生み出したり、減らしたりする事ができる。転生後のファルマ・ド・メディシスの能力は人間の域を逸脱した領域にあり、神の力ではないかともいわれている。
診眼 (しんがん)
ファルマ・ド・メディシスが転生後に使えるようになった固有の能力。人間の傷や病変が青く光って見え、治療が不可能である場合には赤く光る。また、ファルマが病名などを特定できた場合は光が白に変わる。そして、根治法がわかった時には光が消える。
クレジット
- 原作
-
高山 理図
- キャラクター原案
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keepout
書誌情報
異世界薬局 11巻 KADOKAWA〈MFC〉
第1巻
(2017-03-23発行、 978-4040691169)
第2巻
(2017-09-23発行、 978-4040694191)
第3巻
(2018-05-23発行、 978-4040698366)
第4巻
(2019-02-22発行、 978-4040653501)
第5巻
(2019-10-21発行、 978-4040640709)
第6巻
(2020-09-23発行、 978-4040647685)
第7巻
(2021-07-21発行、 978-4046805065)
第8巻
(2022-03-22発行、 978-4046812513)
第9巻
(2023-01-23発行、 978-4046821676)
第10巻
(2023-12-21発行、 978-4046831057)
第11巻
(2024-10-23発行、 978-4046839473)