あらすじ
暇を持て余した神様との出会い
天野弥白は自らの願いを叶えるため、街を見下ろす小高い丘の上にある、小さな寂れた神社にお百度参りを始める。その熱心な姿を神社に祀られている神様はたびたび目にするものの、人間の願いを叶えることにまったく興味はなく、そのまま放置していた。そんなある日、弥白はお百度参りを達成し、「幼なじみに告白したい」という願いを初めて口にする。するとヒマを持て余していた神様は、恋愛事ならば面白そうだと興味を抱き、告白に向かう弥白を追いかける。そして弥白が告白をしたい相手は、同性の七原ケンタだということが判明する。弥白はケンタに勇気を出して告白するが、その直後に運悪く事故に遭ってしまう。不憫に思った神様は、弥白を「天堂神楽」という名の少女に転生させ、ケンタとの関係が継続するように取り計らう。その代わりとして弥白は、神様と神使(しんし)の右近と行動を共にすることとなる。
弥白・ケンタ・鈴の三角関係
天野弥白は「天堂神楽」として転生したものの、女性としての生活になかなか慣れずにいた。弥白は七原ケンタと恋人同士になりたいと願いつつも、自分が女性になってからはどうアプローチしていいのか思い悩み、ケンタの前で挙動不審になってしまう。それでも弥白はケンタのため、ヘアアレンジやメイクを試行錯誤して綺麗になろうとしていた。そんな中、ケンタの元彼女の鳥居鈴が弥白に声をかけてくる。弥白が男性だった時、鈴に好意を寄せていた時期があったため、弥白は大いに戸惑う。しかし弥白は、以前気づかなかった鈴の豪快な性格を知り、彼女と急激に親しくなる。一方の鈴は、弥白がケンタと親しくしていると、嫉妬に似た感情を抱くようになる。そんな中、鈴は弥白に恋していることを自覚し、彼に告白をする。すると弥白は以前、ケンタに勇気を出して告白した時の自分を思い出し、うまく返事ができなかった。
秘密を打ち明ける弥白
天野弥白は今の姿である「天堂神楽」は、事故で亡くなった自分が転生した姿だと鳥居鈴に打ち明ける。最初は質の悪い冗談だと受け取った鈴だったが、弥白の真剣な表情を見て、信じざるを得なかった。すると鈴は弥白は事故で亡くなっておらず、現在入院中だと告げ、病院へと案内する。そこにはベッドに横たわった意識のない弥白がおり、まだ自分が生きていることに安堵する。弥白自身の見舞いのために、七原ケンタがたびたび病院を訪れていることを知った弥白は、ケンタに「天堂神楽」はもう一人の自分なのだと秘密を打ち明ける。しかし、ケンタは信じることができず、さらにそんな悪質な冗談を口にするなと激怒し、弥白との絶縁を宣言する。
すれ違う三人の恋心
ケンタと交際したいと思っている天野弥白、弥白は大切な存在ながらも恋愛対象ではない七原ケンタ、「天堂神楽」の容姿となった弥白に思いを寄せる鳥居鈴と、日を追うごとに三角関係は拗れていく。その状況をさらに楽しくしようと考えた神様は、「ケンタが神楽を心から好きになってキスしたら、弥白が元の男性の姿に戻る」というルールを作る。元の姿に戻ってほしいとの思いからケンタは弥白に、自分を心から惚れさせてほしいと依頼する。そして夏休みのある日、弥白はケンタを自室に招く。いい雰囲気になった二人だったが、弥白は自分をあくまで女性として抱こうとしているケンタに気づき、男性である自分が受け入れられているわけではないとショックを受ける。一方のケンタも、弥白を女性として扱うことしかできない自分に戸惑いを覚える。また弥白が男性に戻った時、彼の恋心を受け入れられるのかという迷いが生じる。そんな中、鈴は柏原由起彦から告白を受ける。鈴はいつかいなくなってしまう「天堂神楽」よりも、ほかの男性に目を向けた方がいいと理解しながらも、神楽の存在が頭から離れない。
ケンタの願い
七原ケンタは天野弥白が早く男性に戻ってほしいと思いつつも、同性の彼と恋愛関係になることは望んでいなかった。葛藤するケンタに神様は、ケンタの願いも叶えてやろうかと提案する。するとケンタは、「弥白が自分を好きにならないように阻止したい」と願う。神様はその願いを叶えるべく、1年前の夏にケンタをタイムリープさせる。そこでケンタは弥白が自らに恋心を抱く一因になった、暴れるイヌから弥白を守るという出来事の回避に成功させる。そしてケンタの願いどおり、弥白は彼に好意を抱くことはなく、さらに転校が原因で破局した元彼女とヨリを戻す姿を見届ける。しかし、弥白が元彼女と良好な関係を築いていく中、ケンタは言いようのない寂しさを覚える。
男性に戻った弥白と鈴の寂しさ
鳥居鈴は天野弥白にとっての幸せが男性の姿に戻り、七原ケンタに愛されることだと理解しつつも、「天堂神楽」への気持ちを吹っ切ることができないでいた。そして、最後まで悪あがきをしようと決意した鈴は弥白を呼び出し、女性同士だからできるデートを楽しむ。そして鈴は、すっきりとした気持ちで弥白とケンタを引き合わせ、その場を去っていく。一部始終を見ていた神様は、弥白を元の男性の体に戻し、神楽の存在を消滅させる。こうして男性に戻った弥白とケンタは両思いとなり、交際をスタートさせる。一方、やり場のない寂しさを覚える鈴は、以前アプローチをされていた柏原由起彦と偶然再会する。
恋が叶った弥白と焦るケンタ
天野弥白と恋人同士になった七原ケンタは、神様の力によってタイムリープした時にふられた記憶もあり、弥白のことを大切にしていた。そんなケンタに対して弥白は嬉しい気持ちを感じつつも、以前とは違う関係に戸惑っていた。しかし、弥白は嫌いで別れたわけではない元彼女との関係を断ち切り、さらに周囲にもケンタと交際していると堂々と宣言し、二人は絆を強くしていく。そして弥白とケンタがついに一線を越えようとしたところ、運悪くお互いの母親に見られてしまう。
神様の過去と弥白をえこひいきした理由
まだ人間になる前の神様は、同性に恋をしたものの叶わずに命を落とす。その後も何度か生まれ変わったが、結局は同じ魂の持ち主に恋をし、いずれも同性であったために叶わずに死ぬ運命を繰り返していた。輪廻転生の中で、神様は人間から祀られる立場になり、小さな神社を守ることになる。自分の恋は叶うことはないだろうとあきらめた神様のもとに、自分の血を引く七原ケンタに恋をする天野弥白がお百度参りにやって来る。
実写ドラマ
登場人物・キャラクター
天野 弥白 (あまの やしろ)
神様の神社がある街に住む男子高校生。年齢は17歳。幼なじみの七原ケンタに告白する勇気を得るため、神社にお百度参りしたことで神様に興味を抱かれる。自分の恋心をケンタに伝えた直後に事故に遭い、不憫に思った神様によって「天堂神楽」という名の少女として転生する。それからは、自分が天野弥白であることをひたすら隠し、一人の女子としてケンタに接近を試みる。それと同時に、ヒマを持て余した神様とその神使(しんし)の右近と共に、行動することになってしまう。ケンタに恋心を抱いているが男性が好きという訳ではなく、女性と交際した経験もあり、鳥居鈴に思いを寄せていた時期もある。
神様 (かみさま)
街を見下ろす小高い丘の上にある、小さな寂れた神社に祀られている神様。性別は男性。参拝客がほとんど訪れない中、お百度参りを達成した天野弥白の願いが恋愛がらみだったことを知り、彼に興味を持つようになる。願いを叶えた瞬間に事故に遭った弥白を不憫に思い、「天堂神楽」という名前の少女に転生させる。以降、神使(しんし)の右近と共に弥白を見守るようになる。見た目は美しく整ったミステリアスな雰囲気を漂わせた美男子だが、性格は軽薄でものぐさなところがある。いつもヒマを持て余しており、面白そうなことがあると首を突っ込みたがり、右近からそのたびに注意されている。基本的に人間に姿を認識されることはないが、弥白が神様の存在を他人に打ち明けると、その相手に姿が見えるようになる。
右近 (うこん)
神様の神使(しんし)を務める精霊。つねに神様と行動を共にしている。耳の大きなキツネで、性別はメス。神様が天野弥白を少女として転生させ、以降彼を見守ると言い出したことから、弥白とかかわりを持つようになる。ヘアアレンジやスキンケアなどの美容面で、弥白をサポートしている。また、ボーイズラブを好む腐女子気質で、男性の弥白と七原ケンタの絡みがあると、一気にテンションが上がる。神様の使いという立場ではあるものの、彼に対して容赦のない突っ込みを入れたり、苦言を呈したりと対等な立場を取っている。基本的に人間に姿を認識されることはないが、弥白が神様の存在を他人に打ち明けると、その相手に姿が見えるようになる。鳥居鈴からは「ブタウサギ」と呼ばれている。
七原 ケンタ (ななはら けんた)
天野弥白の幼なじみの男子高校生。年齢は17歳。弥白から恋愛感情を寄せられていたものの、告白を受けるまで気づいていなかった。弥白から気持ちを伝えられて戸惑っていた際に、目の前で彼が事故に遭ってしまう。弥白が神様の力によって、「天堂神楽」という名前の少女に転生したことは知らない。爽やかな顔立ちで優しく穏やかな性格なことから、女性から非常に人気がある。些細な言動から周囲の女性に気を持たせてしまうことも多く、弥白からは「スケコマシ」と評されている。恋愛対象は女性で女好きではあるものの、恋人ができても長続きしたことがない。
鳥居 鈴 (とりい りん)
天野弥白と同じクラスに在籍している女子高校生。年齢は17歳。弥白が「天堂神楽」として転生したことを知らず、声をかけたことで初めての女友達となる。また、弥白が七原ケンタと親しくしている姿を見て嫉妬し、弥白への恋心を自覚する。以降、弥白に対して積極的にアプローチをしている。弥白が女性に転生する前、彼から好意を寄せられていた時期がある。かわいらしい顔立ちながら、大胆で豪快な性格をしている。特に何も努力しなくてもモテるように思われがちだが、メイクや立ち居振る舞いなど男ウケすることをひそかに研究しており、弥白にアドバイスをすることも多い。ただし、恋人ができても長続きしたことがない。ケンタと交際していた時期もあるが、今は単なる友達としか見ていない。のちに弥白が神様によって転生したと知らされたことで、神様と神使(しんし)の右近を認識できるようになる。
柏原 由起彦 (かしはら ゆきひこ)
天野弥白とは別の高校に通う男子。鳥居鈴に片思いしている。友達に仲介を頼んで鈴と知り合いになったものの、初めての告白はあっさりふられてしまう。しかし、めげずに鈴にアプローチを続けていくうちに、少しずつ距離を縮めていく。明るく無邪気な性格で、デリカシーに欠けるところがある。しかし、そこが豪快な性格の鈴と気が合い、彼女からも気に入られている。過去に男性と交際したこともあり、好きになれば性別は気にしていない。
ハル
天野弥白たちが通う高校の通学路に住む高齢の女性。転生前の弥白に飼い犬のペロが襲い掛かってしまい、それを七原ケンタが助けたことで、弥白がケンタに恋心を抱くきっかけになった。ケンタと弥白の大ファンで、彼らが自宅近くを通ることを楽しみにしている。フリフリの派手な服を身につけ、庭で優雅にお茶を楽しむのを趣味にしている。