神様のバレー

神様のバレー

天才バレーボールアナリストと名高い阿月総一が、全日本男子バレーボールチームの監督に就任するため、万年一回戦敗退の私立幸大学園中学校のバレーボール部のコーチになり、全国制覇を目指す。「週刊漫画TIMES」で、2012年より連載された。

正式名称
神様のバレー
ふりがな
かみさまのばれー
原作者
渡辺 ツルヤ
作画
ジャンル
バレーボール
レーベル
芳文社コミックス(芳文社)
巻数
既刊35巻
関連商品
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作風

中学生によるバレーボールが主題となっているが、主役である阿月総一は選手ではなく、コーチとして指導する立場にある。選手たちは一人一人が阿月から明確な役割を与えられており、それを果たすことで勝利への道筋が開けるといったシーンが多くみられる。バレーボールにおける理論の構築が非常に巧みで、その1つ1つに説得力が感じられるところも大きな魅力となっている。

あらすじ

社会人バレーボールチーム、日村化成ガンマンズのアナリストである阿月総一は、ある日、試合を見にやって来た日村に賭けを持ち掛けられる。それは全日本男子バレーボールチームの監督の座を用意するかわりに、万年一回戦敗退の私立幸大学園中学校バレーボール部のコーチとなり、弱小チームを全国制覇に導くというものだった。阿月はこの条件を受け入れ、コーチに就任。さまざまなアイデアによって改革を行い、幸大バレーボール部を強豪チームへと、のし上がらせていく。

登場人物・キャラクター

阿月 総一 (あづき そういち)

社会人バレーボールチーム、日村化成ガンマンズのアナリストを務める青年。弱小チームを全国制覇に導いたら、全日本男子バレーボールチームの監督になれるという条件で、幸大学園中学校バレーボール部のコーチに就任する。傲岸不遜な天才戦術家で、自らの策に絶対の自信を持っており、神の一手と公言してはばからない。また、根性論などを真っ向から否定する冷徹なまでのリアリストでもあり、口は悪いが、自分なりの筋を通している。幸大の部員をミジンコと呼称しているものの、決して過大評価も過小評価もせず、活躍を見せた時は素直に賞賛する。彼の采配によって弱小校だった幸大学園中学校は強豪校を次々と撃破し、部員からは絶大な信頼を得ている。

木下 勇樹 (きのした ゆうき)

社会人バレーボールチーム、日村化成ガンマンズのアナリストの男性。阿月総一の部下。キノコ頭で太り気味の体格をしているため、阿月からは「キモ下」と呼ばれることもある。その一方で「いい仕事をする」と評し、阿月が裏の企みを明かすほど信頼する人物。得意の分析力で幸大学園中学校バレーボール部の指導をサポートする他、部員の怪我にいち早く気づくなど、鋭い観察眼で、部員たちからも慕われている。鷲野孝子に憧れを抱いており、のちに想いを寄せ合う関係になった。

鷲野 孝子 (わしの たかこ)

幸大学園中学校バレーボール部の監督を務める女性。かつてはプロのバレーボール選手だったが、怪我で引退し、今に至っている。部員からの信頼は篤いが、勝ち負けにこだわらない根性論が災いして、長らく一回戦負けを喫していた。新しく就任したコーチである阿月総一からは「ハゲワシ」と呼ばれることがある。阿月の不遜な振る舞いと提唱する戦術を、当初は快く思ってなかった。しかし、彼の作戦の数々が実を結び、やがて幸大バレーボール部が強豪チームと肩を並べられるようになると、彼の人格はともかく、能力には大きな信頼を寄せるようになる。また、彼に触発されることによって監督としての才能を一気に開花させ、幸大になくてはならない存在となる。

滝川 三秀 (たきがわ みつひで)

幸大学園中学校バレーボール部のキャプテンを務める男子。チームの要となるエーススパイカー。勝利への執念はすさまじいものがあり、特に因縁のある井川一樹と彼の率いる二小石中学校バレーボール部に対して、苛烈な敵愾心を燃やす。万年一回戦負けということもあり、全国制覇の夢を諦めかけていた。ところが、新人戦秋季県大会において阿月総一の采配によって二小石中を下したことで再び闘志に火が付き、より勝利に対して貪欲な姿勢を見せるようになる。家庭では「ミィ」と呼ばれており、三秀本人はそれを内緒にしていたが、偶然呼ばれているところを耳にした福井直樹と西浦雅人によって広められてしまい、部活においても「ミィ」と呼ばれるようになった。

福井 直樹 (ふくい なおき)

幸大学園中学校バレーボール部の副キャプテンを務める男子。頭脳明晰で、学校の成績は常に学年トップを維持しているが、スポーツでも一番になりたいという理由で、バレーボールに打ち込んでいる。その頭脳を活かし、阿月総一の企てる作戦の真意を素早く悟って実践する、といった役割を果たすことが多い。また、試合でもセッターとスパイカーの両方をこなし、幾度となくチームの勝利に貢献している。鷲野孝子に想いを寄せており、県大会では彼女を立てるために奮闘することもあった。

西浦 雅人 (にしうら まさと)

幸大学園中学校バレーボール部の部員で、唯一の1年生レギュラーの男子。小柄ながら阿月総一が逸材と評するほどのスタミナと筋力を誇り、それを生かした跳躍やスパイクを武器としている。阿月の指示で時間差攻撃用の踏み込みを練習し、二小石中との試合で真価を発揮。決勝点をもぎ取る活躍を見せた。おおらかな性格ながら目立つことを好んでおり、スーパーエースの意味をよく知らないまま、その語感だけで大いに気に入っていた。

倉木 大河 (くらき たいが)

幸大学園中学校バレーボール部の部員の男子。練習嫌いな性格や、滝川三秀や福井直樹が女子にモテることが気に入らない様子を見せるなど、不真面目なところがある。しかし試合においては相手を欺く技術に長けており、阿月総一の提唱する相手が嫌がる戦術とは相性が抜群。勘も鋭く、さまざまなフォーメーションに対応し、柔軟なプレイで相手チームを翻弄する。

伊藤 仁 (いとう ひとし)

幸大学園中学校バレーボール部の部員の男子。将棋の全国チャンピオンの肩書きを持つ。阿月総一からコートを将棋盤に見立てた戦術を伝授され、相手の動きを制限するフェイントをマスターする。薬丸中学校との試合では阿月すら唸らせる作戦を提唱し、幸大を見事勝利に導いた。

井川 一樹 (いがわ かずき)

二小石中学校バレーボール部のキャプテンを務める男子。滝川三秀とは小学校時代のチームメイトで、対抗意識を持っていた。彼が一回戦負けの常連だった幸大学園中学校に入学してからは見下すようになる。しかし彼との直接対決では阿月総一の策によって敗れ去り、それ以来、幸大学園中学校打倒にすべてをかけることになる。

片山 健 (かたやま けん)

歩木浜中学校バレーボール部の部員の男子。セッターを務める。一見礼儀正しいが、その実、相手を煽り立てることを得意としており、阿月総一からも注目されている。新人戦秋季県大会においても、相手の隙を突くプレーの数々を見せつけたが、幸大学園中学校との試合では阿月の策に対抗しきれずに、敗北した。

坂本 理一 (さかもと りいち)

薬丸中学校バレーボール部の要となる双子、坂本兄弟の兄。弟の坂本光二とともに、スタミナと反射神経、そして双子ならではの連携により、「県下最強の盾」と評されている。新人戦秋季県大会における幸大学園中学校との試合でも、粘り強さで相手を苦しめ続けたが、伊藤仁のフェイントに翻弄され、惜敗する。

武藤 恒明 (むとう つねあき)

寝川中学校バレーボール部のエースの男子。長身から繰り出すスパイクを武器としている。インテリ然とした外見に反して学業は苦手。また妄想癖があり、試合を戦争映画に見立てたり、唐突に俳句を詠むことで、自らを奮い立たせることもある。チームは自他ともに認める武藤恒明のワンマンチームで、新人戦秋季県大会における幸大学園中学校との試合では、自分一人で何とかしなければという気負いが敗因となった。しかし、この試合で打ち合った西浦雅人にライバル心を芽生えさせ、互いの成長につながる結果となった。そして全中の県大会では、スタミナをつけるとともに、精神的な成長も遂げていた。

上島 亮 (うえしま りょう)

幸大学園中学校バレーボール部の部員の男子。ポジションはリベロ。向上心の強い努力家で、新人戦秋季県大会への調整にあたっては、阿月総一の指示でひたすら強打レシーブの練習のみを重ねてきた。寝川中学校バレーボール部との試合においては、武藤恒明の渾身のスパイクを拾い続ける役割を担い、勝利に大きく貢献した。 坊山悟とは仲が良く、彼の悩みを聞いてフォローする場面も見られた。

坊山 悟 (ぼうやま さとる)

幸大学園中学校バレーボール部の部員の男子。仲間内からは「ボーさん」と呼ばれている。真面目な性格で、皮肉がほとんど通じない。阿月総一の提唱するIDバレーにおいては、その素直さが、数々の奇策に翻弄されて疑心暗鬼に陥った相手チームをかく乱する一助として機能している。反面、プレッシャーに弱く、その影響で調子を崩したこともある。 盛長緑子の偵察部隊として駆り出されることが多く、彼女を「奥様」と呼んで慕っている。

(もり)

幸大学園中学校バレーボール部の部員の男子。西浦雅人と同じ1年生で、彼とは異なり本来レギュラーではないが、新人戦秋季県大会における寝川中学校バレーボール部との試合ではスタメンとして出場。初スタメンの緊張もあって、ブロックもトスもぎこちなく、武藤恒明の猛攻を招いてしまう。しかし、武藤に仕掛けさせること自体が阿月総一の策略で、上島亮の活躍に触発されることで調子を上げていき、最後まで交代なしで戦い抜いた。

小池 (こいけ)

幸大学園中学校バレーボール部に所属していた3年生の男子。高身長だがお人好しで、言われたことに諾々と従ってしまう。一方、忙しいレギュラーに代わって、基礎を教えていたため、後輩たちからはレギュラー以上に慕われている。高橋とともに補欠に甘んじており、一度も公式戦の試合に出場していなかった。阿月総一により幸大改革のための人員として抜擢され、前年度の全中地区予選に出場し、勝利をもぎ取った。

高橋 (たかはし)

幸大学園中学校バレーボール部に所属していた3年生の男子。小柄で内気な性格だが、小池とともに後輩たちから強く慕われている。小池とともに補欠に甘んじており、そのことを仕方ないと思い続けていた。しかし、阿月総一のアドバイスによって、鬱屈した感情を抱いていたことに気づく。彼の提唱した練習メニューをこなすことで、小池とともに前年度の地区予選の中心選手として活躍した。

盛長 緑子 (もりなが みどりこ)

社会人バレーボールチーム、日村化成ガンマンズのアナリストの女性。かつては選手として活躍していた。口も性格も悪く、鷲野孝子が現役を引退する遠因となっているが、鷲野自身は自分のミスであり、彼女のせいではないと語っている。阿月総一に恋い焦がれており、大学生の頃から彼に付きまとっているが、阿月からは非常に嫌がられている。 しかし、アナリストとしての実力は確かなうえ、盛長グループの跡取りという立場にあるため、阿月からも重用されており、盛長緑子自身も喜んで利用されている。なお、幸大学園中学校バレーボール部のメンバーを引き連れて偵察に向かうこともあり、その際には「奥様」と呼ばれている。

日村 (ひむら)

日村化成の会長。日村化成ガンマンズの創始者でもある老年の男性。30歳の頃に観戦したミュンヘン・オリンピックのバレーボール準決勝で、ブルガリア相手に見事な逆転劇を決めたことに感動し、その再現を夢見てバレーボール部を設立した。のちに、ガンマンズが快進撃の立役者となった阿月総一に注目し、彼に幸大学園中学校バレーボール部のコーチを任せ、全国制覇を成し遂げた暁には、全日本の監督の椅子を用意する、という内容の賭けを持ち掛けた。

滝川 玲子 (たきがわ れいこ)

滝川三秀(ミィ)、滝川一樹、滝川賢二郎の姉。家族全員がバレーボールを経験しており、滝川玲子自身も、学生時代は選手として活躍していた。選手としての現役が三秀だけになったため、家族からの期待が大きくなっていることを察しているが、そのプレッシャーに潰されないよう助言するなどの気遣いを見せる。しかし、福井直樹と西浦雅人の前で、家族のあだ名である「ミィ」を口にしたことで、そのあだ名が学園でも浸透するきっかけとなってしまう。

滝川 一樹 (たきがわ かずき)

滝川三秀、滝川賢二郎の兄で、滝川玲子の弟。家族全員がバレーボールを経験しており、かつて二小石中学校バレーボール部に所属していた。滝川一樹が所属して以来、新人戦秋季県大会では二小石中が毎年優勝していたが、その連勝記録を三秀が所属する幸大学園中学校バレーボール部が破ったことに驚くとともに、姉弟とともに彼の勝利を労った。

滝川 賢二郎 (たきがわ けんじろう)

滝川三秀の兄で、滝川玲子、滝川一樹の弟で大学生。家族全員がバレーボールを経験しており、かつて二小石中学校バレーボール部に所属していた。家族ぐるみで三秀の応援をしているが、彼の所属する幸大学園中学校バレーボール部と、母校である二子石中学校バレーボール部のどちらも応援したいという気持ちを抱いている。

シゲ

二小石中学校バレーボール部の監督を務める青年。気さくな性格の持ち主で、合田からは「シゲちゃん」、部員たちからは「シゲちゃん監督」と呼ばれて親しまれている。しかし、試合においては厳しい面を見せ、幸大学園中学校バレーボール部に敗北してからは、阿月総一の戦術家としての資質を認めるとともに、彼らの弱点を探るための策を巡らせていく。 なお、祖先は陰陽師だったらしく、全中予選の関東大会におけるトーナメントの対戦相手を決めるくじ引きをするにあたって、神がかった念を披露しようとしたが、思うような結果にはならなかった。

合田 (ごうだ)

二小石中学校バレーボール部のコーチを務める男性。シゲからは「ゴウちゃん」と呼ばれている。シゲ同様親しみやすい性格で、観察眼も確か。さらに、幸大学園中学校バレーボール部に敗れてからは、彼らがダークホースになると確信し、その特徴を少しでも摑むために合宿を主宰する、といった老獪な面も持ち合わせている。

よっちゃん

歩木浜中学校バレーボール部の部員の男子。片山健からは「よっちゃん」と呼ばれているが、本名は作中で明かされていない。小柄で目立った特徴を持たないように見えるが、片山同様、相手のペースをかき乱す点に長ける。そのため、片山の思考を読むこともでき、彼からの信頼を得ている。

設楽 香 (したら かおり)

歩木浜中学校バレーボール部の監督を務める女性。美人でスタイルが良く、他校の監督などからも好感を抱かれている。また、片山健を始め、部員とも確かな信頼関係を築いている。しかし内心では強い野心を抱いており、勝利のためなら手段を選ばない面がある。策士として数段上をいく阿月総一にやりこめられてしまっており、それ以来、彼と幸大学園中学校バレーボール部を強く敵視している。

坂本 光二 (さかもと こうじ)

薬丸中学校バレーボール部の要となる双子、坂本兄弟の弟。リベロを担当しており、ボールを拾う能力に関しては、県下で右に出る者はいないとされている。兄の坂本理一同様、子供っぽい性格で、練習などでは軽薄な態度をたびたびとる。しかし、コートの上ではクレバーで、どの場面でも決して手を抜くことはない。

松平 光国 (まつだいら みつくに)

薬丸中学校バレーボール部の監督を務める老年の男性。穏やかな性格で、教え子たちからは「松爺」と呼ばれ、友人感覚で親しまれている。一方で「東の闘将」というあだ名を冠する名監督で、彼の指導によって薬丸中学校は、全中の全国大会に出場したこともある。このため、シゲからは強く尊敬され、阿月総一も彼に一目置いているなど、他校から大きな注目を浴びている。

仁木 (にき)

薬丸中学校バレーボール部に、コーチとして新しく赴任して来た男性。松平光国のかつての教え子で、彼をとても尊敬している。指導は的確で、坂本理一を始めとした部員からは「アニキ」と呼ばれて頼られている。仁木自身も、部員の活躍を期待はしているが、彼らの軽い雰囲気にはいい思いを抱いていない。また、それ以上に、彼らの松平に対する態度に不満を持っており、怒鳴りつけることもある。 なお、半田学園中学校バレーボール部の沖山春男は同じ大学の先輩で、彼からはニッキーと呼ばれている。

井上 祥子 (いのうえ しょうこ)

寝川中学校バレーボール部のマネージャーの女子。素直で明るく、強気な性格をしており、度々選手たちにはっぱをかけている。武藤恒明は井上祥子に惚れられているという脳内設定を作り上げ、それがモチベーションの一因になっている。祥子自身はそれに気づいておらず、現在は幸大学園中学校バレーボール部の福井直樹が気になっている様子。

平山 武志 (ひらやま たけし)

寝川中学校バレーボール部の監督を務める青年。阿月総一とは同い年で、中学時代、バレーボールの試合で彼に完膚なきまでに敗北した。それにより、恐怖と憤りを覚えている。そのため、新人戦秋季県大会において幸大学園中学校と対戦した時は、軽く取り乱す様子を見せたが、この敗北を経て部員との結束をより強めることとなり、選手と一丸になって打倒幸大に向けて決意を改める。

河野 雄馬 (こうの ゆうま)

半田学園中学校バレーボール部の部員の男子。中学生でありながら190cmの長身で、ポジションはスパイカーを務めている。特撮作品が好きで、自分のスパイクをユウマサンダーと名付けている。普段は明るく、チームのムードメーカーとして機能している。一方で繊細な面を持ち、内心では、自分のせいでチームメートが叱られるのを恐れていることがしばしばある。 かつて坂本理一らに敗れており、彼らを見返すことを目標の1つとしている。また、幸大学園中学校バレーボール部の西浦雅人のことも、同じスパイカーとして注目している。

佐藤 公春 (さとう きみはる)

半田学園中学校バレーボール部の部員の男子。セッターを務めている。小柄でおとなしそうな外見をしているが、トスを上げるのが非常に上手く、滝川三秀が見惚れるほど隙のない上げ方を見せる。河野雄馬が全力でスパイクを打つために、なくてはならない存在となっており、互いに深く信頼し合っている。また、優れた戦術眼を持っており、幸大学園中学校バレーボール部が、攻めに幅を持たせるため選手同士のポジションを変えて練習していた際には、すぐさまそれを見抜き、岩藤公明らに報告していた。

岩藤 公明 (いわどう きみあき)

半田学園中学校バレーボール部の監督を務める男性。部員の成長を促すため、スパルタ教育に徹している。檄の飛ばし方が上手く、その手腕は阿月総一や鷲野孝子も感心するほど。河野雄馬と佐藤公春には特に期待をかけており、彼らに恐れられることを承知のうえで、厳しい指導をしている。一方、鷲野と話してみたいという理由で、幸大学園中学校バレーボール部に練習試合の申し込みを自ら行うなど、ミーハーな一面も見られる。

沖山 春男 (おきやま はるお)

半田学園中学校バレーボール部のコーチを務める青年。岩藤公明をとても尊敬しており、彼のためにもチームをさらに強くしたいと願っている。しかし、岩藤と対照的に、教え子たちに甘い面がある。それが彼らの精神的な成長を妨げていることに気づくと、あえて岩藤の厳しい教えについていかせようと、練習の場を離れたこともあった。なお、薬丸中学校バレーボール部のコーチである仁木は同じ大学の後輩で、彼からは「オッキーさん」と呼ばれている。

集団・組織

日村化成ガンマンズ (ひむらかせいがんまんず)

社会人バレーボールチーム。阿月総一がアナリストとして在籍していた。かつては中堅レベルのチームだったが、阿月の提唱する作戦の数々によって、他のチームを圧倒するようになり、現在は社会人リーグのトップを独走している。選手たちは阿月を信頼しているが、監督は阿月を嫌っており、何かと突っかかっているが、相手にされていない。

二小石中学校バレーボール部 (ふたこいしちゅうがっこうばれーぼーるぶ)

二小石中学校のバレーボール部。シゲが監督を務めている、東地区トップの強豪チーム。かつて滝川三秀の兄である滝川一樹と、滝川賢二郎が所属しており、長らくトップの座を維持し続けてきた。また、三秀と因縁のある井川一樹がキャプテンを務めており、先代の全中地区予選県大会では幸大学園中学校バレーボール部と対戦し、勝利を収めた。 そのため、幸大学園からは倒さなければならない相手と、長らく認識されていた。しかし、その後の新人戦秋季県大会と選抜大会において相次いで幸大学園に敗れたため、逆に二子石中学校バレーボール部が幸大を追う側となってしまう。

歩木浜中学校バレーボール部 (あるきはまちゅうがっこうばれーぼーるぶ)

歩木浜中学校のバレーボール部。設楽香が監督を務めている。目立った実績がなかったが、阿月総一からは早い段階から注目されていた。監督である設楽と、キャプテンである片山健が揃って腹黒く、搦手を好む。また、設楽が阿月から聞き出した戦術を取り入れたため、選抜大会では阿月率いる幸大学園中学校バレーボール部を降し、見事優勝を果たす。 しかしこれは、全中地区予選県大会に向けて阿月が打った布石に過ぎなかったことが、のちに発覚する。

薬丸中学校バレーボール部 (やくまるちゅうがっこうばれーぼーるぶ)

薬丸中学校のバレーボール部。松平光国が監督を務めている。全中の全国大会に出場した経験を持ち、部員たちのレベルも非常に高い。現在は坂本理一と坂本光次の兄弟が中心となっており、県内最強の守りを誇っているとされる。また、昨年の全中関東大会では、東京最強といわれる半田学園中学校バレーボール部を降しているなど、県外からも注目されている。

寝川中学校バレーボール部 (ねかわちゅうがっこうばれーぼーるぶ)

寝川中学校のバレーボール部。平山武志が監督を務めている。エースである武藤恒明を軸としたワンマンチームで、彼にボールを集めて攻める正攻法を得意としている。新人戦秋季県大会では、決勝において幸大学園中学校バレーボール部と対決。他校による前評判では五分五分の予想がなされていたが、阿月総一が事前にレシーブの練習を仕込んでいた上島亮の活躍によって敗れ去る。

半田学園中学校バレーボール部 (はんだがくえんちゅうがっこうばれーぼーるぶ)

半田学園中学校のバレーボール部。東京都の強豪で、岩藤公明が監督を務めている。昨年の全中関東大会では、薬丸中学校バレーボール部と対戦したが、河野雄馬の心理的な弱点を突かれて調子を崩し、敗れてしまっている。このため、精神的な甘さをなくすとして、岩藤は厳しい指導を部員たちに課している。その結果、練習試合では薬丸を降した幸大学園中学校バレーボール部を相手に、一歩も引かない戦いを繰り広げた。

場所

幸大学園中学校バレーボール部 (こうだいがくえんちゅうがっこうばれーぼーるぶ)

幸大学園中学校のバレーボール部。元社会人バレーボール選手であった鷲野孝子が、監督を務めている。選手個人の技量は決して低くなかったが、戦術面が乏しかったため、長らく一回戦負けが続いていた。しかし、阿月総一がコーチに着任してからは、一転して強豪校として名を馳せた。滝川三秀がキャプテンの代では、新人戦秋季県大会、および全中地区予選県大会と、2度にわたって大会を制覇し、他校からの注目を集めている。

その他キーワード

研究ノート (けんきゅうのーと)

鷲野孝子が書き綴っているノート。主に試合の記録や、選手一人一人の成長などについて記載されているが、阿月総一の発言についても、余すことなく網羅されている。全中関東大会では鷲野が阿月から全権を任されており、鷲野はこのノートをもとに阿月のIDバレーを参考にした戦術を駆使し、順当に勝ち進んでいる。

IDバレー

阿月総一が提唱する、バレーボール戦術のスタイル。相手チームを攻略するにあたって、いかに相手の嫌がることを行うかを念頭に置き、相手の心理をうまく誘導し、自分のチームに有利な状況に持っていくことを目指す。阿月は、日本のバレーボールは正直すぎるという意識を持っており、これを改革して世界に通じる強豪に並ぶことを目標の1つとしている。

ユウマサンダー

河野雄馬が使用する必殺技。特撮作品を好む河野が自ら命名した。彼が言うには「自然界にあるプラズマエネルギーを手のひらに集中させ、それを一気にボールに放出させる」とのことだが、要は渾身のスパイクである。しかしその威力は非常に高く、目撃した西浦雅人に衝撃を与えてしまう。その結果、西浦は河野の知らないところで長きにわたってこだわりを抱くようになり、ユウマサンダーを打つためとして、特訓を重ねることになってしまった。

新人戦秋季県大会 (しんじんせんしゅうきけんたいかい)

中学校の3年生が引退し、引き継がれた2年生のチームが初めて出場する公式大会。大会名通り秋季に開催され、東西南北の区で行われる地区予選で3位までに入ったチームが出場できる。幸大学園中学校バレーボール部は、地区予選決勝で二小石中学校バレーボール部を破ったことで、東地区1位としてこの大会に出場。優勝候補の一角に数えられている。

選抜大会 (せんばつたいかい)

冬に開催されるバレーボール大会の1つ。秋までの大会で優秀な成績を収めた中学校に、参加権が与えられる大会。幸大学園中学校バレーボール部も、新人戦秋季県大会に優勝したために招かれている。阿月総一はこの大会を全中に向けた布石として利用しており、優勝こそ逃したものの、他校の情報収集などの目的を達成している。

全中 (ぜんちゅう)

夏に開催される中学校バレーボール部による全国大会。県大会、関東大会、本戦の3つに分かれており、それぞれ4位以内に入賞したチームが、上位の大会に出場することができる。幸大学園中学校バレーボール部は、この大会において全国制覇を狙っており、開催の1年近く前から、それを踏まえた練習と情報収集に乗り出している。

クレジット

書誌情報

神様のバレー 35巻 芳文社〈芳文社コミックス〉

第1巻

(2013-06-15発行、 978-4832233591)

第29巻

(2022-08-16発行、 978-4832239364)

第30巻

(2022-12-15発行、 978-4832239593)

第31巻

(2023-04-14発行、 978-4832239852)

第32巻

(2023-08-16発行、 978-4832203198)

第33巻

(2023-12-14発行、 978-4832203501)

第34巻

(2024-04-16発行、 978-4832203891)

第35巻

(2024-08-16発行、 978-4832204256)

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