競輪王ゼロ

競輪王ゼロ

過去に栄光を掴んだものの、現在は落ちぶれてしまった1人の競輪選手が、再起する過程を描く。作中では競輪に対する基礎知識が詳しく説明され、競輪を知らなくても楽しめる内容になっている。「週刊漫画ゴラク」に連載された作品。

正式名称
競輪王ゼロ
ふりがな
けいりんおうぜろ
作者
ジャンル
ギャンブル・賭博
関連商品
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概要・あらすじ

競輪選手の鞍馬鈴時は、若手時代にタイトルを獲得したタイトルホルダー。ところが、愛した女性の悦子の死を契機に、酒に逃げるようになってしまい、現在は完全に落ちつぶれた「なまくら」と化していた。しかし、悦子が残した一人娘のことりは、そんな鈴時をただ1人信じ続け、鈴時が「競輪王」になると信じて疑わずにいた。

そんなことりの姿に奮起した鈴時は、再び栄光を掴むために努力することを誓う。こうして、鈴時とことりの二人三脚による、「競輪王」を目指す物語が幕を開ける。

登場人物・キャラクター

鞍馬 鈴時 (くらま れいじ)

競輪界の未来を嘱望された競輪選手の男性。過去に、激しい雄たけびと、一度先行したら誰も追いつけないバリバリの先行逃げ切りスタイルで、「野獣先行」の異名を持つ。ルーキーの頃にはタイトルも獲得したが、愛していた悦子を亡くしたショックにより、完全に落ちぶれてしまった。現在は「なまくら」と呼ばれ、蔑まれている。

ことり

悦子の娘。実の父親とは1歳の時に死別し、8歳の誕生日には母親の悦子を亡くした。しかし、それを悲しむことはなく「母と同じ気持ちになりたい」という思いで、幼いながらも、競輪のレースをしっかりチェックするほどの競輪女子になっている。鞍馬鈴時が再び全盛期のような走りを取り戻し、歴史に残る「競輪王」となることを信じている。

悦子 (えつこ)

ことりの母親。鞍馬鈴時より6つ年上で、鈴時の行きつけの定食屋で働いていた。鈴時と知り合った時点ですでに夫を亡くし、シングルマザーとなっていた。出会った当初から鈴時を笑顔で支え続け、鈴時がタイトルホルダーになった、何よりの原動力となっていた。ことりが8歳の時、ことりの誕生日プレゼントを買いに行った際に、事故に巻き込まれ死亡した。

野辺 (のべ)

全盛期の鞍馬鈴時を知る競輪選手の男性。当時の彼と自分の走りを比べて「地味な走り」と自嘲してはいるが、堅実な走りが売りの選手。落ちぶれてしまった鈴時を見捨てる選手が多いなか、ただ1人選手鈴時の味方となっていた。誰もが鈴時とラインを組むのを拒むなか、共に走っていたが、最終的には鈴時を見放してしまう。

志賀 樹子 (しが きこ)

新聞記者の女性。プロ野球から競輪担当になった。「ガハハハ」という豪快な笑い方をする人物。鞍馬鈴時に胸を偶然揉まれてしまった時も豪快に笑い飛ばし、咎めることはしない大らかな性格。

木嶋 聖夢 (きじま せいむ)

徹底先行を得意とするゴールデンルーキー。東京出身者としては久しぶりである。その輝きは鞍馬鈴時の全盛期を彷彿とさせるもので、周りの記者からはかなり期待されている男性。元々、全盛期の鈴時の走りに憧れて競輪界に入ったのだが、現在ではすっかり落ちぶれてしまった鈴時に、軽蔑の眼差しを向けている。

社長 (しゃちょう)

競輪ファンの男性。競輪場に現われては、ことりと共にレースを観戦する。競輪を見る目は一般人より肥えている。鞍馬鈴時のことを「なまくら」と呼び、二度と全盛期のような走りはできないと考えていた。ことりと鈴時の関係性を知った後は、有り金をすべて鈴時につぎ込もうとするほど情に厚い人物。

ジェームス

社長の友人の男性。「ジェームス」と呼ばれているが、これはニックネームで本名は不明。車券を買う際は、どんな事情があるにせよ、「勝つ」選手を選ぶ。情に流されないタイプ。

津金 祥平 (つがね しょうへい)

鞍馬鈴時の競輪学校の同期生。一度食いついたら離れない「スッポンマーク」を武器としている競輪選手の男性。普段は明るく振る舞っているが、妻が重い病気を患っているうえに、3人の子供を養わなければいけない状況にある。精神的に追い込まれているため、現在の戦績はあまりよくない。

津金 祥一 (つがね しょういち)

津金祥平の長男。祥平を誰よりも熱烈に応援している。父親が優勝することを信じて疑わず、レースでの優勝を約束させたり、そのためにタバコを禁止させたりしていた。父親の走りに感化されたのか、将来の夢は競輪選手。

平家 力丸 (へいけ りきまる)

トップレベルの競輪選手。わずか9名だけに与えられる「SS」の称号を持つ。奈良の79期で、現在35歳のベテランの男性。レース場で一度もガッツポーズをしたことがないほどの堅物で、「求道者」の異名を持つ。アピールポイントは、超一流の先行力。

山田 桃太郎 (やまだ ももたろう)

トップレベルの競輪選手。わずか9名だけに与えられる「SS」の称号を持つ。競輪界ナンバーワンの豪脚と高い持久力を誇り、「先行ダイナマイト」の異名を持つ男性。強者と戦うことを楽しみとする好戦的な性格で、弱者にはあまり興味を示さない。所属は岡山で、年齢は24歳と若手。

小粒 一雄 (こつぶ かずお)

トップレベルの競輪選手。わずか9名だけに与えられる「SS」の称号を持つ。地味なスタイルながら、いつの間にかゴール前にいるという自在型の選手で、「不思議なジミー」の異名を持つ男性。レース運びが非常に巧く、一瞬の隙も見逃さない、その天才的な位置取りは競輪界随一。所属は青森で、年齢は32歳。

仙波 健 (せんば けん)

「SS」のグランプリ覇者の競輪選手。ゴール前での勝機は逃さない、「サスペンスゴールハンター」の異名を持つ男性。ゴール前で相手と小競り合いになった際に効果を発揮する「エルボーハング」の使い手でもあり、したたかに1着を狙うレース運びも持ち味の1つ。競輪王国である九州に所属し、年齢は33歳。

茶釜 猛 (ちゃがま たけし)

トップレベルの競輪選手。わずか9名だけに与えられる「SS」の称号を持つ。「一番星」の異名を持つ男性。自分の獲得賞金を自慢して相手を馬鹿にしたり、レース中に相手を煽るような発言をするなど、少々性格に難がある。一方でアマチュア時代から日本を代表する自転車界のエリートで、結果もしっかりと出すことから、ファンからの絶大な人気を誇る。 所属は栃木で、年齢は32歳。

白羽 龍昇 (しろは りゅうしょう)

トップレベルの競輪選手。わずか9名だけに与えられる「SS」の称号を持つ。「マッハドラゴン」の異名を持つ男性。戦法は自在だが、特にまくりにおいて天才的な才能を発揮し、過去に2つのビッグタイトルを獲っている。競輪学校時代は鞍馬鈴時と同期の90期で、当時から成績はナンバーワン。生徒会長を務め、ライバルですら「友」と呼ぶほどの人格者でもある。 所属は三重で、年齢は28歳。

立花 嵐 (たちばな あらし)

埼玉所属の22歳の競輪選手。破格のスピードと後半も衰えない持久力、さらに巧みなスピードコントロールを可能にする器用さを併せ持つ万能選手の男性。その桁違いの才能はSS選手も一目置くほど。先行を得意とした伝説の競輪選手を父親に持ち、「超新星」の異名を持つ。

信玄 直也 (しんげん なおや)

40歳のベテラン競輪選手の男性。練習中の交通事故が原因で、長期欠場していた。現在は復帰第一戦に向けて入念な練習を積んでおり、平家力丸と、自ら練習相手として指名した鞍馬鈴時を加えたメンバーで、共にバンクを走っている。

南古谷 (みなみふるや)

ことりの担任の先生。ことりから競輪を教えてもらい興味を持った。ことりのことは「競輪の先生」と評し、ことりが定食屋「こえど」で主催する競輪教室には、生徒として優斗と共に時々顔を出している。

優斗 (ゆうと)

ことりのクラスメイトの男子生徒。クラスで孤立していることりのことを「ケイリン女」と呼んでいるが、何かと気にかけている。鞍馬鈴時の走りを見て、「カッコいい」と思ったことをきっかけに、競輪に興味を持つようになった。ことりと共に、鈴時の出るレースを見るようになる。

場所

チルドレン

鞍馬鈴時が過去に行きつけにしていた飲み屋。現在は落ちぶれていることもあり、店員の、ゆうことなすびに馬鹿にされるので、鈴時には苦手な場所となっている。しばらく足が遠のいていたが、ことりに言われるがまま連れて行かれたことで、再び訪れるようになった。バーカウンターには、被ると幸運が訪れるという幸運のマスクが置いてある。

こえど

鞍馬鈴時と悦子が出会った定食屋。定食屋を切り盛りしている夫婦は、2人に対して自分の子供のように接している。こえどの夫婦は、鈴時が地元開催のレースに出場する時は、ことりと共にレース場に見に行き、毎回100円だけ賭けている。

その他キーワード

キャッチ&キル (きゃっちあんどきる)

鞍馬鈴時が、ことりとの特訓で身につけた必殺走行。急加速で相手選手をキャッチした後、前でもがいている選手の後ろで脚を休め、最後に先行している選手を上回る脚力をもって、トップスピードで一気に抜き去る技。

エルボーハング

SSグランプリ覇者の仙波健が得意とする技。ゴール前で小競り合いになった際、相手の肘に自分の頭を入れることで肘の可動域を限定し、腕を伸ばせなくする。この技をかけられた相手は、ハンドルを伸ばすことができず、ゴール前での小競り合いが不利になってしまう。

幸運のマスク (こううんのますく)

チルドレンに飾ってあるプロレスのマスク。被ると、その名のとおり幸運をつかむことができる。その例として、瀕死のガン宣告を受けた画家がガンを克服したり、オカマが大出世するなどの実績がある。一方で人を選ぶマスクでもあり、下手な願い事をすると、悲惨な結果が訪れることとなる。

競輪王 (けいりんおう)

悦子が、生前しきりに鞍馬鈴時に言っていた言葉。現在の鈴時の目標となっている。しかし、競輪というスポーツの性質上、何をもって「王」と定義するのかは難しく、その正しい解釈は、他界した悦子のみが知る。ことりも鈴時も、その実態をわかりかねている。

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