世界観
風早橋学院のお茶会同好会の部長を務める吉岡奈子。彼女の平凡な日常に、紅茶の国から主人の願いを叶えるためにやって来た紅茶王子たちが加わり、それまでの学校生活が一変する。友人や家族、先生や先輩、他校の生徒に至るまで、奈子がさまざまな人々と関わり、次第に1人の男性に惹かれていく姿が描かれている。また、物語は文化祭や体育祭、部活の新入部員勧誘など、さまざまな学校行事を主軸に進められ、紅茶王子たちとの忙しくもにぎやかな学校生活が、色鮮やかに描かれている。
あらすじ
来月に迫った文化祭のミーティングを行うという名目で、深夜に学校の屋上に集まった風早橋学院中等部、お茶会同好会の吉岡奈子、染谷雪子(そめこ)、内山美佳の3人。そめこに促されるまま、雑誌に載っていた方法で、紅茶を使ったおまじないを行ってみたところ、カップの中から小さな紅茶の精である「紅茶王子」のアッサムとアールグレイが現れる。紅茶王子たちは、自分たちを呼び出した主人の願いを3つ叶えるまで紅茶の国には帰れないという。突然の出来事に動揺を隠せない3人だったが、何を願い事にするのかなど悩みながらも、紅茶王子たちとともにさまざまなトラブルを乗り越え、次第に彼らの存在がかけがえのないものになっていく。
関連商品
山田南平画集 Quality Seasons
山田南平初の画集『山田南平画集 Quality Seasons』が1999年2月に白泉社より刊行された。これは本作『紅茶王子』を中心に、『オトナになる方法』を含む、デビューから7年間にわたって描かれた作品を集めたイラスト集。各イラストに山田南平によるコメントが付いている他、描き下ろし作品も多数収録されている。
キャストドール
本作『紅茶王子』の登場人物であるアッサムとアールグレイのキャストドール(球体関節人形)が株式会社ボーダレスのDOLKより発売されている。完全受注生産で、予約は2016年10月から11月まで受け付けた。
ドラマCD
本作『紅茶王子』はドラマCD化されており、インディペンデントレーベルより1999年6月に原作コミックス第1巻の内容をドラマ化した「紅茶王子I」が、2001年8月にドラマCDオリジナルストーリーの「紅茶王子Ⅱ」が発売された。他に、マリン・エンタテインメントより2002年7月に「紅茶王子 ~Seaside Tea House~」が発売。こちらはドラマCDオリジナルストーリーとなっており、吉岡奈子をメインとしたストーリーの他に、久木怜一の1日をつづるショートストーリーも収録されている。いずれのドラマCDも吉岡奈子役を雪乃五月、 染谷雪子役を菅原祥子、内山美佳役を森久保祥太郎、アッサム役を渋谷茂、アールグレイ役を鈴木千尋が演じている。
登場人物・キャラクター
吉岡 奈子 (よしおか たいこ)
風早橋学院の女子生徒。初回登場時は中学3年生。紅茶専門の喫茶店のマスターだった亡き父の影響で紅茶が大好き。親しい仲間でお茶会同好会を設立し、部長を務めている。紅茶王子のアールグレイを呼び出し、主人となる。快活で真っ直ぐな性格だが、真っ直ぐすぎて周りが見えなくなりやすい一面を持つ。行動力があり、周囲からの人望は厚い。 留守がちな母親、吉岡粧子の代わりに弟の吉岡健太の子守や炊事洗濯など、家事を任されることが多い。太ももが太いことにコンプレックスを抱いており、それを理由にアッサムからは「ゾウ足女」と呼ばれている。アールグレイとは良好な関係を築きつつ、アッサムに対して次第に心惹かれていく。
染谷 雪子 (そめや ゆきこ)
風早橋学院の女子生徒。同級生であり親友の吉岡奈子のことが大好き。お茶会同好会では副部長を務めており、雑誌に載っていた恋のおまじないを、奈子と内山美佳を道連れに実行し、紅茶王子を呼び出すきっかけをつくった張本人。しかし、その時には自分の紅茶にミルクが入っていたために紅茶王子を呼び出すことはできなかった。 アールグレイやアッサムを呼び出した奈子や美佳をうらやみ、のちに改めて単独でおまじないを決行。黄山紅牡丹を呼び出し、主人となる。次第に紅牡丹に惹かれていく自分を止められず、彼との関係に悩み、心を痛める日々を送る。ぽっちゃりしていることと、胸が大きいことを必要以上に気にしており、コンプレックスを抱いている。 父親はパチンコ店の社長、祖母は呉服店を営んでいるといういわゆるお嬢様で、実家にはお手伝いさんがいるほどのお金持ち。
内山 美佳 (うちやま はるか)
風早橋学院の生徒であり、内山一樹の弟で内山唯の義兄。吉岡奈子とは同級生であり幼なじみだが、心の奥に奈子に対する恋心を秘めている。お茶会同好会の部員として奈子や染谷雪子と行動をともにしているなかで、紅茶王子のアッサムを呼び出し主人となる。学校では部活を多数兼部している。その活躍ぶりは体育系文科系問わず、校内では知らない者はいない。 特に得意としているのはパソコンで、自分でプログラミングすることもある。努力で手に入らない物はないという信念を持っているため、紅茶王子の叶える「ささやかな願い事」や、彼らの使う魔法を軽んじているところが見られる。そのうえ、有能で、常に自分が一段上に立っている感じでの物言いが多いため、特に自分の役割に信念を持っているアッサムとはトラブルになりやすい。 貿易商の両親は海外赴任中につき、アパートで単身生活中だったが、義妹の唯が帰国し、同居するようになる。両親の離婚が、小さい頃の美佳の心に大きな傷を残している。
アッサム
「アッサム(紅茶の種類)」の紅茶王子。天然パ-マの黒髪と褐色の肌が特徴。内山美佳に呼び出され、人間の世界にやって来る。食いしん坊で口が悪く、態度は大きいが、友人思いの優しさを持つ。紅茶王子としての仕事に信念を持って臨んでおり、人間に対して感情移入しすぎる傾向があるため、主人との別れが毎回辛いものになる。見かけによらず家事の一切が得意で、文句を言いながらも美佳の身の回りの世話をこなしている。 オレンジペコーとは親が勝手に決めた許嫁の関係だが、犬猿の仲であり、互いに拒絶しあっている。紅茶の国「カメリス・シネンシア」の王様の1人であるゴパルダーラ王を父親に、人間の女性のアリヤを母親に持つハーフとされているが、実はゴパルダーラの血は引いておらず、また自分に人間の血が流れていることも知らない。
アールグレイ
「アールグレイ(紅茶の種類)」の紅茶王子。吉岡奈子に呼び出され、人間の世界にやって来る。金髪に青い目、頭に乗った小さな王冠が特徴。温和で優しく、気弱なところがあるが芯の通ったしっかり者。酒に極端に弱く、酒乱で1滴でも飲むと人格が変わる。案外不器用であり、特に料理の腕は絶望的で、トーストすら中まで炭化させてしまう。 紅茶王女であるオレンジペコーの兄で、父親は紅茶の国「カメリス・シネンシア」の王様の1人であるプリンストン王、母親はクインマリー王妃。過去に、自分を呼び出した主人と恋愛関係になったことがあるが、紅茶王子が人間になるための条件を知って思いとどまったことがある。その時のことを今でも引きずっており、心に深い傷を負っている。
吉岡 健太 (よしおか けんた)
吉岡奈子の弟。まだおむつの外れていない年頃の幼児。年齢故に謎の言動が多いが、家族だけでなくさまざまな人々から可愛がられ、愛されている。まだ幼児のため、小さいままの紅茶王子の姿を見ることができる。アールグレイの手料理を食べて、その絶望的な味を知っているため、彼が料理をしようとすると泣きながら拒絶するほど嫌がる。 遊んでもらうことが多いアッサムには特によくなついており、アッサムが作る食事が好き。
吉岡 粧子 (よしおか しょうこ)
吉岡奈子、吉岡健太の母親で、吉岡健児の妻。料理研究家を生業にしており、タレントとしてテレビなどにも出ているため、忙しい毎日を送っている。そのため常に不在がちで、家事や健太の子守を奈子にまかせることも多い。美形の男性に目が無く、健太を上手に扱うアッサムを気に入っている。
吉岡 健児 (よしおか けんじ)
吉岡奈子、吉岡健太の父親で、吉岡粧子の夫。紅茶やお菓子をこよなく愛する暖かい人柄。「初対面の人にもおいしいお茶をいれてくれる人に悪い人はいない」という自説を持つ。紅茶専門の喫茶店「TEA ROOM QUALITY SEASONS」のマスターだったが、奈子が中学2年生の時、事故で帰らぬ人となった。紅茶王子を呼び出すおまじないを、必要と思ったお客さんに教えてあげていた。 ダージリンを呼び出した主人であり、亡くなるまで彼との生活を楽しんでいた。
葉桜 菊花 (はざくら きくか)
風早橋学院高等部で生徒会長を務める女子生徒。容赦ない手腕で生徒会を牛耳り、学院全体を治めようとするが、その強引さに耐えかねた生徒たちから強い反発を受ける。のちに紅茶王女のオレンジペコーを呼び出し、主人となるが、彼女の存在を受け入れるまでに時間がかかる。初めこそペコーのことを幻覚だと思い込もうと必死になるが、その後ペコーや吉岡奈子たちとの関わりをきっかけに、尖った人間性が次第に丸みを帯び、暖かい人物へと変化を遂げることになる。 同級生の大沢みどりはいとこで、彼女がが唯一心を許せる人。
大沢 みどり (おおさわ みどり)
風早橋学院高等部の男子生徒で、園芸部の部長を務めている。口ひげを生やし、無口で大柄のいかつい外見だが、茶道や華道をたしなみ、花や植物を愛する心優しい人物。実は花でも人間でも綺麗なものに目がなく、アールグレイの美しさにすっかり心を奪われてしまう。同級生の葉桜菊花とはいとこ同士で、互いを名前で呼び合う仲。 彼女の良いところは内面の美しさであると認識しており、良き理解者。
久木 怜一 (ひさぎ れいいち)
吉岡奈子の叔父で、吉岡健児の異母弟。しかし、本当の久木怜一は、幼いとき、心を病んだ母親の無理心中によってその命を奪われている。現在は、紅茶王子のダージリンが怜一の記憶を借りて、人間世界での仮の姿として、亡くなった健児に代わり、紅茶専門の喫茶店「TEA ROOM QUALITY SEASONS」のマスターとしてお店に勤め、その2階に住んでいる。 目つきが鋭く、爬虫類系の顔だち。何かと鋭いカンを持っており、奈子にとっては良き相談相手。
杉野 (すぎの)
風早橋学院のぽっちゃりめの男子生徒で、内山美佳とは同級生。「日曜大工研究会」の部長を務めるているが、自身を含めて部員が3人の弱小部のため、活動や存続にあたって苦労が絶えない。染谷雪子(そめこ)に想いを寄せていることは周知の事実であるが、そめこ本人にだけはいつまでたっても気づいてもらえない。
峯山 檜 (みねやま ひのき)
風早橋学院中等部の女子生徒。生徒会長の葉桜菊花に憧れを抱いており、生徒会では書記を務めている。生徒会長に出すための紅茶をうまく入れることができず、悩みを抱えていた時、吉岡奈子と出会う。人一倍頑張り屋ではあるものの、感情の起伏が激しいため基本的にテンパりやすく、何かと失敗しがちで泣き虫。自分のヘアスタイルが天然パーマであることにコンプレックスを抱いている。
葉桜 皐月 (はざくら さつき)
風早橋学院中等部の女子生徒で、葉桜菊花の妹。お茶会同好会に興味を示し、仮入部という形で関わることになる。かなり尖った性格で、思ったことは何でも口に出してしまう困ったところがあるが、理由があってのことであり、根は優しく姉想いの良い子。のちに生徒会執行部で書記を務めることになる。
ケビン ボゥル
風早橋学院に英語のヒアリング担当の教師として赴任してきた30歳の男性。カナダ出身。金髪で190センチの長身の白人。ノリが良く、派手好きで、サングラスをかけて愛車のフェラーリを乗り回す。のちにお茶会同好会の顧問となる。過去にアッサムを呼び出した元主人であり、約3か月間アッサムと生活をともにした。その当時ルイスとは婚約者同士であり、彼女を愛していたが、現在は連絡を取りつつも別々の道を歩んでいる。 バイセクシャルを自称している。
ルイス
ケビンボゥルの元婚約者の女性。過去に、ケビンとともに紅茶王子を呼び出すおまじないを実行した。独占欲が異常に強く、ケビンとの結婚に対して臆病になり、アッサムに心が揺れ動くという結果を生む。これが原因となり、ケビンとアッサムがケンカ、ケビンとルイスも別れを選択し、別々の道を歩むことになる。
朝比奈 鷹明 (あさひな たかあき)
太刀洗高校の生徒会副会長を務める男子生徒。会長の若村とは仲が良く、いつも行動をともにしている。また、馬術部の部長も務めており、「パロミノ」という名の馬を所有している実力者。女性の太ももが大好きな「ふともも星人」で、男の色気溢れる人物。感情を表に出さないタイプで、基本的に何を考えているか分からないように見えるが、腹黒い。 合同体育祭で風早橋学院に出入りするようになり、吉岡奈子と出会う。その後彼女に目をつけ、度重なる嫌がらせを働く。
若村 (わかむら)
太刀洗高校の生徒会長を務める男子生徒。副会長の朝比奈鷹明とは仲が良く、いつも行動をともにしている。女性の胸が大好きな「おっぱい星人」。合同体育祭で出会った染谷雪子(そめこ)の胸を見て一目惚れ。「重量級のバストだね」と失言した結果、胸にコンプレックスを持つそめこから平手打ちを食らうが、その気の強さにもすっかり惚れ込んでしまう。
真名瀬 (まなせ)
太刀洗高校の男子生徒。合同体育祭では北軍のマスゲームを担当。花形といわれている「旗持ち」の役割を務めた。合同体育祭の前夜祭で、染谷雪子(そめこ)に告白し、付き合うことになるが、紅茶王子のアッサムやアールグレイと真名瀬を比較してしまったそめこが勝手に幻滅し、一方的に別れを告げられることになる。
熊笹 (くまざさ)
風早橋学院高等部の男子生徒。温和で大人しい人柄ではあるが、意外と策略家なところがあり、相手によって態度を使い分けることもある。茶道部の副部長を務めていたが、思うところがあり退部。その後「紅茶同好会」を立ち上げ部長を務めることになる。親しい人とお茶を楽しむことを目的として吉岡奈子が率いるお茶会同好会とは違い、不特定多数の人に紅茶の良さを知ってもらい、楽しんでもらうことが目的。 「おいしいおちゃでみんなしあわせ」がモットー。紅茶王子を呼び出すおまじないを生前の吉岡健児に教わったため、おまじないを知っているが、紅茶王子の存在は知らない。
三笠 (みかさ)
風早橋学院の女子生徒で、熊笹部長率いる「紅茶同好会」で経理を担当している。眼鏡をかけ生真面目な印象の変わり者。もともと熊笹とは同級生かつ友人で、頼りない彼を見かねて「紅茶同好会」に入部した。自分の役割を「番頭」と言い、熊笹を「若旦那」と呼ぶ。お茶会同好会に密かな憧れを抱いており、吉岡奈子らの卒業後、お茶会同好会がなくなってしまうことを危惧し、両同好会の合併を提案する。
内山 一樹 (うちやま かずき)
内山美佳と内山唯の兄。東京都内で単身生活しているが、時々美佳のもとへやって来て、様子を見ていく。美佳が何に喜ぶか熟知している。妹の唯が、美佳と同じ学校に仮入学するにあたり、海外にいる両親に代わって面倒を見た。真面目な顔をして冗談を言うユーモアあふれる人物。金にモノを言わせて問題を解決することが得意。
内山 唯 (うちやま ゆい)
内山美佳と内山一樹の義妹。美佳と一樹の両親が離婚し、父親の再婚相手の連れ子として内山家の家族になる。海外で両親と暮らしていたが、風早橋学院に入学するため13歳で帰国し、美佳の家に居候することになる。明朗で活発、自己主張が強い。帰国子女の多い特別クラスで過ごし、クラスメイトとトラブルになる。美佳との関係に関して心の奥に悩みを抱えている。
花村 美里 (はなむら みさと)
披露山女学館の生徒会「白菊会」の会長を務める女子生徒。中学1年生の頃、内山美佳と数か月間付き合っていた元彼女。当時は自分から別れを切り出し、その関係に終止符を打ったものの、いまだに美佳に対して想いが残っている。合同体育祭をきっかけに風早橋学院に出入りすることになり、美佳と再会する。
井上 (いのうえ)
披露山女学館の生徒会「白菊会」の副会長を務める女子生徒。花村美里といつも行動をともにしている。クールでボーイッシュで、かわいい女の子が好き。美里が内山美佳に想いを残し、会長としての立場を忘れて気もそぞろになっていることを感じ取り、苛立ちをあらわにしている。
野口 (のぐち)
風早橋学院で、新聞部の部長を務める男子生徒。内山美佳とは同級生かつ友人。校内新聞を作ることに人生をかけており、新聞に掲載するためのスクープ探しに余念がない。そのためスキャンダルに目がなく、「時の人」をターゲットにしてはその周辺をかぎまわっている。
長柄 (ながえ)
風早橋学院の男子生徒で、生徒会執行部では議長を務めており、生徒会長である葉桜菊花を信頼し、彼女の片腕としておおいに活躍している。黒ぶちメガネがトレードマークで、真面目を絵に描いたような人物。
下山口 (しもやまぐち)
風早橋学院の男子生徒で、生徒会執行部の副会長を務める。生徒会では峯山檜と行動をともにしていることが多く、彼女の失敗に関して何かと犠牲を払うことの多い不憫な役回り。
堀内 (ほりうち)
風早橋学院で、生徒会執行部の経理を務める男子生徒。生徒会の中では一番パソコンに詳しく、リレーのアンカーを務めるほど足も速い。内山美佳とは同級生の友人で、数あるお茶会同好会の危機を救う一助を果たすことになる。
斧田 (おのだ)
風早橋学院で、演劇部の部長を務める女子生徒。かなり強引なタイプで、あれよあれよという間に他人を自分のペースに引きずり込んでしまう。文化祭で発表する劇の王子様役としてアールグレイを勧誘、無理やりキャスティングを決定してしまう。
木古庭 裕二 (きこば ゆうじ)
風早橋学院の男子生徒で、アッサムやアールグレイのクラスメイト。生徒会選挙に会長候補として立候補する。帰国子女で、自分に過度の自信を持っているため、あまり周囲からは快く思われていない。姉妹校や提携校と交流する委員会「外交委員」を務めており、披露山女学館の生徒と数々のトラブルを起こしている。
衣笠 和彦 (きぬがさ かずひこ)
風早橋学院の男子生徒で、木古庭裕二と同学年。生徒会選挙に会長候補として推薦を受け、立候補者となる。真面目でしっかりとした人柄だが、地味なため、良くも悪くも目立たない。そこに目を付けたセイロンの魔法により、強引で無茶なキャラクターにされ、選挙活動で大敗を喫することになる。
蔵田 (くらた)
風早橋学院の男子生徒で、内山美佳とは同級生。「パソコン同好会」の部長を務めている。パソコンやゲーム、アニメ、漫画にしか興味がない、いわゆる2次元オタク。染谷雪子に対して「おっぱいがおおきいね」などと口にし、所詮胸は脂肪の塊であると暴言を吐く。現実の女性に対して興味がないことを装ってはいるが、その興味は常に胸にあり、現実の女性から相手にされないことに対する不満がうかがえる。
オレンジペコー
「オレンジペコー(紅茶の種類)」の紅茶王女。葉桜菊花に呼び出され、人間の世界にやって来る。ふんわりウエーブのかかったロングヘアに小さな王冠が特徴。高飛車で世間知らずなところがあり、少々尖った性格ではあるが、主人に対してはまっすぐで常に一生懸命で憎めないところがある。紅茶王子のアールグレイの妹で、兄に対して執着が強いブラザーコンプレックス。 父親は紅茶の国「カメリス・シネンシア」の王様の1人であるプリンストン王、母親はクインマリー王妃。アッサムとは親が決めた婚約者同士だが、犬猿の仲であり、互いにその関係を拒絶しあっている。大沢みどりのことを、そのいかつい外見から「ヒゲゴリラ様」と呼ぶ。
黄山紅牡丹 (ふぁんしゃんほんむーたん)
「黄山紅牡丹(紅茶の種類)」の紅茶王子。足元まで伸びる長い髪が特徴。錦上添花の息子。染谷雪子(そめこ)に呼び出され、人間の世界にやって来る。純粋に主人としてのそめこを慕っており、彼女のためにナイト役を務める。幼い頃は仲が良かったアッサムに対して、生まれた境遇の違いから妬みの心を持っており、それによる劣等感が原因で、母親の死を境に態度が急変。 アッサムとの関係が悪化するが、吉岡奈子らの働きかけにより和解することとなる。母親の遺した手紙や、さまざまな状況から、ゴパルダーラ王たちの策略にただ1人気づく。
セイロン
「セイロン(紅茶の種類)」の紅茶王子で、女王ケニルワースの息子。「セイ=ケニルワース」と名乗り、留学生として風早橋学院に転校してきた。その目的はアッサムを自国に連れ帰ること。従者であるシャリマーとベルガモットをいつも連れて歩いている。子供の頃からアッサムにべったりだったため、彼を慕っているが、それを素直に認められない。 クールを装ってはいるものの、実際には臆病でかなり子供っぽいところがあり、従者たちも手を焼いている。母親の跡を継いで王になった暁には、亡き父親ディンブーラの、「鍵」としての役割を受け継ぐことになっている。
ダージリン
「ダージリン(紅茶の種類)」の紅茶王子。主人の命を奪った禁忌の紅茶王子として封印されたため、永久欠番になったと伝えられている。しかし、実際は主人を愛し、人間になりたいと言い出したことで、ゴパルダーラに引き止められ、ディンブーラに封印されていた。その後、ディンブーラの死によって封印がとけたタイミングで、吉岡健児に呼び出され人間の世界へ逃亡。 健児の死後も人間の世界にとどまり、久木怜一を名乗って吉岡奈子の叔父として紅茶専門の喫茶店「TEA ROOM QUALITY SEASONS」のマスターをしている。
ゴパルダーラ
紅茶の国「カメリス・シネンシア」の王の1人で、アッサムの父親。アッサムに似た浅黒い肌に、細身の長身。アッサムのことを「バンビーノ」と呼び溺愛しているが、実は血の繋がりはない。かつて紅茶王子として仕事をしていた時にさまざまな主人と出会い、人間の強欲さを目の当たりにしたことで人間嫌いになった。そのため、王になることで紅茶王子の仕事から逃げた過去を持つ。 自己中心的で自信家なところがある策略家で、溺愛していたダージリンが人間になりたがったため、彼を幽閉。原因を作ったアリヤを自分の妻にし、彼女が身ごもっていた子を自分の子供として育てた。
アリヤ
アッサムの母親で、スリランカ出身の人間。ゴパルダーラの妻で王妃だった女性。もともとはダージリンを呼び出した主人だったが、いつしかダージリンと愛し合うようになり、彼の子供を妊娠する。しかしゴパルダーラの策略により引き裂かれ、ゴパルダーラの妻となった後、彼の子としてアッサムを出産。紅茶の国「カメリス・シネンシア」の時間の流れに順応できず、急速に老いて亡くなった。 周囲の人々には人間であることを伏せ、女官から召し上げ王妃にしたということになっていたため、その異常な亡くなり方が、呪いによるものではという噂を作り出した。
錦上添花 (じゃんしゃんてぃあんふぁん)
黄山紅牡丹の母親。もともとは、ゴパルダーラの婚約者だったが、ゴパルダーラがアリヤを愛し、妻にしたことで、紅牡丹の父親である王の側室に入った。ゴパルダーラが妻を亡くした際は、彼女からの励ましの手紙や訪問がゴパルダーラを支える心の拠り所となった。ゴパルダーラは彼女との関係を親友だったと言っているが、錦上添花はゴパルダーラを愛していた。 その後、事故により若くして亡くなったが、真の死因は夫の正室による差し金だったではないかと噂されている。
ディンブーラ
セイロンの父親にしてケニルワースの夫だった人物で、紅茶の国「カメリス・シネンシア」の先代の王。自らの命を削り、他の紅茶王子の力を封じることができる。その力を使い、諸王の総意のもと、ダージリンを岩室へ封じる「鍵」の役割を果たした結果、次第に衰弱し、帰らぬ人となった。
プリンストン
紅茶の国「カメリス・シネンシア」の王の1人で、アールグレイとオレンジペコーの父親。ぽっちゃりした小さな人物で、温かくほんわかした笑顔がアールグレイとよく似た印象を持っている。クインマリーを正室として迎えているほか、側室を複数迎えて、たくさんの子供をもうけている。また、アリヤがまだゴパルダーラの妻になる前、美しいアリヤに惹かれ、ゴパルダーラと彼女を取り合った過去を持つ。
ケニルワース
セイロンの母親であり、夫のディンブーラが亡くなった後、跡を継いで女王となった人物。10歳の頃夫のもとへ嫁ぎ、その後なかなか子供を授かることができなかったが、ようやく授かったのがセイロンだった。愛する夫が命を落とす原因を作り、のちに「鍵」になるセイロンの命を脅かすことになるであろうダージリンに対して憎悪の感情を抱いている。
クインマリー
アールグレイとオレンジペコーの母親で、プリンストンの妻(正室)。王や王妃たちの中では一番の常識人。怒ると怖いため夫のプリンストンを尻に敷いているが、本来は聡明で慈悲深い女性。いつも大事なことを相談せずに決めてしまう夫にはほとほと困っている。
シャリマー
紅茶王子であるセイロンの従者を務める者で、外見はカエルに似ているが、本人はそれを否定している。基本的に人間の世界ではいつもベルガモットとセイロンと行動をともにしている。食い意地が張っており、おしゃべり好き。食べ物につられてついつい話しすぎてしまう。
ベルガモット
紅茶王子であるセイロンの従者を務める者で、外見は猫に似ている。どちらかといえば口数は少ない方。基本的に人間の世界ではいつもシャリマーとセイロンと行動をともにしている。
集団・組織
お茶会同好会 (おちゃかいどうこうかい)
風早橋学院で活動している紅茶を愛する同好会。活動日は特に決まっておらず、朝や昼、放課後などに集まってお茶を飲み、楽しむことを主な目的としている。吉岡奈子が中学3年生の時に染谷雪子と内山美佳とともに立ち上げた。部室はもともと物置として使われていた半地下の小部屋を利用しているため、5畳半と狭く、暗い。 それもあってか、なかなか新入部員が寄り付かないという実情を抱えている。
場所
風早橋学院 (かざはやばしがくいん)
吉岡奈子たちが通う学校で、中等部と高等部がある中高一貫の共学校。付属の大学も存在する。体育祭や文化祭などの大きなイベントは中等部、高等部が合同で行うのが特徴。生徒会に関しても、中等部、高等部の両方から選ばれた生徒で構成されている。交換留学生として海外からやって来る外国人やハーフの生徒も多く在籍している。提携校として太刀洗高校、披露山女学館と交流があり、3年に一度、3校が合同で行う合同体育祭が開催されている。
披露山女学館 (ひろやまじょがくかん)
ミッション系の名門私立女子高校。花村美里が生徒会長を、井上が副会長を務めている。校則には男女交際禁止が掲げられており、やや堅めの校風。生徒会は「白菊会」と呼ばれている。提携校として風早橋学院、太刀洗高校と交流があり、3年に一度、3校が合同で行う合同体育祭が開催されている。
太刀洗高校 (たちあらいこうこう)
鎌倉にある男子高校で、100年以上続く長い歴史のある名門校。提携校として風早橋学院、披露山女学館と交流があり、3年に一度、3校が合同で行う合同体育祭が開催されている。この体育祭は、もともと太刀洗高校の体育祭だったものが、年々減少傾向にある生徒数の関係で、3校合同で行うようになった。
カメリス・シネンシア (かめりすしねんしあ)
紅茶王子たちの住むおとぎの世界。複数の国に分かれ、それぞれの国に王がいるが、王の中にもランクがあり、身分の差がある。政略結婚や、正室のほかに側室を持つことも通常となっている。成人年齢は16歳。人間界とは時間の流れが違っており、カメリス・シネンシアの方が時間がゆっくり流れている。
その他キーワード
紅茶王子 (こうちゃおうじ)
紅茶の精。男性であれば「紅茶王子」、女性の場合は「紅茶王女」と呼ばれ、それぞれ紅茶の種類に応じた名が付いている。「満月の夜、白磁のティーカップに入れた紅茶(ミルクを入れないプレーンティー)に満月を映し、銀のスプーンでかき混ぜて飲むと、紅茶の国から紅茶の王子様が現れる」というおまじないで人間世界に呼び出される。呼び出された紅茶王子は、自分を呼び出した人間を主人として仕え、魔法で主人の願いを3つ叶えるまで自国に帰ることができない。 叶えられる願い事には制約があり、「他人に影響を及ぼさないささやかなもの」に限られる。紅茶王子は総じて甘いものに目がなく、よく食べる。また、小さな姿になることができ、その間は、基本的に紅茶王子の存在を知る者以外は、その姿を見ることはできない。 なお、紅茶王子が人間に恋愛感情を抱くことは禁忌とされているが、紅茶王子が人間になることは可能。そのためには、紅茶の国の王3人の承諾を得たうえで、自分以外のすべての人がその紅茶王子に関わる記憶を失うという代償が必要となる。
続編
桜の花の紅茶王子 (さくらのはなのこうちゃおうじ)
山田南平の代表作『紅茶王子』の新シリーズ。名家のお嬢様と、3つの願いを叶える紅茶の精との日常を中心に、『紅茶王子』やその番外編『紅茶王子の姫君』で登場した人物のその後の姿も描かれている。2012年「H... 関連ページ:桜の花の紅茶王子
関連
紅茶王子の姫君 (こうちゃおうじのひめぎみ)
前作『紅茶王子』の登場人物である奈子とアッサム(本作『紅茶王子の姫君』のアッシャー)の間に生まれた一人娘、杏梨の心の葛藤を描いた物語。「ザ花とゆめ」2006年6月1日号に掲載された表題のエピソードを含... 関連ページ:紅茶王子の姫君
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