概要・あらすじ
江戸時代の新吉原。百姓出身の咲良は天涯孤独となり、遊女になるために吉原の「黒木屋」に売られた。ある日、咲良が死んだ猫のお墓を作っていると、黒木屋の若い衆が彼女を連れ戻しにきた。「仕事をサボって勝手なことをするな」と、若い衆は咲良に手をあげようとした。その時通りがかったのが、吉原一と言われる華菊楼の楼主、吟だった。吟は、若い衆の手を捻(ねじ)り上げて咲良を助ける。そして、咲良をしげしげと眺めたあと、小判をばらまいて彼女を買い取ったのだ。こうして咲良は、華菊楼で働くことになる。華菊楼は黒木屋とは大違いで、食事は豪華なうえに、皆が親切で本当の家族のようだった。無事に水揚げを済ませたその夜、咲良は、隣の店から発生した火事に巻き込まれてしまう。炎に包まれ、死を覚悟したとき、吟が助けにやってきた。自らを顧みず、ただの商品に過ぎないはずの咲良を救う吟。その時咲良は、辛い吉原にあって吟のいる場所だけはあたたかいと感じるのであった。その日以来、咲良は吟のことを好きになった。しかし、吟のために頑張ることは、遊女として客を取ることである。遊女と楼主が結ばれることはありえない。咲良は恋心を断ち切ろうと努力するが、どうしても吟への想いを捨てきれないのであった。
登場人物・キャラクター
咲良 (さくら)
15歳の少女。火事で家も家族も失い、新吉原の遊郭に売られる。黒木屋という遊郭にいたが、吉原一と言われる華菊楼の楼主、吟に買われて、華菊楼へ移籍。「美桜」という源氏名で働くことになる。華菊楼が火事に見舞われた際、自らを顧みずに自分を助けてくれた吟に好意を寄せる。
吟 (ぎん)
吉原一の遊郭、華菊楼の楼主の青年。着流しと後ろで束ねた長髪が特徴で、いつも長い煙管(きせる)を持っている。母親は吉原でも一、二を争う花魁(おいらん)だったらしい。自分のことより他人のことを考える優しい性格。黒木屋の前で、若い衆に殴られそうになっていた咲良を救い、自分の遊郭で面倒を見る。
書誌情報
花の散るらん-吉原遊郭恋がたり- 6巻 小学館〈フラワーコミックス〉
第1巻
(2020-08-26発行、 978-4098711352)
第2巻
(2021-01-26発行、 978-4098712830)
第3巻
(2021-09-24発行、 978-4098714537)
第4巻
(2022-03-25発行、 978-4098716166)
第5巻
(2022-08-26発行、 978-4098717385)
第6巻
(2023-02-24発行、 978-4098718320)