花盗人たちの夜

花盗人たちの夜

「花を盗む」ことをテーマにしたオムニバス作品集で、「金木犀の踊る夜」「センチメンタル・ラブタイム・ぶるうす」「眠れぬ森の…」の3つのエピソードが収録されている。「週刊少女コミック」昭和58年1号から3号にかけて連載された作品。

正式名称
花盗人たちの夜
ふりがな
はなぬすびとたちのよる
作者
ジャンル
ラブコメ
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あらすじ

金木犀の踊る夜

女ったらしのは、恋人の絵留と派手な喧嘩をし、部屋を追い出されてしまう。行く当てもなく、夜の街をぶらついていた生は、花を抱えた少女が危なそうな男に声をかけられている場面に遭遇する。とっさに少女を助けて素性を聞いてみると、彼女は無一文でありながら今夜は家に帰るつもりはないという。生の亡くなった妹と同じくらいの年齢の少女を放っておけず、2人は夜の街をさまよい続ける。実は少女は目の病気を患っており、もうすぐ目が見えなくなるかもしれないという恐怖と戦っていた。

センチメンタル・ラブタイム・ぶるうす

有名カメラマンの篠沢信と付き合っている楠田珠恵は、ある日、かつて篠沢のアシスタントをしていた今村想と再会し、彼から「老けた」と指摘されてしまう。珠恵は本来の自分を封じ込めて、篠沢の好みの女性を演じていたのだった。想はそんな珠恵の心を揺さぶり、かつて自分が好きだった頃の珠恵に戻そうと試みる。

眠れぬ森の…

それまでの優等生という仮面を脱ぎ捨て、高校受験をすっぽかして一日中遊びほうけた女の子は、ガラの悪い男性と路上でケンカしている北上を見かける。形勢不利な北上を助けるため、女の子はとっさに大声で警察を呼び、この機転により北上は難を逃れることに成功。持っていた花束を台無しにされた北上に、女の子は花壇に咲いている花を盗むことを提案するが、正義感の強い北上に怒られてしまう。そんな北上に興味を抱いた女の子は、もっと北上のことを知りたいと考え、こっそりと彼の後をついていく。

登場人物・キャラクター

(せい)

エピソード「金木犀の踊る夜」に登場する。22歳の青年で、女ったらしな性格をしている。絵留と付き合っており、ヒモのような生活をしているが、他の女の子とも火遊びをしている。かつて身体が弱かった妹を病気で亡くしており、心の底では、妹の具合が悪いにもかかわらず好き勝手に遊んでいた自分のことを責めている。優しいところがあり、夜の街を1人でうろついていた少女のことを放っておけない。

楠田 珠恵 (くすだ じゅえ)

エピソード「センチメンタル・ラブタイム・ぶるうす」に登場する。19歳のモデルで、篠沢信と付き合っている。美人で大人っぽい雰囲気を漂わせているが、実はすべて恋人である篠沢の趣味に合わせている。もとは写真に撮られるのが大好きな気持ちがあふれる笑顔をしていたのだが、今は撮影用の笑顔を浮かべるようになってしまっている。

女の子 (おんなのこ)

エピソード「眠れぬ森の…」に登場する。高校受験の日に試験をすっぽかし、街をうろついていた少女。花束を抱えた北上がガラの悪い男性とぶつかり、口論になったところを機転を利かせて助けた。北上に興味を抱き、彼にくっついて真希子の婚約パーティーに顔を出す。

少女 (しょうじょ)

エピソード「金木犀の踊る夜」に登場する。花を抱えて夜の街をうろついていた女の子。無一文ながら、知らない人の立食パーティーに潜り込んで勝手に食事をしたり、花を盗んでしまうちゃっかりしたところがある。男性に声をかけられ危険な目に遭いそうなところで、偶然出会った生に助けられ、そのまま一晩だけの家出に付き合ってもらうこととなる。 実は目の病気で、手術しても治らないかもしれないという恐怖と戦っている。

絵留 (える)

エピソード「金木犀の踊る夜」に登場する。モデルをしている美人でスタイルが良い女性で、生の恋人。自分の住む部屋に生を居候させ、ヒモのような生活をさせている。女性に手が早い生に対して嫉妬が収まらず、すぐに感情的になってしまう。本当は生のことを愛し、心配する心優しいところがある。

今村 想 (いまむら そう)

エピソード「センチメンタル・ラブタイム・ぶるうす」に登場する。3年前まで篠沢信のアシスタントをしていた男性で、留学先のN.Yから戻って来たばかり。空気を読まず、立場が悪くなるのを気にせずに言いたいことをハッキリ言うタイプ。楠田珠恵には以前から好感を持っていたのだが、彼女が魅力を失ったことを淋しく感じ、それをずばりと言葉に出す。

篠沢 信 (しのさわ のぶ)

エピソード「センチメンタル・ラブタイム・ぶるうす」に登場する。カメラマンをしている男性で、有名人。かつて楠田珠恵の魅力を引き出し、彼女をスターにした。束縛するタイプで、恋人である珠恵を自分好みの女性に仕立て上げようとするのだが、その一方で別の女性に手を出してしまうプレイボーイ。有名になったことで才に溺れ、上っ面だけの仕事をしている。

北上 (きたがみ)

エピソード「眠れぬ森の…」に登場する。真希子の婚約パーティーのために花束を買ったが、ガラの悪い男性とぶつかってしまい、台無しにされてしまう。女の子の機転により、揉め事がそれ以上大きなものになることは回避した。口ひげを生やした大人の男性だが、心は純情な少年のようで、正義感が強く曲がったことを嫌う。

真希子 (まきこ)

エピソード「眠れぬ森の…」に登場する。北上の友達で、結婚して広島に引っ越すことが決まっている女性。ノリが良くて優しいところがある反面、涙もろい部分もあり、可愛げがあると周囲の人気は高い。北上が連れて来た女の子をパーティーに誘う。

美砂子 (みさこ)

エピソード「眠れぬ森の…」に登場する。北上の友達で、北上に想いを寄せている。北上が連れて来た女の子の話し相手になる。美人で落ち着きがあり、どこか頼りない北上を支えたいという母性本能が強い性格。

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