概要・あらすじ
戦後復興期の東京で、家計を支えるために若くして働く沢木真帆と沢木澪。二人は互いを自分の半身だと認める双子の姉妹だった。ある日、米軍兵にデートに誘われた沢木澪。アメリカ人とデートに行くことを躊躇していたところ、アメリカ人宅でお手伝いをしている沢木真帆が代わりに行くと申し出る。沢木澪の代わりにデートに出掛けた沢木真帆は、その米軍兵に乱暴されてしまい、望まぬ妊娠をしてしまう。
登場人物・キャラクター
沢木 真帆 (さわき まほ)
沢木澪の双子の姉。沢木澪のことを自分の半身だと思っており、面と向かわずともお互いを感じることができる。明るく元気なしっかりものの美人。日本に在住しているアメリカ人将校のオブライエン家に住み込みで働いている。絵を描くのが得意。
沢木 澪 (さわき みお)
沢木真帆の双子の妹。沢木真帆のことを自分の半身だと思っており、面と向かわずともお互いを感じることができる。優しく明るい性格の美人。以前勤めていた会社が倒産したため、母の沢木和美のつてで辻堂の息子が営む骨董店の売り子をすることになる。縫い物が得意。
沢木 和美 (さわき かずみ)
沢木真帆と沢木澪の母親。年齢を感じさせることのない美人。家計を支えるために辻堂と肉体関係を持って金銭をもらっている。穏やかな性格だが、体でお金を稼ぐことを受け入れているしたたかな面もある。
沢木 (さわき)
沢木真帆と沢木澪の父親。戦前は売れっ子の日本画家で、弟子も数人とっていた。戦争から無事に帰って来たのはよかったものの、病にかかり病床に伏せている。沢木和美と辻堂の関係にうっすらと勘づいている。
沢木 広海 (さわき ひろみ)
沢木真帆と沢木澪の兄。大学生だが、学校にはあまり行かずにアルバイトばかりしている。明るくお調子者の性格をしているが、本当は妹思い。
辻堂 (つじどう)
骨董や絵画を扱う美術商の中年男性。辻堂は店名でもあり本名でもある。金銭を盾に沢木和美と肉体関係を持っている。穏やかな口調ではあるが、女遊びが激しい。
オブライエン
日本に駐留している米軍将校の男性。オブライエンの妻と息子のジミーと暮らしており、住み込みの手伝いとして沢木澪を雇っている。優しく親切な一家で、沢木澪のことを大事にしている。
ゆかり
沢木真帆と沢木澪の実家の二階に住んでいる。同じ店子仲間の女性。水商売をしており、言葉使いは乱暴だが沢木一家には親切で、沢木真帆が堕胎手術をしたときも付き添いをした。
辻堂の息子 (つじどうのむすこ)
辻堂の息子。米軍兵士相手に骨董を売りつける店を開業し、その売り子として沢木澪を雇った。辻堂が沢木和美と関係を持っていることを知っているため、その沢木和美の娘だからという理由で沢木澪を米軍兵士の青年に差し出すように計らった。
米軍兵士の青年 (べいぐんへいしのせいねん)
辻堂の息子の店に沢木澪目当てで通いつめていた米軍兵士の青年。大柄で青い目をしている。最初は沢木澪にデートを申し込むに過ぎなかったが、辻堂の息子の企てにより沢木澪に肉体関係を強要した。その後フィリピンで死亡。