概要・あらすじ
明治時代中期。裕福なの長男に生まれた川上龍太郎と、貧しい小作人の長男に生まれた大山竹蔵。二人は同日同時刻に生まれ、共に画家を目指すようになる。上京後、川上龍太郎は東京美術学校に入学、大山竹蔵は画家の書生となる。当時の画壇の枠に収まらない絵を描き続けた二人はそれぞれ海外を渡り歩きながら絵の研鑽を続ける。
登場人物・キャラクター
川上 龍太郎 (かわかみ りゅうたろう)
『蒼き炎』の主人公の1人。初登場時は17歳。明治時代中期に地主の長男として生まれた。頭脳明晰で将来を嘱望されたが、画家を目指す。同じ日時に生まれた小作人の息子大山竹蔵が描く絵に衝撃を受け、友人となりライバルとなる。大山竹蔵 と共に上京し、自らは東京美術学校に入学し白馬会賞を受賞するが辞退。 日露戦争後、東京美術学校を退学してニューヨークに渡る。以後、パリ、ウィーンと渡り歩いて絵の修業に励むが、大山竹蔵と偶然の再会を繰り返し、彼の描く絵に対峙して、その都度衝撃を受ける。日本の画壇の現状に飽き足らず、新しい潮流を起こすことに情熱を燃やすが、禁欲的で頑固な面がある。 日本に帰国後は青龍画塾を開設する。
大山 竹蔵 (おおやま たけぞう)
『蒼き炎』の主人公の1人。初登場時は17歳。小作人の長男。川上龍太郎と同日同時刻に産声をあげた。貧しい生活ながら絵を描くことが好きで、特に女性の裸体に無類の才能を発揮する。奔放で自由に絵を描くことを望み、川上龍太郎とは正反対の性格。女好きであり、モデルとなる女性と寝ないと納得のいく絵が描けないほど。 また多くの女性から好かれる。川上龍太郎と共に上京し、洋画家本庄助衛門の書生となるが、日露戦争に召集されて以降、海外を転々としながら多くの女性達をモデルに裸婦像を描き続ける。
青木 繁 (あおき しげる)
口髭を生やした男性。実在の画家青木繁がモデル。東京を目指す川上龍太郎と大山竹蔵の前に現れ、酒と女遊びをした挙句、代金を払わずに去る。自分を天才と称し、協調性が無いため東京美術学校では嫌われている。白馬会が主催する白馬展で第一回白馬賞を受賞している。
本庄 助衛門 (ほんじょう すけべえもん)
パリから戻って注目されている洋画家。大山竹蔵を書生として雇う。当初は大山竹蔵の描く絵に嫉妬に似た感情を持ち、絵筆を取らせないようにしていたが、その才能を認め支援するようになる。 黒田清輝とはパリ時代の友人。
本庄 志織 (ほんじょう しおり)
本庄助衛門の娘。勝気な性格。自らの裸体を大山竹蔵に描かせて以来、大山竹蔵に恋心を抱くようになる。
黒田 清輝 (くろだ せいき)
実在の画家黒田清輝がモデル。東京美術学校教授。大山竹蔵の才能を認めつつも、その画風は日本の画壇をつぶすことになりかねないと考えている。
花紫 (はなむらさき)
遊郭の女郎。遊郭でただ働きすることになった大山竹蔵の絵を気に入って目をかけるようになる。のちに日露戦争の戦地で大山竹蔵と再会する。
アルフォンス・カポネ
実在のアメリカギャング、アル・カポネがモデル。わずか6歳だが、ニューヨークのイタリア移民達の顔役的な存在。川上龍太郎に仕事や住まいの世話をする一方、彼に浮世絵を描かせて儲けようとする。
鈴木 満太郎 (すずき まんたろう)
日露戦争に召集され大山竹蔵とともに戦闘に加わっていたが、共にロシア軍に保護され、ついにはパリまで行動を共にすることになる。
リーナ・バルジ
明るい性格の女性。ポール・セザンヌ に会いに来た川上龍太郎を強引に同居させる。共にポール・セザンヌの元に通ううちに川上龍太郎に恋心を抱くようになる。川上龍太郎のパートナー的な存在となって一緒にウィーンに渡る。
ポール・セザンヌ
実在の画家ポール・セザンヌがモデル。老年の男性。人嫌いが激しく、パリの画壇を離れ故郷エクス・アン・プロヴァンスで製作に没頭している。川上龍太郎の訪問を受け、その絵に恐れのような感情を抱く。
アドルフ・ヒトラー
実在の政治家アドルフ・ヒトラーがモデル。川上龍太郎のパートナーリーナ・バルジに横恋慕をする。ウィーン・アカデミーの入学試験に落ちている。
花子
言葉の話せない浮浪者の少女。大山竹蔵の命を救い、その後行動を共にする。大山竹蔵から「花子」と名付けられた。大山竹蔵が女性を描くたび嫉妬心を抱くようなる。のちに日本に渡り川上龍太郎の世話を受けながらモデルをつとめる。
大山 梅 (おおやま うめ)
大山竹蔵の妹。貧しい生活を支えるため、京都で働いていたところを旧知の川上龍太郎と再会する。借金を返すために東京の遊郭に売られていく。