象の股旅

象の股旅

女象使い・ヒヨと彼女の舅・タンスーの旅路を描いた短編漫画。江戸時代にベトナムから江戸まで象を連れて行ったという史実を書いた石坂昌三の伝記・『象の旅』から着想を得た作品。欄外には象や長崎に関する豆知識が載せられている。短編集『黒船』に収録。

正式名称
象の股旅
ふりがな
ぞうのまたたび
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

18世紀前後のベトナム。ヒヨは村1番の象使い・タンスーの息子・タンホイと結婚するも、タンホイはハノイの象隊へ出稼ぎに出てしまった。タンスーの教育の下、象師範の妻としての練習を積むヒヨ。しかし、そんな二人にハノイがゲリラによって全滅させられたこと、タンホイが死亡したとの知らせが入る。

どちら側かに付くことを余儀なくされた村は解散を決定し、村人の進路は各々の判断に任せられた。ヒヨタンスーと共に、2頭の小象・ランとイェンを連れて旅に出、その先で東海の彼方の象のいない国・日本の将軍が象を見たがっているという噂を聞く。悩んだ末に二人は日本へ向かうことを決意するのであった。

登場人物・キャラクター

ヒヨ

象使いの村に生まれ女性で、男勝りな性格。幼馴染で、村1番の象使い・タンスーの息子・タンホイと結婚するも、タンホイは新婚ほどなくして出稼ぎに出たハノイで死んでしまう。その後は村の解散に伴い、タンスーと共に旅に出た。村から連れてきた小象・ランとイェンを日本に連れて行くことに積極的で、渋るタンスーを説得、日本へと渡る。 日本では現地の象使いの師匠となり、日本語も多少話せるようになっていた。

タンスー

ヒヨが住んでいた村で1番と評される象使い。ヒヨは息子のタンホイの嫁であり、舅に当たる。厳格な性格であり、象に対しては真摯に向き合っている。象使いの村解散後はヒヨと2頭の小象・ランとイェンを連れて旅に出て、やがてヒヨの提案に従い日本へと向かう。 しかし、日本行きは最初から肯定的でなく、次第に間違った行動だったと悔やんでいくようになる。

タンホイ

村1番の象使い・タンスーの息子であり、ヒヨの旦那。彼女との結婚直後に出稼ぎでハノイにいる大臣の象隊に所属するも、フエ派のゲリラに遭い死亡してしまう。象のことを心から愛していた。

ランとイェン

『象の股旅』に登場する象。ヒヨとタンスーが、象使いの村解散時に分け与えられた2頭の小象。後に遥か海を越えて日本へと連れて行かれることになるが、イェンは環境の変化に付いて行けずに病死してしまう。更にランは、無事に江戸の将軍に献上させられたものの、やがては飽きられて孤独死してしまう。

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