赫のグリモア

赫のグリモア

女子中学生の大麦若葉は、曾祖母の遺言で不思議な筆と謎の少女のあかずきんを託された。これをきっかけに、不思議で残酷な魔導士の世界に足を踏み入れることとなった若葉の戦いを描く、現代ダークファンタジー。「別冊少年マガジン」2018年10月号から連載の作品。

正式名称
赫のグリモア
ふりがな
あかのぐりもあ
作者
ジャンル
ダークファンタジー
 
バトル
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊5巻
関連商品
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あらすじ

第1巻

大好きな曾祖母、大麦茜(本物)の死を受けて落ち込んでいた女子中学生の大麦若葉は、告別式の帰り道、弁護士から茜(本物)からの遺言状を受け取る。遺書には、若葉が奇妙な筆をつねに持ち歩くことを条件に、茜(本物)の屋敷と財産をすべて若葉が受け継ぐという旨が書かれていた。思わせぶりな遺書の内容から、茜(本物)が屋敷に何かを隠しているのではないかと考えた若葉は、屋敷の探索を開始。軽い気持ちで探索する中、若葉は曾祖母の描いた絵がヒントになっていることに気づき、隠し扉を発見する。もらった筆を鍵として扉を開いた若葉は、そこで一人の少女のあかずきんと出会う。あかずきんから曾祖母が実は魔導士だったと聞かされた若葉は、茜(本物)に封印されたというあかずきんに、意趣返しとばかりに脅されてしまう。その場を逃げ出した若葉は絶体絶命の中、一つの答えに行き着く。茜(本物)があかずきんと自分を引き合わせた理由が、茜(本物)の自画像にあると考えた若葉は、自画像から大麦茜(絵)を呼び出す。そして、茜(絵)の力で場を鎮圧してあかずきんと契約した若葉は、魔導士としての第一歩を歩み始めるのだった。

第2巻

大麦茜(本物)から魔導書魔筆を受け継いだ大麦若葉だったが、魔導士というのがどういうものかわからずとまどっていた。ひとまず、あかずきんと親睦を深めようとする若葉だったが、そこを魔導士の犯罪者の丸谷巧に襲われる。丸谷の行った魔導書のまいあへの非道と、それに激昂したあかずきんの凶暴さ、さらに丸谷を捕まえるために現れた機構の魔導士たちとの戦いなど、魔導士の負の面を見た若葉は大きく動揺する。しかし、まいあとの触れ合いで幼い頃のひたむきさを思い出した若葉は、再びあかずきんの手を取り、魔導士の道を進むことを決める。機構の魔導士の星河美冬に己の力と意思を示した若葉は、その実力を認められて機構にスカウトされる。大麦茜(絵)を交え、機構の総帥であるミヒャエル・石破から話を聞いた若葉は、茜(本物)が兄弟団と呼ばれる魔導士の犯罪組織に殺されたことを知る。曾祖母の仇がいると知った若葉は、つらい事実から目をそらさずに戦うことを決意し、強くなるためにも機構に入ると決める。美冬の従士となった若葉は、同じ従士の羽生乃恵瑠と共に実戦訓練を行うが、二人は最初こそギクシャクしていたものの、訓練を通じて心を通い合わせ始める。しかし二人が打ち解け合った直後、そこに兄弟団の魔導士が襲撃してくる。

第3巻

兄弟団魔導士である仙庭玄機大麦若葉の素質を見て、スカウトするために若葉の前に姿を現す。仙庭はヨルムンガルドの力を使ってあかずきんを封印するが、駆けつけた星河美冬にヨルムンガルドを半壊され、彼女と一進一退の激闘を繰り広げる。仙庭は美冬を追い詰めるが、羽生乃恵瑠と若葉の必死の抵抗を受ける。若葉たちの力は仙庭には届かなかったが、その力は封印されたあかずきんのもとに届き、彼女が解放される道筋を作る。こうして復活したあかずきんは仙庭をみごとに撃退し、深手を負った仙庭はヨルムンガルドと共に撤退するのだった。若葉は戦闘の後遺症で重症となったものの、あかずきんの献身的な介護によって無事を取り留め、二人はさらに絆を深める。一方、美冬は今回の仙庭の襲撃に不可解さを感じ、調査を開始。彼らが機構の最重要機密である「エニグマ」の複製品を作っている可能性に思い至る。エニグマの情報を兄弟団に流している裏切り者がいると確信した美冬は、秘密裏に調査を進める。裏で調査が進められる中、乃恵瑠は仙庭との戦いで実力を認められて魔導書を授けられる。家庭環境が複雑な乃恵瑠は、魔導書を得たことで親たちの目も変わるのではないかと期待し、家族に報告に向かう。しかし、そこで乃恵瑠は父親の会話を盗み聞きし、父親こそがエニグマの情報を流している裏切り者であることを知る。

登場人物・キャラクター

大麦 若葉 (おおむぎ わかば)

平凡な中学2年生の少女。ライトブラウンの髪を肩まで伸ばし、星型の飾りの付いたヘアゴムでワンサイドアップにしている。大麦茜(本物)の曾孫で、親戚の中でも彼女と仲がよかった。茜(本物)が亡くなったあと、魔筆をつねに持つことを条件に彼女の遺産を受け継いだ。茜(本物)の影響を色濃く受け継いでおり、絵を描くのが趣味。また、ふだん付けている星型のヘアゴムも茜(本物)との大切な思い出の品。茜(本物)が死んだあと、彼女から受け継いだ屋敷を探検していたところ、あかずきんを見つける。彼女から脅されるものの、彼女が自分を殺せないのを見抜き、彼女の言葉をヒントにして大麦茜(絵)の存在に行き着き、茜(絵)を具現化する。そして茜(絵)によって正式にあかずきんの契約者となり、書の魔導士の戦いに身を投じていく。丸谷巧との戦いで、まいあと心を通い合わせ、彼女から懐かれる。またその戦いで星河美冬に素質と気質を認められ、機構に所属後は彼女の従士に任命された。平凡な一般人として暮らしてきたために魔導士の知識はないが、その素質はずば抜けており、本来具現化には厳しい訓練が必要な「匂い」や「味」の再現すら初見で行ったほど。また損傷したあかずきんを一瞬で再生したり、大麦若葉自身は無自覚ながら魔導士として異常な才能を秘めている。

あかずきん

大麦茜(本物)の所持する魔導書「あかずきん」に宿る、少女の姿をした魔獣。色素の薄い髪に青い瞳を持ち、赤い洋服を身にまとっている。きれいな顔立ちをしているが、獰猛(どうもう)な性格をしている。魔導士にこき使われる現状に嫌気が差しており、なんとか自由になりたいと考えている。大戦中、茜(本物)と共に戦場を駆け抜けた最強クラスの魔獣で、その力は現在でも伝説として語り継がれているほど。大戦後、茜(本物)に騙されるかたちで彼女の館に封印されていたが、茜(本物)の死後、大麦若葉が見つけたことで解放される。当初は茜にこき使われた意趣返しに若葉を絶望させて自分を解放させようとするが、若葉の機転によって失敗。若葉が呼び出した大麦茜(絵)によって若葉を正式な契約者として契約させられたため、以降は彼女を契約者として守るようになる。必要とあらば人殺しもためらわない凶暴な魔獣だが、情に厚く、心を許した者に対しては面倒見のよい部分を見せる。飛行能力と高い身体能力を持ち、戦闘の際には若葉が具現化したハサミをモチーフにした剣を使って戦う。

まいあ

魔導書「おやゆびひめ」に宿る、少女の姿をした魔獣。幼い子供の姿を生かして敵地に潜入する諜報型の魔獣で、気配を人間そっくりに擬態することもできる。一般人を少しあやつって行動をかく乱することも可能だが、魔獣にしては戦闘能力が低く、戦闘型の魔獣にはまったく敵わない。契約者は丸谷巧で、彼の命令に従って「あかずきん」を手に入れるため、迷子を装って大麦若葉に近づく。書の魔獣としては「おやゆびひめ」と呼ばれるが、若葉には迷子を装った際に「まいあ」と名乗ったため、彼女からは以降もその名前で呼ばれる。かつては「じいじ」と呼ぶ元の契約者のもとで穏やかに暮らしていたが、丸谷によって強奪された。じいじも丸谷の命令でまいあ自身の手で殺してしまっており、そのことを深く後悔している。日常的に丸谷に拷問を受けており、体中が傷だらけ。ふだんはそれを隠すために長袖の服を身につけ、肌をさらすことを極端に嫌う。拷問とじいじを殺したことで心が折れ、丸谷の「力ずくで奪う」という考えを肯定し、服従している。しかし、若葉との交流で本来の無邪気で優しい性格を取り戻し、消滅覚悟で丸谷の命令に逆らって若葉を助けた。その後は機構に回収されて治療を受け、拷問によって負った体の傷も少しずつ癒え始めている。

羽生 乃恵瑠 (はにゅう のえる)

機構に所属する魔導士の少女。竜胆雫の従士で、従士の中でも優秀な人物と認められており、ほかの従士のまとめ役を担う。機構に所属したばかりの大麦若葉を先輩として面倒を見るが、後輩にもかかわらず魔導書を持ち、類まれな才能を持つ若葉に強い対抗心を抱いている。当初は一方的に若葉を敵視していたが、実戦訓練と仙庭玄機との戦いを経て、若葉を認めていく。羽生詩枝瑠の姉で、優秀な妹と比べられて育ったために彼女に劣等感を抱いている。魔導書を持っている詩枝瑠に対して、未だに魔導書を与えられれずにいることもあり、妹から見下され、ほかの家族からも冷遇されている。また、年齢の割に少しふくよかで小柄な体格をしているため、初対面の人間からは詩枝瑠の方が姉と勘違いされることが多い。従士であるために魔導書を所持していなかったが、訓練で星河美冬に実力を認められ、のちに魔導書を与えられる。

星河 美冬 (ほしかわ みふゆ)

機構に所属する魔導士の少女。茶髪をサイドポニーにして、ミリタリー服を着てベレー帽をかぶっている。穏和な性格ながら意思が強く、悪質な魔導士との戦いでは着実に相手を追い詰める計算高さを見せる。ミヒャエル・石破直属の作戦部に所属するエリートで、教士に最も近い修士として周囲から尊敬を集めている。契約している魔導書は「九姉妹」で、本人の技量も合わさって攻防バランスのよい戦闘能力を持つ。丸谷巧を逮捕する任務で、大麦若葉と出会って彼女の素質と性格を気に入る。そのため、若葉が機構に所属した際には案内役を買って出るのと同時に若葉を自分の従士に任命し、彼女の教育係を担当する。任務には厳格ながら、仲間や部下思いで同僚たちからは信頼されている。

竜胆 雫 (りんどう しずく)

機構に所属する魔導士の少女。青みがかかった髪を長く伸ばし、凛とした雰囲気を漂わせている。修士のランクの魔導士で、魔導書「輝夜(かぐや)」を所持する。輝夜は日本刀や弓など複数の形態を持つ多相型(シェイプシフター)の魔獣で、武器を変化させながらの多彩な戦闘を得意とする。また実は幼少期に巻き込まれた事件によって四肢の42パーセントを失う大ケガをしており、現在の手足は魔筆によって具現化した仮初のもの。想像を絶する過酷なリハビリによって、手足を元の肉体以上に使いこなしており、魔筆によって追加可能な義手、第三の手を生やして使いこなすこともできる。輝夜の特性と合わせて追加の手に武装を持たせることも可能で、その戦闘能力は高く、あかずきん相手に近接戦闘で優位に立つほど。ふだんは冷静沈着な性格ながら、魔獣に対しては憎しみをあらわにする。機構では執行部に配属され、羽生乃恵瑠を従士とする。乃恵瑠の努力を認めており、彼女に期待している。

羽生 詩枝瑠 (はにゅう しえる)

機構に所属する魔導士の少女で、黒い髪をツインテールにしている。羽生乃恵瑠の妹で、乃恵瑠に比べて高い魔導士の資質を持つ。そのために両親からも溺愛され、姉の乃恵瑠を見下して辛辣に当たっている。年齢の割に身長が高く、大人っぽい雰囲気を漂わせているため、羽生詩枝瑠の方が年上に思われることが多い。ふだんの言動も相まって大麦若葉も、当初は詩枝瑠の方が姉だと勘違いしていた。

神田辺 健介 (かんだべり けんすけ)

機構に所属する魔導士の少年。体格は小柄で帽子をかぶり、ヘッドフォンをしている。魔導士のランクは修士で、魔導書「ネブカドネザル」を所持する。機構の執行部に配属され、2班の班長として班員を率いる。誰にでも敬語で話す礼儀正しい性格をしており、魔導書の魔獣相手にも丁寧に接するため、同班のネブカドネザルや眠り姫からも信頼されている。

ネブカドネザル

神田辺健介の所持する魔導書「ネブカドネザル」に宿る魔獣。大柄な体格をした狼男の姿をしており、スーツを身につけている。気さくで人当たりのよい性格をしており、主の健介や仲間たちとも良好な関係を築いている。見た目どおりの怪力を誇り、格闘戦での戦闘能力はかなりのもの。また咆哮を上げることで暴風を生み出す能力を持つため、眠り姫と連携して発生させた毒ガスを敵に送り込むことも可能。

東雲 風花 (しののめ ふうか)

機構に所属する魔導士の少女で、髪の毛をボブカットに整えている。魔導士のランクは修士で、魔導書「眠り姫」を所持する。機構の執行部2班に配属され、神田辺健介の部下となる。相棒の眠り姫に溺愛されており、彼女からよくスキンシップを取られている。

眠り姫 (ねむりひめ)

東雲風花の所持する魔導書「眠り姫」に宿る魔獣。ゴシックロリータ系のドレスを身にまとった妙齢の女性の姿をしており、つねにガスマスクをかぶって素顔を隠している。おっとりとした優しい性格の持ち主で、主の風花を溺愛している。多くの薬品を持ち歩いており、それらを使った攻撃を得意とする。また、ネブカドネザルと連携し、発生させた毒ガスを敵に送り込んで攻撃するといったこともできる。

ミヒャエル・石破 (みひゃえるいしば)

機構の総帥を務める男性。サングラスを掛けたうさんくさい人物で、かなりの高齢ながら落ち着きのない言動をする。大麦茜(本物)の後輩にあたる魔導士で、茜(本物)とは長い付き合い。茜(本物)の曾孫である大麦若葉をスカウトするため、彼女の前に現れた。

大麦 茜(本物) (おおむぎ あかね)

大麦若葉の曾祖母。上品な身なりをした老婆で、ペン画の大家としてその筋では有名な人物。大きな屋敷を持ち、そこに並べられた作品群は「茜コレクション」として有名で、それらの総資産額はかなりのもの。現在は故人となり、自身の遺産を若葉に継がせる遺言を遺していた。実は伝説に謳われるほどの大魔導士で、若かりし頃はあかずきんと共に戦場を駆けずり回り、数々の災害を未然に防いでいた。戦後は強すぎるあかずきんの力が周囲の力の均衡を崩すのを恐れ、屋敷の隠し部屋に封じた。あかずきん抜きでも魔導士として抜きんでた力を発揮し、戦後はその力で野良の魔獣を打ち倒して人々の生活を守っていたが、兄弟団との戦いで命を落としてしまう。自分の不慮の死に備え、自分の記憶と人格を写し取った大麦茜(絵)や遺書を残しており、曾孫の若葉を後継者として定めていた。一方で若葉にはふつうに暮らしてほしいとも思っており、何事もなく天寿を迎えたら、自分で大麦家の魔導士の血筋を終わらせるつもりでいた。

大麦 茜(絵) (おおむぎ あかね)

大麦若葉の曾祖母、大麦茜(本物)の自画像。茜(本物)の屋敷のロビーに飾られている。実は茜(本物)が自分の不慮の死に備え、魔筆を使って生み出した分身ともいうべき存在で、若葉の魔導士の力によって具現化する。生前の茜(本物)の記憶と人格を写し取った存在で、後継者である若葉に魔導士としての手ほどきをする。ただし、あくまで生前の茜(本物)のコピーのような存在であるため、完全に記憶は共有しておらず、茜(本物)が死んだ際の記憶などはない。茜(本物)の魔導士としての力もある程度再現されており、絵にもかかわらず魔筆の具現化能力をあやつる能力を持つ。ただし、あくまで絵であるため具現化できる時間は限られており、若葉とあかずきんを見守りつつも、自分に残された時間が少ないことを自覚している。

丸谷 巧 (まるや たくみ)

魔導士の男性で、スーツを身につけている。メガネを掛けた平凡な中年サラリーマンのような見た目をしているが、本性は非合法な汚れ仕事を生業とする冷酷非道な人物。「おやゆびひめ」と「ノーチラス」の魔導書を持ち、「あかずきん」の魔導書を手に入れるため、大麦若葉のもとにまいあを送りつける。魔導書を手に入れるためなら、女子供でも容赦なく殺す卑劣漢で、まいあの元の契約者も殺して奪い取っている。またサディスティックな性癖を持ち、拷問を趣味としている。まいあに対しても拷問的な行いを繰り返し行っており、彼女から怯えられている。最後はそれらの悪行が、あかずきんの逆鱗に触れて殺された。

仙庭 玄機 (せんば くろき)

兄弟団の団長を務める男性。傷跡だらけの顔に黒いスーツを身につけ、魔導書「世界蛇」を所持する。元機構に所属するすご腕の魔導士で、機構を裏切って兄弟団に寝返った。魔導士としての技量は、かつて機構でも最高クラスと評され、魔導書抜きの状態でも九姉妹を発動した星河美冬と五分に渡り合う実力者。魔導士の基本能力である具現化能力が極めて高く、彼の具現化したものは非常に高い耐久力を持つ。いつも着ている黒スーツも彼が具現化したもので、生半可な攻撃ならいっさいを無効化する鉄壁の防御力を誇る。また重火器のような複雑なものも難なく具現化できるため、つねに体中に具現化用の重火器を仕込んでおり、攻撃力も高い。

ヨルムンガルド

仙庭玄機の所持する魔導書「世界蛇」に宿る少女の姿をした魔獣。褐色肌にベリーショートの髪型で、中性的な雰囲気を漂わせている。無口無表情だが主に忠実な性格をしており、仙庭の言うことを淡々とこなす。空間操作型の魔獣で真っ黒な球体を発生させ、そこになんでも収納する力を持つ。この能力を応用して敵対者を閉じ込めたり、対象を別の空間に転移して運んだりすることが可能。また黒い球体を広い範囲で展開すると、外部からの干渉を完全に阻む「閉鎖空間」を作り出すこともできる。汎用性の高い強力な能力だが、一度に転移できる人間は少ないなど弱点も存在する。

集団・組織

機構 (げぜるしゃふと)

魔導士による国際的な特務機関。かつての枢機軸国家を中心に設立された組織で、正式名称は「国際歴史管理機構(Internationale Geschichts Management Gesellschaft)」という。「最初の魔女」の理念を受け継ぎ、人類の歴史を守ることを目的としている。その理念に則り、野良魔獣の駆除や魔導書の管理、悪質な魔導士の捕縛を行っており、星河美冬はそれらの活動を指して機構を「書の魔導士による国際警察」と例えている。現在は兄弟団による攻撃で大きな被害を受けており、本拠地を放棄。海上に浮かぶ巨大な客船を仮の本拠地としている。本拠地の下層にはエニグマが存在し、これを利用して機構は作戦の立案を行っている。機構に所属する魔導士はランク分けされており、上から「賢士(メイガス)」「教授(プロフェッサー)」「修士(セノバイト)」「従士(スクワイア)」が存在する。このうち魔導書の所持が許されているのは修士以上の魔導士のみで、従士は修士に教えを乞う見習い的なランクとなっている。

兄弟団 (ふらたにてぃ)

魔導士の犯罪集団。近年になって活動が活発化した組織で、組織に属さない各地の魔導士を殺害する「魔導士狩り」を行い、時には一般人すら巻き込む凄惨な事件を巻き起こしている。その目的は不明だが、機構ですら手を焼くほど強力で巨大な組織で、現在進行形で兄弟団の被害者は増加傾向にある。仙庭玄機をはじめ、機構の魔導士も何人か兄弟団に寝返っており、機構から盗んだ情報を基にエニグマの複製品を建造している。

その他キーワード

九姉妹 (ないんしすたーず)

星河美冬の所持する魔導書。魔獣は出会った者を死へといざなうといわれている九匹の蝶。蝶はそれぞれが別の能力を契約者に付与する肉体強化系の魔獣で、驚異的な衝撃中和能力(イナーシャルキャンセラー)である「ティタンの盾」、浸潤する刃である「グリテンの剣」、空中での三段ジャンプを可能にする「マゾエの翼」、常時発動して治癒力を高める「モルゲンの冠」、高い破壊力を持つ「グリトネアの槍」と、その能力は多彩且つ強力。九匹の蝶の能力は、同時発動しての重ね掛けも可能となっている。ただし重ね掛けすればするほど、それに比例して魔力消費量も増えるために重ね掛けは強力な反面、使用時間が短い大きなデメリットも存在する。

魔導書 (ぐりもあ)

魔導士の持つ特殊な書物。「書の魔獣」を封じた特殊な本で、魔筆を使って所有者の名前を書くと、魔獣と契約することができる。書の魔獣は契約者によってその行動を縛られ、契約者の「命令句」に逆らうと書が燃え、消滅する危険も存在する。このため、書の魔獣の中には魔導士に反感を抱き、契約を破棄させることで自由を得ようと考えている者も存在する。ただし主のいない書の魔獣は、自分の存在を維持するために人間の精気を奪う傾向にあるため、その場合は野良魔獣と認定されて討伐の対象にもなる。魔導書にはランクがあり、基本的に書の魔獣が人語を理解し、歴史に名を残すほど知名度があるものが高いランクに認定される傾向がある。特に大戦中に活躍した魔導書は稀少度もランクも高く認定され、魔導書専門の古書店を通じて高く取り引きされている。逆に大戦中に急造された「人造魔獣」が宿る魔導書は稀少度が低いため、比較的安価で取り引きされている。

魔筆 (まひつ)

魔導士の持つ特殊な筆。魔導士の隕鉄が含まれた特殊な血液が装塡されており、魔導士がこの筆を使って魔導書に加筆することで契約を行ったり、修正を加えて契約を破棄したりすることができる。また魔導士であれば、この筆で絵を描くと「描画」を行うことができる。描画は描いた絵を現実に具現化する能力で、魔導士の魔力を使うと武器から生き物までなんでも具現化することが可能。ただし、具現化するものが複雑であればあるほど、描画には高い想像力とデッサン力、多くの魔力が必要となる。特に味や匂いのある食べ物、精密機械、架空の生き物は難易度が高く、中途半端な力量では中身が伴わないハリボテのようなものとなる。描いた絵は魔獣か同じく具現化した絵でなければ破壊できないため、これを利用した服を着用することで、魔導士は鉄壁の守りを得られる。ただし描画したものは、一度具現化すると時間経過で消滅してしまう弱点が存在する。そのため、熟練の魔導士は必要な道具をあらかじめ描画して「デッキ」として所持し、必要な場面で具現化するという方法を取る。また描画の具現化そのものは絵を描いた本人でなくても可能で、高い力量を持つ魔導士の絵を力量の劣る魔導士が具現化することは比較的簡単にできる。

エニグマ

機構の中枢に存在する機械。「最初の魔女」の持つ未来予知能力を錬金術によって疑似再現した「未来予知機」で、魔獣の出現や大きな災害、戦争の予知を行っている。機構ではこのエニグマで得られた情報を基にして作戦を立案し、人類史の破滅の種を取り除いている。ただし未来予知は万能ではなく、見たい日付けや出来事の指定は不可能。基本的に無作為な未来の情報を得るもので、時には断片的で全体像がわからない情報が送られてくることもある。最初に作られたエニグマはルネサンス期に作られたもので、当初は魔導士の血を燃料にしていた。近代ではエニグマにも改良が加えられ、魔導士の血を再現した人工血液でも稼働するようになっている。エニグマに関する情報は機構でも重要機密となっており、部品の調達から設計まですべて機構内部で行っている。しかし、兄弟団がひそかに機構からエニグマの情報を盗み出しており、兄弟団には盗んだ情報で作られたエニグマの複製品が存在する。兄弟団のものは完成度としては三割ほどに過ぎないが、現状でも機構のエニグマと同じ予知を得られるため、機構のエニグマの裏をかくといった使い方ができる。

魔獣 (まじゅう)

異形の存在。太古の時代に突如、世界に現れたとされる謎の存在で、魔獣は人の精気を奪って糧とするため、古くから人に仇なす存在といわれている。魔獣には大きく分けて魔導書に縛られた「書の魔獣」と、魔導書に縛られず自由に行動する「野良魔獣」の二種類が存在する。書の魔獣は魔導士によって契約、管理されるため「契約魔獣」とも呼ばれて人間と共存しているが、悪質な魔導士に使役された場合は悪事の片棒を担ぐことがある。また野良魔獣は精気を求めて人を襲うため、非常に危険な存在となっている。このため、機構は魔導書の管理と野良魔獣の討伐を使命としている。また魔獣はその型(タイプ)によっても細かく分類され、人型や獣型、人工物型といったさまざまな型が確認されている。

魔導士 (まどうし)

魔力をあやつる人間の総称。魔導士の血には特殊な「隕鉄」が含まれており、これによって魔導士は一般人より豊富な精気を持ち、魔力を錬成することができる。血液に含まれる隕鉄の量が多ければ多いほど、蓄積できる精気の量も増えるため、隕鉄の多寡によって魔導士の才能は大きく左右される。また魔導士は魔筆や魔導書を使うと、超常の力をあやつることができる。魔筆の「描画」の力を引き出すには、生まれ持った才能以上に想像力とデッサンの腕前が重要となるため、魔導士の訓練には絵のデッサンが含まれる。描画の力を十分に引き出せる魔導士であれば、それだけで高い戦闘能力を持ち、魔獣とも渡り合うことができる。

魔力 (まりょく)

魔導士のあやつる特殊な力。人間の持つ感情から生まれ、血液に含まれる「精気」を、魔導士が自身の血に含まれる隕鉄を利用して「錬成」することで得られる。魔導士は魔力を使うと魔獣に力を補充したり、魔筆で描画能力を駆使したりすることができる。精気自体は一般人もふつうに持っているため、野良魔獣は自身の命をつなぐべく一般人を襲って精気を奪うことがある。精気は生体磁気(バイオマグネティックス)の一種であるため、これが一気に失われると意識の混濁などの症状が引き起こされ、最悪の場合は命が失われる。魔導士は血液に含まれる隕鉄のおかげで一般人に比べて精気の量は豊富だが、魔力を使いすぎると精気が枯渇し、一般人と同じく死亡するリスクが存在する。

書誌情報

赫のグリモア 5巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2019-02-08発行、 978-4065138816)

第2巻

(2019-07-09発行、 978-4065156889)

第3巻

(2019-12-09発行、 978-4065175378)

第4巻

(2020-06-09発行、 978-4065191736)

第5巻

(2021-01-08発行、 978-4065220245)

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