釣りに行こうぜ!!

釣りに行こうぜ!!

狙った大物は必ず釣り上げる「モンスター・ゲッター」の異名を持つ釣り人・立浪飛浪が、日本全国の釣り場で未知の大物たちと格闘する様を描いた作品。『釣りに行こうよ!』の続編で、一部のキャラクターは同名だが、前作とのストーリー上の接点は薄く、パラレルワールド的な内容になっている。「週刊少年マガジン」1999年第44号から2000年第21号にかけて不定期に連載された。

正式名称
釣りに行こうぜ!!
ふりがな
つりにいこうぜ
作者
ジャンル
釣り
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概要・あらすじ

とある河川敷の橋脚の下で釣りをしていた最中、謎の大物によって虎の子のロッドをへし折られた少年ユウ。兄であるノブとその友人たちに必死で怪獣「雷ガァ」の存在を主張するユウだったが、友人たちからはウソつき呼ばわりされてしまう。弟のために同じポイントで数日間、必死でキャストを続けるも、結局「雷ガァ」は見つからず落胆するノブ。

しかし、どんな大物でも釣り上げるという伝説のアングラー、「モンスター・ゲッター」の噂を思い出したノブは、隣町の小さな釣り具屋へと足を運ぶが、そこにいたのは、やる気がなさそうな若者・立浪飛浪だけだった。ノブから話を聞いた飛浪は自らが「モンスター・ゲッター」であることを否定するも、「雷ガァ」の存在には興味津々。

不適な笑みを見せた飛浪はさっそく店を閉め、ロッドを担いで現場の河川敷へと向かい、「雷ガァ」に勝負を挑むのだった。

登場人物・キャラクター

立浪 飛浪 (たつなみ ひろ)

寂れた釣具屋「一碧堂」で店員をしている赤毛の青年。ほとんど顔を見せない「マスター」の代わりに1人で店番をしているが、店を開けたまま全裸になって屋上で昼寝をするなど、豪快かつ大雑把な性格。基本的に面倒くさがり屋だが、こと釣りに対する情熱は人一倍で、技術や知識、そして大物の存在をかぎつける嗅覚は超一流。巧みなロッド・ワークと、魚と会話しているかのような先読み能力を駆使して、どんな大物であっても鮮やかに釣り上げてしまう。 滑落すれば死は免れない海岸沿いの崖で、危険な釣りに挑んだこともあるなど、度胸も抜群。独創性も高く、南米原産の凶暴なピラーニャ・プレタを相手にした時には、自らの血をルアーにしみこませ、対象をおびき寄せることに成功していた。 「どんな魚でも魚である以上、必ず釣れる」をモットーとしており、それゆえに周囲の人間から伝説のアングラー「モンスター・ゲッター」ではないかと噂され、時にそう呼ばれることもあったが、本人がそれを公言することはほとんどなかった。「一碧堂」の経営状態がかんばしくないせいか、経済的に困窮しており、いつも腹をすかせている。 そのため、公園の池でブラックバスを釣って腹の足しにしようと試みたり、釣り上げた謎の怪魚「雷ガァ」を、ノブやユウに断りもなく食べてしまったこともあった。見たこともない大物をとことん釣りつくすのを夢にしている。弱点は船酔いしやすいこと。

潮 海南 (うしお みなみ)

目つきが鋭く、気も強い女子高生のアングラー。初めて姿を見た立浪飛浪が目を見張り、思わずお腹を鳴らしてしまうほどのグラマーでもある。派手な見た目とは裏腹に釣りの技術は高く、周囲の状況を見て「何かが起こりそうなポイント」を的確に嗅ぎつけられる観察眼の持ち主。公園でブラックバスを釣っていた飛浪にちょっかいをかけ、強引に好ポイントを譲らせようとしていたが、ピラーニャ・プレタを釣り上げる過程で、飛浪が持つ釣りの技術と創意工夫、情熱に徐々に魅せられていく。 最終的に飛浪のことを確信を持って「モンスター・ゲッターのヒロ」と呼んでいた。実は「巨匠(マエストロ)」と呼ばれる作家の潮謙三の娘であり、飛浪が北海道に行った際には、父親の「ゴースト・アングラー(代釣人)」として、幻の巨大イトウ「死霊」を釣り上げてほしいと懇願していた。

潮 謙三 (うしお けんぞう)

潮海南の父親。高名な男性小説家で、大物釣りを得意とするスポーツ・フィッシング界の重鎮。常に完璧さを求める厳格な性格ゆえに「巨匠(マエストロ)」の異名を持つ。雑誌の取材で北海道の地で湿原の主である巨大イトウ「死霊」を追っていた際、海南からの依頼で死霊を釣りに来た立浪飛浪を「命を粗末にするな」として追い払おうとしていた。 7年前に無二の親友であった檜山を死霊のせいで失っており、そのことが彼の人生に暗い影を落としていたが、過酷な環境にあってもなお釣りを楽しもうとする飛浪に檜山の面影を見たことで、徐々にかつての冒険心を取り戻していく。

鉄馬 (てつま)

「寿し鉄」の三代目見習いとなる青年。立浪飛浪の釣敵であり、永遠の釣友。職人として魚本来の旨さを見失って悩んでいたところに飛浪のアドバイスを受け、一緒に海釣りへと出かけることになった。飛浪とは気の置けない友人同士だが、同時に負けたくないというライバル心も強く、釣りの現場においては互いの釣果を強烈に意識して、心の中で火花を散らし続けていた。 釣りの技術は飛浪に負けず劣らず優秀で、カワハギ釣りの際には巧みな竿さばきを見せて、飛浪をリードする。

檜山 (ひやま)

写真家の男性。潮謙三の親友であり、スポーツ・フィッシングにおける相棒。非常に確かな「目」の持ち主で、カメラマンとしての実力は一流。彼と組んだ謙三は、どんなビックゲームにおいても「記録破りの大物(レコード・ブレーカー)」を連発し、「巨匠」として世間に知られることとなった。謙三いわく「もう1人のマエストロだった」とのこと。 7年前、北海道で巨大イトウ「死霊」とのファイト中に湿原に引きずり込まれ、命を落とす。

(もえ)

和竿師である源ジィの孫娘。立浪飛浪の2つ年上。雪国の山で暮らしているが、年に2回源ジィと一緒に上京し、釣具屋「一碧堂」に竿を納品していた。化粧っ気はないが雪のように透き通った肌をしている。源ジィを亡くした後は、一人前の和竿師になることを諦め、山を降りることを決意。生前に源ジィが語っていた、冬に咲く「赤ィ花」を飛浪と一緒に探すことになる。

源ジィ (げんじぃ)

一流の和竿師である老人。孫娘の萌と一緒に自作の和竿を納品するために年に2回、釣具屋「一碧堂」を訪れていた。酔うと前後不覚に陥り、陰毛に火をつけて、「一碧堂」を爆発に巻き込んだこともある。萌が自分の竿を完成させた暁には、山の中に咲く「幻の真っ赤な花」を見せると語っていたが、その約束を果たす前に亡くなった。

園部 八郎 (そのべ はちろう)

立浪飛浪が関西方面で海釣りをしていたときに出会った少年。地元では「地磯のはっちゃん」と呼ばれている磯釣り専門の凄腕釣り師。健康的に日焼けをした人懐っこい少年だが、こと釣りに関しては狂気じみた執着を持っており、その鋭い眼光を見てしまった飛浪は「まともに付き合ってたらヤバいことになる」と一度は彼との釣り勝負を拒否した。

川瀬 文 (かわせ あや)

大学院で自然環境について調査している女性。東京出身。高知県の四万十川に現れる巨大アカメの噂についてのメールを雑誌「月刊T・K・B」に送ったことが縁となり、現地まで出向いた立浪飛浪と潮海南の案内をすることになった。四万十川の川漁師である津部から贈られた指輪を「三つ目のアカメ」に飲まれてしまい、飛浪にアカメを釣るように懇願する。

津部 (つべ)

高知県の四万十川で川漁師をしている豪快な性格の男性。希少で知られるアカメをいともたやすく釣り上げる凄腕の持ち主。東京から四万十川の調査に来た川瀬文と恋仲となり、指輪を贈って求婚する。

ノブ

小学生の男の子。弟のユウや友人と一緒に河川敷での釣りを楽しんでいたが、ユウが河川敷にいた謎の怪魚「雷ガァ」に大事なロッドを折られたことから、ユウの言葉を信じて連日「雷ガァ」を求め、ひたすらキャストを続ける。そんな折、伝説のアングラー「モンスター・ゲッター」の噂を思い出し、隣町にある釣具屋「一碧堂」を訪問。 そこで立浪飛浪に出会うことになった。芯が強く、弟思いの兄貴。

ユウ

ノブの弟。河川敷で釣りをしていた際に謎の大物怪魚によって思い出のロッドを折られてしまう。その怪魚に「雷ガァ」という名前を付けた張本人。周囲の人間に「雷ガァ」の実在を懸命に主張するも、ノブ以外は誰も信じてくれず、それどころかウソつき呼ばわりされてしまい傷心していた。

ヒカル

立浪飛浪と鉄馬が海釣りに出向いた際に立ち寄った貸しボート屋「さざなみボート」で手伝いをしていた笑顔が可愛い小学生くらいの美少女。明るくはつらつとした性格なうえ、テキパキとした手際で手伝いをしていたため、飛浪と鉄馬からいたく気に入られる。見た目と言動からは分からないが実は男の子で、真実を知った飛浪と鉄馬を驚愕させていた。

おばあちゃん

立浪飛浪と鉄馬が海釣りに出向いた際に立ち寄った貸しボート屋「さざなみボート」の店主。まるで妖怪のような容姿をしている。老獪な性格をした商売上手で、孫のヒカルも使い、言葉巧みに飛浪と鉄馬の心理を誘導し、ボートを貸し出す。

〆地 (しめじ)

雑誌「月刊T・K・B」に在籍する眼鏡をかけた男性編集者。巨大イトウ「死霊」を釣るという潮謙三が携わる雑誌企画に付き添い、北海道入りしていた。繊細な性格をしており、厳格な謙三に振り回され、胃痛に悩まされつつも、素晴らしい釣り紀行を完成させるために決死の覚悟で随行する。

沼尻よしお (ぬまじり よしお)

短髪の男性。江戸川の全魚種を制覇したという釣りグループ「松戸アングラー部隊」の構成員。海釣りの際に出会った立浪飛浪に対し、「河口湖にいた初心者野郎」と因縁をつけて釣り勝負を挑んだものの、飛浪の方はまったく覚えていなかった。釣りの腕はそれなりに優れている。

場所

一碧堂 (いっぺきどう)

立浪飛浪が店番をしている寂れた釣り具屋。何十年も前からそこにあるような古びた店構えをしており、客はほとんどいない。「マスター」なるオーナーらしき人物がいるが、飛浪ですら「最近見かけねぇな」と言うほど、店には顔を見せない。伝説のアングラー「モンスター・ゲッター」がここにいると噂されていたため、藁をもつかむ思いでノブが訪問していた。

その他キーワード

モンスター・ゲッター (もんすたーげったー)

釣り人のあいだで噂となっている、狙った大物は必ず釣り上げてしまうという伝説のアングラー。名前を始め、そのすべてが謎のヴェールに包まれており、正体を知るものは誰もいない。立浪飛浪の釣りの腕前を見た潮海南は、彼のことを「モンスター・ゲッター」と呼んでいた。飛浪自身が「モンスター・ゲッター」を自称することもあったが、その機会は多くはなかった。

雷ガァ (らいがぁ)

河川敷の橋脚の下でキャストしていたユウのロッドをへし折った謎の大物。雷魚の胴体にカモのようなクチバシを持つ怪魚で、その名前はユウが付けたもの。正体は鋭い口を持つ大型の「パイク」という魚で、元々は観賞魚であった。

ピラーニャ・プレタ (ぴらーにゃぷれた)

空腹を満たすために公園の池でキャストしていた立浪飛浪が遭遇した、南米原産の川魚。体長60センチ、体重は2キロに達し、ピラニアの仲間でもっとも凶暴性が高いとされ、カミソリのように鋭い牙でブラックバスの肉をえぐり取ってしまう。

死霊 (いのとぅ)

北海道における湿原の主とされる超大型のイトウ。アイヌ語で「死んだものの魂」を意味する。体長は2メートルを越え、人間を川に引きずりこむほどの強大な力を持っている。ほかのイトウと異なり、湿原から出ることはなく巨体に見合った獲物だけを確実にしとめて生き延びてきた。7年前には檜山を湿原に引きずり込んで命を奪っており、潮謙三にとっては因縁の相手。

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