概要・あらすじ
日々街に出てはナンパを楽しんでいた男子高校生の立浪飛浪は、友人の誘いで訪れたルアーショップで出会った名も知らぬ美少女に一目ぼれする。彼女が河口湖に釣りに行くことを知った飛浪は、淡い期待を抱いて友人らと共に現地へと向かうものの、人ごみの中で目当ての彼女は見つからない。半ば諦めかけ、人気のない湖畔で、やけくそ気味にキャスティングしていた飛浪は、湖上で釣りをしていた釣り人のフローターにルアーを引っ掛けて沈める、という失態を犯してしまう。
ほうほうのていで湖畔へとあがってきた釣り人は、なんとルアーショップで会ったあの美少女であった。
登場人物・キャラクター
立浪 飛浪 (たちなみ ひろ)
ナンパが大好きなこと以外はごく普通の明るい男子高校生。女性への「声かけ」の成功率は仲間内でもダントツで、日々街に繰り出してはナンパを楽しんでいた。ある日、女性の間でルアーフィッシングが流行っていると聞きつけた友人の誘いで、ルアーショップを訪れた。そこで出会った美少女神流に一目ぼれし、彼女を目的に自らもルアーフィッシングを始めることになる。 あくまでもナンパの延長として、成り行きではじめた釣りだったが、再会を果たした神流と共にバスを釣り上げていくうちに、釣り自体が持つ魅力に徐々に引き込まれていく。ナンパで培った鋭い観察眼と状況に合わせた決めこまやかな対応力が持ち味で、創意工夫に富んだ釣りを得意としている。鉄馬とのキャスティング勝負を前にして、何万回となくキャストの練習を繰り返すなど、こと釣りに関しては人一倍の根気と集中力を発揮していた。
神流 (かんな)
ルアーフィッシングが大好きなはつらつとした女子高生。仲間と釣りを楽しむ「チーム・ビッグマウス」の一員。ルアーショップで立浪飛浪と初めて出会い、河口湖の「ヒミツの場所」で釣りをしていた際に、トラブルに巻き込まれて飛浪と再会したが、彼女の方は覚えていなかった。容姿端麗なうえに釣りのテクニックは抜群で、知人にもバスプロの男性がいる本格派。 かなり気が強い性格で、釣りの最中にナンパをしてくる男性にうんざりしている。釣りの初心者だと思っていた飛浪の目的がナンパにあったことを知った時は激怒していた。飛浪と仲直りした後は、彼に釣りの基本技術を教えながら共に釣りを楽しむ間柄になった。ルアーは「釣れると信じて使うのが大事」という信条の持ち主。 幻のルアーとされているゾディアックをお守りとして持ち歩いている。
鉄馬 (てつま)
神流の釣り仲間の少年。「チーム・ビッグマウス」の一員。釣りの腕前はかなりのもので、一流のトーナメントプロにも匹敵する技術の持ち主。クールな性格で、チームに入るためのテストを受けた立浪飛浪のあまりに一本調子な釣りを見抜き、嫌味ともアドバイスともとれる言葉を飛浪に送っていた。愛想はあまりよくないが、神流と飛浪の仲を取り持つために、さりげない気配りを見せるなど、意外に気が利くうえにマメなタイプ。 飛浪とは互いに憎まれ口を叩きつつも、信頼しあう友人同士になる。実家は寿司屋を営んでおり、そこで研究用にバスを飼育している。自室には、自身の釣りを記録したファイルが大量に置いてあった。
店長 (てんちょう)
ルアーショップの店長を務める男性。店には立浪飛浪が友人と共に訪れた。髭がトレードマークのベテランバサー。ルアーに関してはかなり博識で、神流が持っていた希少なルアー・ゾディアックについても熟知していた。「チーム・ビッグマウス」の最長年の一員で、メンバーからは慕われている。酔っ払うと魚の真似をするユニークな性格。
シュウ
神流の釣り仲間の少年。「チーム・ビッグマウス」の一員。眼鏡をかけた大人しい性格。半年がかりで釣果が12匹と、釣りのテクニックはいまひとつだが、知識はかなり豊富。新人の立浪飛浪に何かとアドバイスを送り、仲のいい友人となる。
則 (のり)
神流の釣り仲間の少女。「チーム・ビッグマウス」の一員。釣りの腕はさほどでもないが、明るく前向きな性格。大型バスがいるとの噂を聞きつけたチームのメンバーが、現地への移動手段に困っていた場面で、即座に店長の協力をとりつけようとするなど、機転が利くタイプ。
沼尻 (ぬまじり)
体格のいい短髪の男性。バス釣りの競技会にも出場しているトーナメンター(選手)。釣り上げた小さなバスを踏みつけて殺すなど、極めて下劣な性格。神流の「ヒミツの場所」を守るため、立浪飛浪がバス釣り勝負を挑んでいた。
船長 (せんちょう)
船の船長。船には、立浪飛浪と鉄馬による釣り勝負の最終戦で海に出た「チーム・ビッグマウス」のメンバーが、乗りこんだ。濃いサングラスをかけ、パイプをくゆらせる海の男。
その他キーワード
ゾディアック
幻とも言われる希少なルアー。貝殻で作られたハンドメイドの逸品。生物感のある美しい形状と、星をちりばめたような背筋の輝き、そして黒一色のカラーリングが特徴。作者は不明だが、今は神流の宝物となっている。