概要・あらすじ
極貧の中で育った少年蒲郡風太郎はその醜い容姿とあわせていつも馬鹿にされ、病弱の母は医者に見捨てられ死んでしまう。金の絶対的力を見せつけられた風太郎は金のためには手段を選ばぬ男へ変貌していく。金を盗んだところを以前から親身になってくれていた青年に咎められるが、風太郎は逆に青年を撲殺してしまう。
殺害を機に故郷を捨て上京した風太郎は、次々と殺人を重ねながらのし上がっていく。そんな彼を人々は銭ゲバと呼んで軽蔑したが、とどまることを知らない風太郎は更に政界へ進出。野望は続いていくのだった。
登場人物・キャラクター
蒲郡 風太郎 (がまごおり ふうたろう)
長野県松本市出身。酒乱の父と病弱の母の間に生まれ、生まれつきの左目の醜い傷と容姿にコンプレックスがある。貧乏な少年時代、お金がなくて医者にも見放された末に母親を亡くしたことで「世の中はすべて銭ズラ!」と、お金のために数々の殺人を犯して成り上がっていくことになる。
大昭物産の社長 (だいしょうぶっさんのしゃちょう)
大昭物産(だいしょうぶっさん)の社長。上京した風太郎を気に入り、娘の正美との結婚を機に副社長の椅子まで用意するが風太郎に撲殺される。
三枝子 (みえこ)
大昭物産の社長の長女。裕福な家庭で育ったことで高飛車なところもあるが風太郎が憧れる美人。実父を殺した夜に風太郎にレイプされ、放火された時に死んだと思われていたが、実は生きていてレイプの時に身篭った子供と共に再び風太郎の前に現れる。
正美 (まさみ)
大昭物産の社長の末の娘。風太郎と同じように醜い容姿を持つが、心は美しい。偽善で優しくしてくれた風太郎を愛し結婚する。だが、本性を現した風太郎に酷い虐待を受け、絶望の後、首吊り自殺をしてしまう。
田所刑事 (たどころけいじ)
元長野県警にいて風太郎が最初に殺した青年の事件を捜査しており、大昭物産社長の運転手新星殺人の件で風太郎を疑い執念深く追求していく刑事。
蒲郡 兼三 (がまごおり けんぞう)
風太郎の父親。飲んだくれで妻子に暴力をふるう性格。風太郎が10歳の時に愛人をつくってする。後に社長に就任した風太郎の前に現れ、ゆすりたかりでつきまとうようになる。
蒲郡久仁子 (がまごおりくにこ)
風太郎の母親。心の優しい母親だったが、夫の暴力や風太郎のために働き詰めで病に倒れ、医者にかかることもできずに亡くなる。風太郎が銭ゲバになるきっかけとなった。
近所の青年 (きんじょのせいねん)
風太郎の家の近所に住んでいて、親切で優しい青年。風太郎も兄のように慕っていたが、風太郎がお金を盗んだことをとがめたことで風太郎に撲殺されてしまう。
新星 (しんぼし)
大昭物産の社長の運転手。当たりや屋で飛び込んできた風太郎を疑っており、それを問い詰めたことで風太郎に殺されてしまう。
小畑 純子 (おばた じゅんこ)
社長になった風太郎が知り合った、唯一、心を許せる女子高生だったが、風太郎に「お金が欲しい」と売春を迫ったことで、裏切られたと感じた風太郎に殺されてしまう。
秋 遊之助 (あき ゆうのすけ)
政治家や社会悪を題材に小説で告発していく新進気鋭の社会派の小説家。風太郎の裏の面に興味を持ち、その生い立ちを調べようと近づく。
田所刑事の息子 (たどころけいじのむすこ)
少年の時に風太郎にひき逃げされた。青年になってから暴力団の一員となり奥田代議士の秘書樋口の手先となって風太郎を刺し殺そうとする。
藤村 俊次郎 (ふじむら しゅんじろう)
貧乏な出稼ぎの男だったが、風太郎に雇われて田所刑事の息子のひき逃げ犯の身代わりとして自首し、後に風太郎の秘書となる。
神清行 (じんせいこう)
大物代議士。拝金主義者で風太郎と金で繋がり、田所刑事への圧力や、後には風太郎が政治家になるために力を貸す。
さおり
神清行の娘。学生時代に秋遊之助の恋人だったが、風太郎の野望に惹かれて風太郎とつきあうようになる。
奥田代議士 (おくだだいぎし)
県知事選挙で風太郎と競り合う。
樋口 (ひぐち)
奥田代議士の秘書。風太郎に金で買収されて寝返る。