概要・あらすじ
人口が急増し、地球上の総人口が45億人に達しようとしていた1980年。コインロッカーの管理人は、妻の態度がひどく冷たいことを腹立たしく思いながら出勤した。職場に着くと、雑誌記者の木地角三が現れ、近年急増している「コインロッカーへの赤ん坊捨て」について取材したいという。そして木地は、管理人と話すうちに、赤ん坊捨てと人口急増の関連について、驚くべき理論を語り始めた。
登場人物・キャラクター
管理人 (かんりにん)
コインロッカーの管理人。初老の男性。人口の急増によって、日本では食料不足となり、そのあおりを受けて、始終空腹に悩まされている。「コインロッカーへの赤ん坊捨て」が最近になって急増し、赤ん坊の死体を見ても、特に何も感じないようになってきている。
妻 (つま)
管理人の妻。昔は情の深い女性で、管理人もそこに惚れていたが、最近急に冷淡になった。夫である管理人が出勤するときに、弁当を持っていこうとするのを渋るほどで、管理人が苛立ちを感じる原因となっている。
木地 角三 (きじ かくぞう)
「週刊朝目編集部」の記者。最近では目新しいテーマでもなくなった「コインロッカーへの赤ん坊捨て」の取材にやってきた。赤ん坊捨てをはじめ、人類が互いの生命を尊重しなくなりつつある理由を、世界人口の急増と結びつけて考えている。