闘魔伝

闘魔伝

相撲の開祖と言われる野見宿祢に敗れた当麻蹴速の技を受け継いだ主人公・闘魔神が、強者との闘いを求めて、角界へ殴り込む物語。古代日本に端を発する伝奇的要素を含みつつも、相撲協会の強権や外国人力士問題など、現実の角界が抱える問題にもスポットを当てている。また、実在の力士をモデルにしたと思しきキャラクターが大挙登場する。

正式名称
闘魔伝
ふりがな
とうまでん
作者
ジャンル
相撲
 
怪談・伝奇
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概要・あらすじ

昭和51年、奈良・葛城山中で人知れず行われた大一番。それは、角界の至宝双葉花と、当麻蹴速の技を受け継ぐ異端の力士闘魔神〈先代〉との、二千年の歴史を背負った闘いであった。死力を尽くした闘いの末、勝利を得たのは双葉花闘魔神〈先代〉は、巨岩で造られた土俵に叩きつけられ、その命を散らした。時は流れ平成2年、大相撲本場所に湧く両国国技館にひとりの若者が姿を現した。

彼こそが死んだ闘魔神(先代)の息子、新たなる闘魔神。今まさに異端の力士による近代相撲への挑戦が始まろうとしていた。

登場人物・キャラクター

闘魔神 (とうまじん)

日本書紀に登場する当麻蹴速の技と伝えられる蹴速相撲の使い手。若干18歳ながら、鋼のような肉体と飽くなき闘争心を持つ。強者との闘いを求め、大相撲の世界に殴り込み、数々の力士を叩き伏せていく。父である闘魔神〈先代〉を、双葉花に殺されているが、その瞳には復讐の意思は見られない。

闘魔神〈先代〉 (とうまじん<せんだい>)

闘魔神の父。双葉花との勝負に破れ、命を落した。当時4歳だった息子に厳しい鍛錬を課していたが、息子からは慕われていたようである。なお、「闘魔神」とは、一族が代々受け継ぐ名前であるらしく、作中では息子ともども終始「闘魔神」または「闘魔」と呼ばれ、本名は明かされない。

九方 (きゅうほう)

短駆禿頭にして僧形の老人で、父を失った闘魔神を育て上げた人物。一子相伝の蹴速相撲が失伝することがないように勤める伝道者であり、闘魔神〈先代〉の頃から闘魔神父子の生活を補佐していた。

双葉花 (ふたばはな)

闘魔神〈先代〉を倒した昭和の大横綱。しかし、その闘いで力士生命を失うほどのダメージを受けて引退した。闘魔神が両国国技館に現れた時点では、二又川勝治の名で、日本相撲連盟会長を務めている。

北斗里 (ほくとさと)

努力と精進の力士として知られる西の正横綱。本場所の土俵上で非礼な態度を取る闘魔神に激高し、得意のぶちかましを見舞うが、闘魔神には通じず、顔面を土俵に叩きつけられた。この敗北後、北海道にて山篭りしながら猛稽古を行い、ヒグマを倒すほどの力を付けた後に闘魔神との再戦に挑んだ。

千阿の川 (ちあのがわ)

平成の大横綱と呼ばれる東の正横綱で、闘魔神最強の敵。一度は葛城山中の巨岩上に造られた土俵で闘魔神と互角の闘いを繰り広げたものの、土俵が崩れたために勝負は決着しなかった。それ以来、土俵では無敗の快進撃を続けながら闘魔神との再戦を待ち続ける。

東山親方 (あづまやまおやかた)

かつては巨漢外国人力士として一世を風靡した親方。愛弟子の外国人大関赤錦の横綱昇進が、不当に見送られたことをきっかけに闘魔神を自身の部屋に受け入れることを宣言する。

赤錦 (あかにしき)

東山部屋に所属する外国人大関。抜群の成績で本場所を終えたにも関わらず、不当に横綱昇進が見送られたことに絶望しかけるが、相撲連盟より闘魔神との天風相撲による対戦を命じられ奮起。熱戦の末に一敗地にまみれるが、闘魔神との再戦を誓って東山部屋を離れた。

西乃嵐 (にしのあらし)

外国人大関である赤錦に対して、明らかに劣る成績だったにも関わらず、新横綱に昇進した元大関。昇進後の闘魔神との対戦では、鼓膜破りに目潰しと横綱とも思えぬ姑息な手段で勝ちを拾おうとしたが、闘魔神にはまったく通じず、一撃で土俵に沈んだ。

天風 (あまかぜ)

本作に登場する唯一の女性。戦国時代から続く由緒ある行司の家系である戸田家の二十六代目当主で、本名は戸田華蓮。当初は闘魔神に対して、「外道」と見下すような態度をとっていたが、あけすけな好意を示す闘魔神に次第に魅かれていく。しかし、両者の思いが通じ合った直後、生来の病により彼岸へと旅立った。

集団・組織

戸田家 (とだけ)

『闘魔伝』に登場する一族。戦国時代から行司を務めてきた一族。当主は代々天風を名乗る。かつては、相撲の興行から横綱の免状まで、相撲に関わるあらゆる決定権を有していた。しかし、平成の今ではその権勢を失い、唯一天風相撲を行う権利だけを持ち続けている。

その他キーワード

天風相撲 (あまかぜずもう)

『闘魔伝』作中で実施された特殊な相撲。熊本にある戸田家敷地内に造られた土俵で古来より行われてきた相撲で、これに勝利した者は、無条件に角界へ入ることが許される。ただし、土俵上のふたりの力士が全身全霊で闘ったと立会人全員が認めない限り勝敗は決まらず、何度でも取り組みが繰り返される。

蹴速相撲 (けはやずもう)

『闘魔伝』の主人公闘魔神が、身に付けた相撲。日本書紀において野見宿祢に敗れた当麻蹴速の技を伝承するといわれる。四股を踏み、土俵で戦う点では通常の相撲と替わらないが、蹴り技を重視するという大きな特徴がある。その存在を知る角界の人間からは「外道」とも「殺人相撲」とも呼ばれる。

宿祢相撲 (すくねずもう)

『闘魔伝』において、日本の国技として親しまれてきた大相撲を指す用語。闘魔神が修める蹴速相撲に対して、大相撲の開祖が野見宿祢とされていることからこのように呼称される。作中では相撲界の重鎮が闘魔神と相対した際などに口にするだけで、一般に広まってはいない。

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