概要・あらすじ
謎の女・天宮詩織は、芸能プロダクション・オフィス白鯨の代表である鯨岡平助を訪ねる。頭脳明晰、美貌もアナウンサーとしての才能もある詩織は、アナウンサーとしての出世階段を着々と上っていく。しかし、彼女には隠された秘密があった。詩織の出世を通して、テレビ局の暗部、裏社会との癒着、スポンサー絶対主義、奴隷のような下請け、報道番組の闇などを描いていく。
登場人物・キャラクター
天宮 詩織 (あまみや しお)
ある事情からFMラジオを退職、芸能プロダクション・オフィス白鯨に入る。その後、野望を胸に丸の内テレビのトップキャスターを目指す。美貌と頭脳、そして悪の才能を持った女。歌わせると音痴。気象予報士の資格も持っているため、天気予報も出来る。また、地震雲から地震が近いことを知るという予知的な能力もある。
谷口 ハジメ (たにぐち はじめ)
キー局丸の内テレビ社員。報道部所属。社会部のサツまわり。「あるリストラサラリーマンの一生」で日本エミ―賞ドキュメント部門で賞を受けている。独自の信念を持って、徹底した取材、調査を行っていく。偶然に天宮詩織と出会い、惹かれていく。
本城 律子 (ほんじょう りつこ)
フリーの女子アナウンサー。日本のマスコミ関係者の中では2番めに宇宙からの中継を行う。そのために看板番組を降り、NASAで訓練を受けるという努力家。また、書いたエッセイや小説もベストセラー。華族に連なる名家出身で、5ヵ国語を操り、イエール大学を卒業という才媛。興奮するとアカペラで歌を歌う。
鯨岡 平助 (くじらおか へいすけ)
芸能プロダクション・オフィス白鯨の社長。10年前には多くのアイドルを発掘デビューさせていたが、今やタレントはひとりもおらず、借金まみれの事務所となっていた。押しかけてきた天宮詩織が小切手を切り、社長込みの居ぬきでプロダクションを買い、以後、天宮詩織の売り出しに奔走する。
仁科 誠一 (にしな せいいち)
東日本最大の暴力団・誠龍会をバックとした総会屋、紫誠堂グループの社長。天宮に惚れ、陰からの協力をしている。
立花 哲人 (たちばな てつんど)
丸の内テレビ報道局の看板番組ニュースターミナルのメインキャスター。元新聞記者で、政財界などへのコネも強い。
天宮 理一 (あまみや りいち)
元国営放送の記者。天宮詩織を引き取り、育てた。
油小路 薫子 (あぶらこうじ かおるこ)
オフィス白鯨の入ったビル、油小路第一ビルのオーナー。カオル会計事務所所長、カオル金融会長、コトブキ流通会長、かもめ水運相談役など商売の幅が広い資産家。天宮詩織を気に入り、応援していく。
高輪 伸彦 (たかなわ のぶひこ)
札幌FMの前社長が脳梗塞で倒れ、急きょ新しい代表取締役に抜擢された。前社長一族に連なる40代半ばの切り札的存在で、それまでは東京の大手代理店に勤めていた。
角館 ちず子 (つのだて ちずこ)
丸の内テレビの朝番組、丸トク・モーニングのメインキャスター。予算以外のすべてを仕切る影のプロデューサーで、気に入らない人間は辞めるまでいじめぬく。本城律子と同期。