あらすじ
第1巻
高校3年に進級した一ノ瀬太一は、クラス分けの張り出しを見て、幼なじみの三田桃真と同じクラスになった事を知る。小学生からの幼なじみである桃真に苦手意識がある太一は、桃真から話しかけられた時だけ反応して、自分からは話そうとせずに距離を取っていた。ある日、本屋に立ち寄った太一は、本が取れずに困っているクラスメイトの空勢二葉を見かけて助け、その後、二葉から桃真の事を相談される。
二葉が桃真の事を好きなのを察知した太一は、二葉の恋をサポートする事を決めて、二葉と桃真の橋渡し役として桃真との交流を復活させる。太一は最初は友達として二葉を応援していたが、二葉と接するうちに自分も気付かないうちに二葉に惹かれていくのだった。
第2巻
5月に入り、中間試験などの学校行事が多くなる中、三田桃真はクラスメイトから体育祭の応援団団長をやってほしいと頼まれる。競技に集中したくて固辞していた桃真だったが、一ノ瀬太一と空勢二葉の二人を副団長にする事を条件に承諾。太一と二葉は突然の事に戸惑うが、大学に進学しない桃真にとっては最後の体育祭になる事を思って、最後までやり遂げようと決心する。最初はぎこちなかった二人だったが、猛特訓のおかげで、体育祭本番ではほかの組と遜色ない応援ができるようになっていた。しかし、リレーの前に行われる各クラスごとのエールで、選手として出場する桃真の代わりに、みんなを指揮する形になった二葉は、本番で頭が真っ白になって立ちすくんでしまう。
第3巻
車に轢かれそうになった子猫を助けるために、道路に飛び出した一ノ瀬太一を見た三田桃真は、太一をかばって車に轢かれてしまう。子猫は助かり、太一も軽症ですんだが、桃真は左足を骨折してしまう。桃真がケガした事で、甲子園を目指して勝ち進んでいた野球部の予選敗退は決定的となり、太一は桃真の夢をつぶしてしまったうえに、多くの人に迷惑を掛けてしまった罪悪感で、自分を責め続ける。空勢二葉は太一を心配して声を掛けるが、半ば自暴自棄になった太一は、二葉に声を荒らげて暴言を吐いてしまう。それでも二葉は太一が落ち着くまで手を握って待つのだった。
第4巻
三田桃真のお見舞いで病院を訪れた一ノ瀬太一と空勢二葉は、病室で激しく言い争う桃真と三田誠也を見てしまう。状況が把握できず動けなかった二人だったが、落ち着くために病室を出ようとした誠也に誘われて、一旦病院をあとにする。そして飲食店に入り、三人で食事をしていると、話題は太一と二葉の進路になり、その流れで「なぜ桃真が大学に進学しないか」という話題になる。誠也は見当がつかず、先ほどの言い争いもその事が原因であった。そんな中、桃真は太一になら本当の事をしゃべるだろうと、太一が桃真の本心を聞き出す事となった。太一自身はなんとなく理由を察知していたが、聞き出すタイミングがないまま桃真の退院の日を迎える。普段の生活に戻ったある日、本屋で偶然出会った桃真と二葉はいっしょに街を散策し、花火大会のポスターを見つける。花火大会の開催日が太一の誕生日と同じという事を知った二葉は、太一、桃真、二葉、伊達真澄の四人で花火を見に行こうと提案する。
登場人物・キャラクター
一ノ瀬 太一 (いちのせ たいち)
神奈川県立青浜高等学校に通う男子生徒。クラスは3年A組。身長は155センチ。三田桃真からは「タイちゃん」、明希子からは「タイくん」と呼ばれている。コミュニケーションを取るのが苦手で友達は少なく、気の合う3人の友達と4人で一緒にいることが多い。小学6年の時に目の前で車に轢かれた猫を助けられなかった過去があり、困っている人がいたら助けようと常に思っている。 桃真とは中学までは交流はあったが、高校に入学してからはあまり話さなくなっていた。空勢二葉のことを、どんくさくていつもうつむいているさまが自分に似ているという理由で嫌っていたが、本屋で困っているところを助けたのをきっかけに、二葉が桃真のことを好きだと知る。桃真の好みが自分と違っていても決して諦めずポジティブに考える二葉を見て協力を申し出る。 二葉と桃真の橋渡し役をやっているうちに桃真とも交流が復活し、二葉と仲の良い伊達真澄とも知り合い4人でいる機会も増える。そして二葉のことを知っていくうちに徐々に二葉のことを意識し始める。
三田 桃真 (みた とうま)
神奈川県立青浜高等学校に通う男子生徒。クラスは3年A組。身長は189センチ。野球部に所属しキャプテンを務める。運動神経は抜群で、何でも人並み以上にこなして人当たりもいい。ユーモアもあるため男女問わずに人気がある。特に女子人気は高いが彼女はいない。周囲からは「トーマ」と呼ばれている。一ノ瀬太一とは小学校からの幼なじみだが、高校に入ってからは疎遠となっていて、3年に進級して太一が空勢二葉と三田桃真の橋渡し役をするようになってから交流が復活する。 二葉の気持ちには気付いておらず、何かと一緒にいる二葉と太一が両想いだと勘違いして2人を恋人にしようとしている。好みのタイプは「大人っぽい」「ハッキリと物を言う」「スラっとした高身長」「巨乳」「さばさばとした性格」「スポーツが得意」「黒髪ストレートのロングヘア」と太一に言っており、太一は条件に当てはまる明希子のことを指していると思っているが、実際は「黒髪」の別の人物が好き。
空勢 二葉 (くぜ ふたば)
神奈川県立青浜高等学校に通う女子生徒。クラスは3年A組。身長は154センチ。一ノ瀬太一の友達からは「小動物っぽい」「ハムスター系女子」と思われている。園芸部に所属している。自分が育てていたトマトの苗に野球部のボールがぶつかった後、三田桃真が毎日苗の様子を見に来てくれて、花が咲いた時や実がついた時に一緒に喜んでくれたのをきっかけに桃真のことが好きになる。 桃真と仲のいい太一に桃真の好みなどを尋ね、太一の何気ない「髪型を変えれば印象が変わる」という一言でロングヘアーをばっさりと切ってショートカットになる。桃真に髪型を変えたことに気付いてもらえて嬉しくなるものの、その後に太一から桃真には片想いの人がいることを聞いて落ち込む。それでも諦めきれず、太一の協力を得ながら少しずつ親交を深めていく。
伊達 真澄 (いたち ますみ)
神奈川県立青浜高等学校に通う女子生徒。クラスは3年D組。長い髪をポニーテールにしている。運動神経が良く陸上部に所属している。さらに獣医を目指しており、北大や東大を進学先に選べるほど成績が優秀。冷静な性格をしているが、自分と自分が大切にしている人以外はどうでもいいという考えを持っている。そのため友達の空勢二葉のことを大事に思い、二葉が傷つくとわかっていることをやらせている一ノ瀬太一に激怒する。 数多くの男性から告白され付き合っているが、毎回すぐに別れてしまう。
八木原 マミ (やぎはら まみ)
神奈川県立青浜高等学校に通う女子生徒。クラスは3年D組。三田桃真のことが好きで、自分の気持ちを隠しもせずに積極的にアプローチを仕掛けている。高校3年生になって、桃真が一ノ瀬太一、空勢二葉、伊達真澄と一緒にいることが多くなり、自分の誘いに乗らなくなったことに不満を抱く。
明希子 (あきこ)
三田桃真の兄である誠也の妻。一ノ瀬太一からは「アキさん」と呼ばれている。小学6年生の時の桃真の家庭教師を務めていた。桃真の両親は2人とも事故で亡くなっており、今は桃真と誠也の3人で暮らしている。桃真の好きなタイプである「大人っぽい」「ハッキリと物を言う」「スラっとした高身長」「巨乳」「さばさばとした性格」「スポーツが得意」「黒髪ストレートのロングヘア」に合致しており、桃真が好きな女性は明希子だと太一は思っている。 明希子は桃真のことをかわいい義弟として接している。
三田 誠也 (みた せいや)
三田桃真の歳の離れた兄で、明希子の夫。両親を交通事故でなくしている三田家の大黒柱。桃真が交通事故で入院した病院で一ノ瀬太一と再会し、自分のせいで桃真がケガした事を悔やむ太一を慰める。