壬生義士伝

壬生義士伝

陸奥国盛岡・南部藩の脱藩浪士で、新選組隊士となった吉村貫一郎の生涯をドキュメンタリータッチで追った作品。原作:浅田次郎。

概要

慶応四年(1868)。鳥羽・伏見の戦いに敗れた新選組からひとり離脱した吉村貫一郎は、満身創痍の身を引きずりながら故郷を目指す途中、かっての主家、盛岡南部藩蔵屋敷に辿り着く。しかし脱藩者である貫一郎に藩の者たちは冷たく、蔵屋敷を預かる竹馬の友、大野次郎右衛門からは切腹を申し付けられる。

時は流れ大正三年(1914)。ひとりの青年記者が、貫一郎のことを取材していた。青年によって吉村貫一郎の真実の姿が明らかになっていく。

登場人物・キャラクター

吉村 貫一郎

もとは盛岡南部藩士。二駄二人扶持の足軽ながら学問と剣術に傑出していたが、生活に困窮し脱藩して新選組隊士となった。愛する家族のことをひたすら想い、守銭奴と呼ばれても一途に家族のために信念をつらぬく純朴な男。歴史上の実在の人物、吉村貫一郎がモデル。

大野 次郎右衛門

大坂の盛岡・南部藩蔵屋敷の差配役。「剃刀次郎衛」(かみそりじろうえ)の二つ名をもつ勘定方の切れ者。若くして四百石取りの家格と実力を併せ持つ。吉村貫一郎は組付の配下にして幼馴染み。

吉村 嘉一郎

吉村貫一郎の息子。脱藩浪士の父の汚名を背負い、苦しい少年時代を生きるが、父親の血をひいて、剣術にも長け、利発に育つ。その義をつらぬく生き様は、桜庭弥之助に「七回生まれ変わっても嘉一郎の足元にも及ばない」と言わせた。

しづ

吉村貫一郎の妻。路上で母につきそい花売りをしていた幼少の時から貫一郎に想いをよせられていた。娘となって更に美しくなったしづを大野次郎右衛門が嫁にしたいと言いだしたことで、意を決して告白し結ばれる。よく働き、嘉一郎をはじめ三人の子を身籠る。

斎藤 一

新選組の三番隊長。沖田総司、永倉新八と並ぶ剣客。腕も立つが、無愛想で無駄口を叩かない。左利き。脱藩者の事件で吉村貫一郎と剣をまじえる一件がある。歴史上の実在の人物、斎藤一がモデル。

沖田 総司

新選組の副長助勤。多くの隊士が厳格に振る舞う中、一見優しげであり、ひょうきんな性格を見せるが、剣の腕は一流。冷静に状況判断をして隙のない行動をする。歴史上の実在の人物、沖田総司がモデル。

永倉 新八

新選組の副長助勤。神道無念流の免許皆伝。吉村貫一郎の入隊時の手合わせに立ち会うが、その貫一郎の見かけによらない強さに敗北する。さっぱりとした男らしい性格。歴史上の実在の人物、長倉新八がモデル。

大野 千秋

大野次郎右衛門の息子。一部では冷酷無比と呼ばれた父親とは対照的に、神経が細やかでやさしい少年。吉村貫一郎の息子・嘉一郎を時にかばい、助ける。

土方 歳三

新選組の副長。剣豪揃いの隊士たちにも恐れられるほどで「鬼の副長」と呼ばれた。入隊してきたばかりの吉村貫一郎の剣術の確かさを見抜いて、いきなり剣術師範方に任命する。歴史上の実在の人物、土方歳三がモデル。

佐助

盛岡藩蔵屋敷の召使い。満身創痍で戻ってきた吉村貫一郎に唯一やさしく対応した人物。

竹中 正助

大正三年、東京の神田で学生相手に小さな居酒屋を経営する老人。元新選組の平隊士で、吉村貫一郎と常に行動を共にし、その生き様を見てきた。とある青年記者の取材で当時を回想し証言する。

桜庭 弥之助

大正三年、南部盛岡出身の政治家・原敬(はらたかし)総裁の後援者。かつて新選組で吉村貫一郎に剣術を学んだことがある。とある青年記者の取材で、当時を回想し証言する。

稗田 利八

かつて池田七三郎(いけだしちさぶろう)という名で新選組に参加したことがある。わずか二ヶ月だったが、吉村貫一郎を先生と慕い尊敬していた。大正三年に商家の隠居となっていた。その頃の強烈な思い出を、とある青年記者の取材で回想し証言する。歴史上の実在の人物、池田七三郎がモデル。

その他キーワード

二駄二人扶持

『壬生義士伝』のなかで幾度となく出てくる言葉。一駄は馬が背の両側に背負う米、二俵分。それが二駄で四俵が一年間に支給される米。更に御扶持米の玄米が二人扶持で日に一升。一年分とすると十俵。合わせて十四俵が足軽・吉村貫一郎の稼ぎだったことになる。

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