BLAME!

階層化された巨大な都市が無数に連なる世界。秩序が崩壊して自律機械による殺戮が繰り広げられるなか、霧亥は世界の機能を取り戻すため戦い続ける。作者弐瓶勉の連載デビュー作。読者の指が「黒く染まる」と言われるほど、登場する構造物やメカニックなどの緻密な書き込みが特徴。珪素生物やネット端末遺伝子などの設定があり、SFのサブジャンルでいうところのサイバーパンク的要素が強い作品である。

概要・あらすじ

巨大な都市空間・超構造体(メガストラクチャー)が果てしなく垂直に積み重なる形で構成された世界。現実世界は基底現実と呼ばれ、かつてネットスフィアという仮想現実によって管理されていた。だが「厄災」の後、これが正常に機能しないカオスの世界となる。人間はかつてネット端末遺伝子によってネットスフィアにアクセスできたが、何らかの感染によってこの遺伝子が変異。

ネットスフィアを守るため発動するセーフガードは、正常なネット端末遺伝子を持たなくなった人間を無差別に殺戮した。いっぽうでカオス状態の維持が生存に不可欠な珪素生物は、ネットスフィアの機能回復を図る人間と対立。そうしたなか、探索者・霧亥は失われたネット端末遺伝子を求めて数千の超構造体を旅していた。

その過程で霧亥シボという女性科学者を救出、以後行動をともにする。だがシボネットスフィアのハッキングに失敗し、最上位セーフガードユニットと同化してしまう。霧亥珪素生物との戦いで破壊されたシボの体から、球体の胚を回収。

感染の危険がないとされる超構造体群を超えた先で発芽させるべく、最後の旅に赴く。

登場人物・キャラクター

霧亥 (きりい)

ネット端末遺伝子の探索者。統治局の代理構成体によれば「セーフガード以前のシステムの密使」。人間だが身体を改造しており、知覚、再生能力などが強化されている。極端に無口かつ無表情。セーフガードだけが使えるはずの武器・重力子放射線射出装置を持つ。珪素生物に対する強い敵意の持ち主で、戦闘の意思を持たない相手すら躊躇なく殺害した。 シボから回収した球体を超構造体群の果てに届ける過程で何者かに頭部を撃ち抜かれるが、沈んでいった水の底で球体が発芽を始めた。

シボ

元・生電社主任科学者。女性。生電社により磔の半死状態にされていたが、霧亥によって新しい体を手に入れた。以後、行動をともにするように。人格をデータ化し、人間だけでなくセーフガードなどの体にも乗り移ることが可能。サナカン、別の世界線からやってきて死んだシボなどの体を転々とした。 最後はレベル9の最上位セーフガードユニットと同化した後、球体を残して破壊される。ネット端末遺伝子を持つセウの遺伝情報をメンサーブから受け取った後、自分に転写していた。

駆除系 (くじょけい)

多くは外殻で覆われた人間に近い形をしている。セーフガードによって仮想世界から無尽蔵に作出され、人間を殺戮する。ダフィネ・ル・リンベガはセーフガードのシステムを破壊して、作出の遮断に成功した。

サナカン

駆除系よりも上位のセーフガード。重力子放射線射出装置を持ち、強大な戦闘力を誇る。小柄な少女の姿をして人々に紛れ込んだ後、東亜重工外の住民を殺戮し始めた。霧亥との戦闘を経て、シボがサナカンの体に乗り移る。シボはサナカンの意識を「深い部分」に閉じ込めるが、後にシボが撃たれたことで蘇った。

ドモチェフスキー

非公式超構造体が珪素生物の侵略を受けたため、緊急システムにより「作出」された臨時セーフガード。数百年にわたり戦い続けている。珪素生物を束ねるダフィネ・ル・リンベガを殺して階層を安全にするのが目的。通常のセーフガードと異なり、ネット端末遺伝子を持たない人間も保護する。 最後はダフィネ・ル・リンベガとシボのハッキングにより「作出」されたレベル9の最上位セーフガードユニットに破壊された。

イコ

ドモチェフスキーとともに「作出」された臨時セーフガードであり、そのパートナー。実体がなく、浮遊する人魂状の存在。さまざまな電子系の操作を行う。

ダフィネ・ル・リンベガ

非公式超構造体を侵略した珪素生物の1人。非公式超構造体でのみ可能な「仮接続」を通じて、ネットスフィアへの侵入を図る。ドモチェフスキー、イコと戦っている。ハッキングを拒んだネットスフィアによって生命を絶たれた。

プセル

珪素生物。女性の形をしている。ダフィネ・ル・リンベガの配下としてドモチェフスキー、霧亥らと戦う。ドモチェフスキーに破壊された。

電基漁師 (でんきりょうし)

東亜重工の外に出た人間の子孫。仕事の実態は不明。霧亥たちより一回り小さい種族の人間からなる。駆除系のセーフガードに襲われた霧亥、シボらを救った。駆除系を破壊できる銃を持っているが、銃や銃弾を作る技術はすでに失われている。祖先を植民者(プランター)と呼ぶ。

メンサーブ

東亜重工の第8空洞を守る情報処理機構、個性を持ったAI。女性のような姿で実体化する。珪素生物の侵略を受けた後、異常を来した。中央AIによる東亜重工の転送に際して「時空隙」へ去るが、直前にネット端末遺伝子を持つセウの遺伝情報を霧亥らに託す。

セウ

メンサーブに忠誠を尽くして戦う人間。ネット端末遺伝子の持ち主。珪素生物との戦闘で負傷するたび肉体を再生されるが、人格はそのたび劣化していく。メンサーブはセウの人格再生のため、中央AIに戦いを挑んだ。やがて人格が回復した後、メンサーブとともに「時空隙」へ消える。

イヴィ

珪素生物。男性の形をしている。東亜重工の第8空洞に侵入し、メンサーブ、セウと戦う。最後はセウに殺された。

メイヴ

珪素生物。女性の形をしている。セウに倒された後、第13空洞で見つかった珪素生物と同種の巨大な生物に体を移植される。

頭取 (とうどり)

生電社の「主電脳」を司る存在。機械と一体化した巨大な人間の形をしている。「あいつの生体工学は間違っている」というシボに頼まれ、霧亥が破壊した。

テッツァン

頭部だけが機械と一体化したヨシオを相棒とし、廃棄階層で捕獲した乾人を生電社に届ける仕事をしている。霧亥を生電社に送り届ける途中、乾人に殺された。

代理構成体 (だいりこうせいたい)

統治局が人間と接触するために転送(ダウンロード)する人型の物体。ネットスフィアの機能回復のため、霧亥たちに助言や手助けを行った。レベル9の最上位セーフガードユニットと同化した後に珪素生物に捕獲されたシボを助け出す。

集団・組織

珪素生物 (けいそせいぶつ)

『BLAME!』の登場する種族。人型をした別種の生物。人間とも会話可能。種族の存続にはネットがカオス状態であることが必要であり、ネット端末遺伝子を持つ人間によるネットスフィアの機能回復を阻止しようとする。

東亜重工 (とうあじゅうこう)

『BLAME!』に登場する企業。協定により統治局、セーフガードが介入できない。13の「空洞」と呼ばれる階層が垂直に連なり、巨大な円筒を形成している。各空洞ごとに独立したAIが情報処理機構を司り、中央AIがそれを束ねる。かつて人が住んでいたが、後に人格と肉体を分離・データ化して保存されるようになった。 外に出たまま戻れなくなった人間の子孫が周囲の重層居住区で暮らしている。霧亥とシボが訪れて非常口を開け、セーフガードに襲われる住人たちをいったんなかへ避難させた。いっぽう狂った中央AIは統治局、セーフガードとの協定を破棄し、新天地を求めると称して東亜重工を別空間に転送してしまう。 『BIOMEGA』、『シドニアの騎士』など、弐瓶勉作のほか作品にも同名の企業が登場するが、同一のものかは不明。

生電社 (せいでんしゃ)

『BLAME!』に登場する組織。廃棄階層にある。移植用に乾人と呼ばれる種族の身体を買いつけている。シボがかつて主任科学者と呼ばれるポストにあり、ネットスフィアとの通信を試みる実験などを行っていた。人々に奴隷労働を強いており、反乱勢力も潜んでいる。

場所

空洞 (くうどう)

13の空洞が階層化され、東亜重工を構成している。最初に霧亥、シボ、電基漁師たちが訪れた第8空洞には「頼んだものをなんでも造ってくれる機械」があり、小さな妖精のような存在がメンテナンスを行っていた。珪素生物が東亜重工を侵略した際、第8空洞にいた人間だけがメンサーブによって第13空洞に転送された。 霧亥は第4空洞で別の世界線から来たシボと出会う。

その他キーワード

ネットスフィア

『BLAME!』に登場するシステム。かつてネット端末遺伝子を持つ人間が、機械的デバイスを使わずにアクセスできた世界。そのハードウェアは超構造体ごとにフィラメント状に埋設されている。厄災の後、正常に機能しなくなった。ネット端末遺伝子を失った人間たちがアクセスを試みている。

超構造体 (めがすとらくちゃー)

『BLAME!』に登場する巨大な構造体。厚さが最大で27km。内部に都市を収容する。垂直に果てしなく連なっており、各超構造体は階層と呼ばれる。霧亥は3000を超える階層を旅してきたが、全貌は不明。都市は暴走して拡張を続けており、超構造体も新たに増設されている。階層を隔てるプレートは極めて強固で、重力子放射線射出装置でしか破壊できない。

統治局 (とうちきょく)

『BLAME!』に登場するシステム。ネットスフィアの「支配レベル」という位置づけ。仮想現実から代理構成体を基底現実に転送(ダウンロード)する形で、人間に干渉する。ネット端末遺伝子を持つ人間によるネットスフィアの機能回復を望んでいる。そのため代理構成体を基底現実に転送して霧亥らにメッセージを伝えたり、物理的に保護したりしている。

セーフガード

『BLAME!』に登場するシステム。ネット端末遺伝子を持たない人間を駆除する。ネットスフィアの一部だが独立しており、統治局は干渉できない。駆除系と呼ばれる人型の物体などをネットスフィアから基底現実へ作出し、人間を殺戮する。

緊急保存パック (きんきゅうほぞんぱっく)

『BLAME!』に登場する装置。moriというメーカー名の書かれた小さな箱。人格を保存する機能を有し、保存された人格は音声で会話できる。シボがレベル9の最上位セーフガードユニットと同化した後、さまよっていた霧亥が道ばたの死体の傍らで見つけた。正規の所有者の人格の上から複数の人格が上書きされている。 その人格の1つが突然口を開き、霧亥に「レベル9を使って都市を救う方法を発見した」と告げた。

非公式超構造体 (あんおふぃしゃるめがすとらくちゃー)

『BLAME!』に登場する巨大な構造体。超構造体の1つ。増設された際にネットスフィアのハードウェアが統治局に正しく検出されず、初期状態のまま放置された。そのため補完措置として、ネット端末遺伝子がなくても接続できるシステムが例外的に設けられている。ダフィネ・ル・リンベガはこれを狙ってネットスフィアへの侵入を試みた。

重力子放射線射出装置 (じゅうりょくしほうしゃせんしゃしゅつそうち)

『BLAME!』に登場する拳銃型の武器。霧亥やサナカンが持つ。一部の上位セーフガードにしか使用が許されない。ほかの銃器類を遥かに凌駕する破壊力を持つ。破壊の強度は霧亥が任意に変えられる。非公式超構造体でドモチェフスキーを撃ち損じた時は、構造体に深さ70kmの穴が穿たれた。

軌道車両 (きどうしゃりょう)

『BLAME!』に登場するモノレール。東亜重工のある階層で、電基漁師たちが移動に使っている。ドアの開閉など人的な制御はされていない。

廃棄階層 (はいきかいそう)

『BLAME!』に登場する巨大な構造体。超構造体の1つ。大昔に統治局が干渉を放棄した。塊都と呼ばれる都市があり、霧亥らより一回り大きな種族の人間が暮らしている。ここで霧亥とシボが出会った。

建設者 (けんせつしゃ)

『BLAME!』に登場する機械。大小さまざまなロボットの形をしており、制御を失ってひたすら都市を増殖させている。霧亥は建設者の意思を知ることができ、シボはさらにその能力を借りて建設者を操れるようになった。

書誌情報

Blame! 全10巻 講談社〈アフタヌーンKC〉 完結

第1巻

(1998年6月発行、 978-4063141825)

第2巻

(1998年12月発行、 978-4063141948)

第3巻

(1999年8月発行、 978-4063142181)

第4巻

(2000年3月発行、 978-4063142358)

第5巻

(2000年9月発行、 978-4063142518)

第6巻

(2001年3月発行、 978-4063142631)

第7巻

(2001年10月発行、 978-4063142778)

第8巻

(2002年4月発行、 978-4063142891)

第9巻

(2002年12月発行、 978-4063143102)

第10巻

(2003年9月発行、 978-4063143287)

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