概要・あらすじ
自分の発見によって原子爆弾が投下されたことを後悔していたアルバート・アインシュタインは、ある望みを叶えるため、予知夢を見るふたりの少年に老化遅延剤を託す。その後、2005年の日本。飛行機事故で弟を亡くした15歳の少女篤生涙花は、そのショックで精神を患った母親を助けるため、持っていた不思議な能力で男性体に成長し、弟のふりをして過ごしていた。
自身を探し求めていたという青年アルバート=ヒカル=ディヴァイと喋らない少年ロビンに出会い、「地球のエネルギーの集まる場所グローバルガーデンに連れて行って欲しい」というヒカルの願いを叶えようとする。
登場人物・キャラクター
篤生 涙花 (あつき るいか)
15歳の少女。10歳のときに飛行機事故で父親と弟を失い、ショックで精神を患った母親のために、弟の篤生昌人になろうとしている。「強く望んだことが現実化する」という不思議な能力を持っており、その能力の影響で身体的にも男性化しつつある。父親が死亡し、母親が入院したことで、杉元昴大の家に引き取られているが、杉元家に自分の居場所を見つけられずに、ひとりで実家のマンションに住んでいる。 自分を探してあらわれたアルバート=ヒカル=ディヴァイにひかれ、昌人から涙花に戻るためにヒカルたちと共同生活を始める。地球の心臓部グローバル・ガーデンとつながりを持っており、願望を実現する不思議な能力もそこから来ているが、本人にその自覚はない。
杉元 昴大 (すぎもと こうだい)
篤生涙花の後見人であり、篤生可奈子の主治医杉元の息子。涙花に好意を抱いている青年。
アルバート=ヒカル=ディヴァイ (あるばーとひかるでぃゔぁい)
予知夢を見る能力を持つ青年。10歳のころに夢の中で篤生涙花と出会い、21世紀で再会する約束をする。約束を果たすため、アルバート・アインシュタインから受け取った老化遅延剤を飲み、成長を遅らせている。そのため見かけは20代の青年だが、実年齢は60歳ほど。その後も篤生涙花の未来や過去の姿と夢のなかで出会い、彼女たちのことを北欧神話になぞらえて「ウルド」「ベルダンディー」「スクルド」と呼んでいる。 老化遅延剤の副作用で、肩甲骨が翼のように変形する「異形化」と呼ばれる症状を持つようになったが、その後「ウルド」と出会い回復する。ライル=ハルヒ=タカスミとともにスタンリー財団の医療施設に収容され、研究と治療を受けていたが、ハルヒとの確執からスタンリー財団を抜け出し、涙花を探している。 ハルヒとは母親が双子同士の従兄弟関係。
ロビン
両親を交通事故で亡くし、現場に偶然居合わせたアルバート=ヒカル=ディヴァイに引き取られている少年。話すことができず、筆談で会話をする。実はヒカルとアルバート=アインシュタインの細胞から作り出されたクローン人間であり、転生したアルバート・アインシュタインの意識を受け継いでいる。
ライル=ハルヒ=タカスミ (らいるはるひたかすみ)
アルバート=ヒカル=ディヴァイとともに、老化遅延剤を飲んだ男。ヒカルと同じく、外見は20代だが、実年齢は60歳ほど。アメリカにあるスタンリー財団の医療施設で、老化遅延剤による不老や予知夢などの研究と治療を行っている。また、ヒカルと同じく、予知夢を見る能力を持つ。 21世紀に篤生涙花と出会うのはヒカルではなく自分だと考え、涙花を追う。母親が双子同士だったヒカルとは従兄弟である。
藤丸 (ふじまる)
アルバート=ヒカル=ディヴァイと行動を共にしている男。関西弁を話す。スタンリー財団でヒカルの血を受ける洗礼と呼ばれる治療をほどこされ、不老になっているが、そのことをよく思っていない。また、父親も同じようにヒカルの洗礼を受けているが、適合率が低かったために「異形化」し、スタンリー財団で治療を受けている。 そのためスタンリー財団を抜けた後でも、ライル=ハルヒ=タカスミに協力しようとすることもある。
セイン
アルバート=ヒカル=ディヴァイと行動を共にしている男。藤丸と同じく、ヒカルの血の洗礼を受けて不老になっている。同じくヒカルの洗礼を受けた姉のニコルがいる。定期的に輸血を受ける必要のあるニコルのため、ヒカルに協力している。
アルバート=アインシュタイン (あるばーとあいんしゅたいん)
天才科学者。原子爆弾の基礎となる理論を発見するが、それが戦争に利用されたことを後悔していた。死ぬ直前に助手であったナラダの父親から老化遅延剤のタブレットを受けとるが、自分の死期を悟り、タブレットをアルバート=ヒカル=ディヴァイとライル=ハルヒ=タカスミに渡し、死亡する。 実在の科学者アルバート・アインシュタインがモデル。
シシィ=バコール (ししぃばこーる)
ライル=ハルヒ=タカスミに血の洗礼を受け、見かけは少女だが、実年齢は30代。ハルヒの血との適合率が高く、不老とともに予知夢の能力も身につけており、スタンリー財団ではハルヒの補佐役を務める。ハルヒに対する執着心が強く、篤生涙花に嫉妬している。
ナラダ
スタンリー財団の医師でアルバート=ヒカル=ディヴァイの異母兄であり、老化遅延剤を作り出した科学者の息子。不老や予知夢の原理を解明することで利益を得ようとしており、そのためにヒカルや篤生涙花たちを利用しようとしている。
篤生 可奈子 (あつき かなこ)
篤生涙花の母親。夫と息子の篤生昌人を飛行機事故で亡くすが、生存した涙花が昌人の帽子をかぶっていたことから、昌人が生き残ったと勘違いし、そのことが原因で精神に不調をきたす。そのまま5年間通院を続ける状態だったが、来日したアルバート=ヒカル=ディヴァイたちの協力もあって平静を取り戻し、涙花との関係を正常化させる。
ニコル
セインの姉。セインとともに孤児院からスタンリー財団に引き取られ、アルバート=ヒカル=ディヴァイの洗礼を受ける。しかし、ヒカルの血との適合率が低く、定期的にヒカルの血を輸血しなければならなくなってしまう。偶然ヒカルとライル=ハルヒ=タカスミたちの出生の秘密を知り、それ以降ヒカルに好意を抱いている。
ヒギンズ
スタンリー財団に勤務している医師。かつてナラダの指示でアルバート=ヒカル=ディヴァイやアルバート=アインシュタインの細胞から、クローンを作り出す研究を行っていた。研究が難航したため、思いつきでヒカルの細胞とアインシュタインの細胞を混合した受精卵を作るという方法を試し、一般人の代理母からロビンを誕生させる。 しかし、ロビンがスタンリー財団に収容され、研究の対象になるのを不憫に思い、そのことを他人には隠していた。
場所
グローバル・ガーデン (ぐろーばるがーでん)
「地球の心臓」と表現される地球樹(ユグドラシル)のある場所で、死んだ人間の魂や、地球上のエネルギーを蓄えており、そこを訪れた人間の願いを実現させる力を持つ。広島への原子爆弾投下によって、地球樹(ユグドラシル)は燃え尽きてしまっている。