概要・あらすじ
人間の勇者に、魔王トールを倒されてしまった魔族たちが、新しい魔王を選ぶトーナメント・バトルを開いたところ、人間のヘルクが勝ち進んでしまう。あわてた魔界の幹部、帝国四天王である「赤のヴァミリオ」は、いろいろ策を弄するが、かえって魔族たちはヘルクに好感を持つことに。準決勝まで進んだヘルクを試すため、決勝は「翼を持った人間に奪われたウルム魔王城を奪還した者」ということにして、ヴァミリオも正体を隠して運営代表として参加する。
戦いは魔族側に有利に進むが、翼を持った人間たちは全滅する前に空間移動用の「ゲート」を作り出し、ヘルクとヴァミリオは吸い込まれて飛ばされてしまう。
やがて二人は大海に浮かぶ孤島で目覚め、島の住人たちの援助により魔族の住む大陸へ船で向かう。やっとの思いで大陸に着いた二人は、多くの苦難を乗り越えながら砂漠を進むが、「闇の呪法」によって滅びた国を通った時に出会った事件の後、ヘルクはヴァミリオに非常に重くそして恐ろしい自分の過去を語るのだった。これと平行して、翼を持った「覚醒戦士」による人間たちの魔界侵略計画が、人間界に侵入しているスパイのアスタより伝えられるのだった。
登場人物・キャラクター
ヘルク
逆三角形の筋骨隆々たる肉体を持った巨漢の人間の男性。登場当初は、目鼻口が顔の真ん中に寄り気味な顔だったが、話が進むにつれハンサムになっていく。髪の色は少し灰色がかった水色。年齢はおそらく20代前半。上半身裸体でマントだけ羽織っていることが多い。戦闘レベル:99。作品開始時は、人間の勇者に魔王トールを倒されてしまった魔族たちが、新しい魔王を選ぶために開いたトーナメント・バトルに参加しており、常人離れした体力と腕力で予選を駆け上っていた。 魔族にインタビューされた際は、「人間滅ぼそう」と答えている。人間に新魔王の座を渡すまいとする、魔界の幹部で帝国四天王である赤のヴァミリオによって多くの妨害工作がなされるが、ヘルクはまったくものともしなかった。 翼を持った人間たちが開いた空間移動ゲートでヴァミリオと二人だけで異郷へ飛ばされ、様々な相手と闘いながら魔族の帝国を目指すことになる。途中で「闇の呪法」によって滅びた国を通り、ある事件に出会ったあと、ヘルクはヴァミリオに非常に重くそして恐ろしい自分の過去を語り、自らの過酷な目的を明らかにするのだった。
ヴァミリオ
魔界の幹部で帝国四天王の、少女のような外見を持つ魔族。「赤のヴァミリオ」の通り名を持ち、赤毛のロングヘアーでエルフ耳、目は大きくほっそりとした体型。火炎系の高度な魔法を使いこなす。戦闘レベル:78。負傷した帝国四天王の魔法使い「青のアズドラ」の代わりに、新魔王選抜トーナメントの実行委員長となる。 人間であるヘルクをなんとか落とそうと頑張るが、失敗する。当初は幹部であることを隠し、「運営係のアン」と名乗っていた。翼を持った人間たちが開いた空間移動ゲートでヘルクと二人だけで異郷へ飛ばされ、様々な相手と闘いながら魔族の帝国を目指し、ヘルクへの信頼を大きくするが、同時に彼の底知れぬ強さや恐ろしさも見せつけられる。 旅の途中でヘルクの非常に過酷で重い過去と、彼の背負った使命を知って戦慄する。青のアズドラやピウイが、彼女を「ヴァミリオちゃん」と呼ぶのをものすごく毛嫌いする。感情が高ぶると、無意識に炎系の術を使う癖がある。
アズドラ
魔界の幹部で帝国四天王の、青年のような外見を持つ魔族。「青のアズドラ」の通り名を持ち、ウエイブのかかった長めの髪型でエルフ耳。和服とも道服ともつかない大きな袖がついて、裾が足首まであるような服を着ている。軽めの性格だが、植物を操るなどの様々な高度な魔法を使う。戦闘レベル:73。 ヴァミリオが大好きで、「ヴァミリオちゃん」と呼んでは嫌がられ、ゲートで飛ばされた彼女をとても心配している。魔王トールが倒されたあとヘルクと出会い、悪い人間ではないことを認識した。人間たちの魔界侵略計画を知り、いろいろ策略を立てる。
ホン
魔界の幹部で、新魔王選抜トーナメントの実行副委員長。額に一本角が生えたセイウチの頭蓋骨のような顔をしている。身長はあまり高くなく、魔術師が着るローブのような服を頭からかぶっている。執事のようなへりくだったしゃべり方をする。事務レベル:48だが、ある程度の魔法は使える。
イスタ
魔界の若い女性諜報員。黒髪のロングヘアーで、頭に犬のような耳が生えている。スパイレベル:48。魔界の城に勤務し、人間界にスパイとして侵入している姉アスタからの思念を受ける能力でレポートを作成し、ヴァミリオやアズドラ に報告する。体技も優れており、素早い身のこなしで敵と戦う。ヒュラ と仲が良く、イスティ、ヒュラらん と愛称で呼び合う仲。
アスタ
魔界の若い女性諜報員。黒髪でいつも大きい帽子をかぶっている。コートにブーツ、バックパックという出で立ちだが、その格好で非常に素早い身のこなしを見せる。スパイレベル:55。熱いコーヒーか紅茶を飲むと、思念を妹イスタへ送ることができる。コーヒーは微糖が好き。人間界に侵入し情報を送っていたが、ついには人間の城に忍び込み、翼を持った「覚醒戦士」による魔界侵略計画を察知して報告した。 ヒュラは彼女をアスティと愛称で呼ぶ。
ヒュラ
新魔王選抜トーナメントの参加者で、最終決戦に進む四人のうちの一人。アハルド族の若い女性で、浅黒い体色をしている。瞳は白く、眼球部分は黒い。身体能力が高く、敏捷性に優れ、再生能力もある。イケメンと強い者が好き。通り名は「不死身のヒュラ」。諜報員のイスタは彼女と仲が良く、ヒュラらんと愛称で呼ぶ。 最終決戦に進んだ他のメンバーは、ヘルクとケンロス(戦闘レベル:38)とドルーシ(戦闘レベル:45)。
エディル
初登場時は、ウルム魔王城を制圧していた翼を持った人間の覚醒戦士の一人。ヘルクは彼の知り合いだった。のちの、ヘルクの過去話の中で、ヘルクと一緒に魔獣と戦った領主の息子の青年として登場する。ウルム魔王城でヘルクと再開した時には、すでに人間の王と大賢者ミカロスによって翼を持った覚醒戦士に変成させられていた。
ピウイ
緑色で卵のような形をした羽毛フサフサの鳥のような生き物。あまり知力は高くないが、人語を話す。ゲートで飛ばされたヘルクとヴァミリオが着いた大海の孤島に住んでいた。ヘルクとヴァミリオが帝国のある大陸に戻ろうと船を出した時、ついてきてしまう。初対面の人には「こんにちはっ!」と大声で挨拶をする。 おまけ漫画で飛ぶことが判明した。
クレス
ヘルクの4歳年下の弟で、トールの魔王を倒したとされる勇者。ヘルクの過去話の中で、詳しく語られる。ヘルクのように筋骨隆々ではなく、スマートで、顔も優男だがすごく強い。幼いころ両親は魔物に殺され、兄弟だけで王都へ流れ、ひどい苦労をする。雪の晩にクレス が病に倒れ、ヘルクは必死になって助けを求めたが誰も貧民の孤児兄弟を救おうとはしなかった。 だが、名門貴族ラファエド家の当主(名前不明)はクレス を保護し、医者を手配し手厚く看護した。以後彼らはラファエド家の庇護のもとに育ち、クレス は軍人になり、そして悲劇へと向かっていく。
ラファエド
人間の国でも、何代も続いた名門貴族の当主で中年男性。ヘルクの過去話の中で、初登場する。元老院にも属している。ヘルクは「ラファエドさん」と呼ぶが、名前は不明。シャルアミという娘がいる。雪の晩に病に倒れたクレス を保護し、医者を手配し手厚く看護した。しかし、その行動には裏があった。
アリシア
傭兵隊リーダーの若い美人の女性で、弓を得意とする。魔物を専門に戦っていた。ヘルクの過去話の中で、初登場する。ヘルクが魔物討伐隊に入って行動中に新世界生物に襲われ部隊が消滅してしまったあと、アリシアの傭兵隊に入って生活していた。ヘルクが王の恐ろしい行動を阻止しようとした時、アリシアはヘルクとともに戦い、そして悲劇に見舞われる。
ミカロス
医療や魔術の知識に長けた中年男性。人々から「大賢者ミカロス」と呼ばれている。ヘルクの過去話の中で、初登場。雪の日にクレスの病気を治療した医者であったが、その行為には裏があった。王の恐ろしい行動を支えていた。
王 (おう)
人間の王で、城に住む。貴族や元老院を束ねている。鎧とも仮面ともつかないもので身体を覆っており、その言葉には誰も逆らうことが出来ず、言葉通りに行動させられてしまう(ヘルクだけは影響を受けなかった)。アズドラ からは、王は、人間を翼のある覚醒戦士に変成させる術の使い手ではないかと疑われている。
場所
帝国 (ていこく)
15の国が集まっており、それを「皇帝」が統治している(皇帝の下には「帝国守護王」が存在している。四天王はその下)。人間はこの国を「魔界」と呼んでいる。帝国の領土は帝国四天王に管理され、数千年の間秩序を保ってきた。15の国にそれぞれ城があり、魔王が守っている(魔王の下には将軍がいる)。 勇者クレスが倒したとされるのは、トール城の魔王であり、帝国にとって255年ぶりのことであった。帝国の領土には毒が吹き出しており、それが魔獣や新世界生物を生んでいる。帝国の北部からは、強力な侵入者が絶えず侵攻を企てており、帝国はその対処にかなりのリソースを費やしている。人間の王により、翼を持った覚醒戦士による魔界侵略が試みられている。
関連
ピウイ~ふしぎないきもの~ (ぴうい ふしぎないきもの)
同作者の漫画『Helck』に登場する謎生命体を主人公にしたスピンオフ作品。出会えたら幸福が約束されるという「幸せの青い鳥」が噂になっている世界。行く先々で勝手に「青い鳥」と間違われるピウイは、何もして... 関連ページ:ピウイ~ふしぎないきもの~
書誌情報
Helck 新装版 12巻 小学館〈裏少年サンデーコミックス〉
第1巻
(2022-04-12発行、 978-4098510771)
第2巻
(2022-05-12発行、 978-4098511037)
第3巻
(2022-06-10発行、 978-4098511624)
第4巻
(2022-07-12発行、 978-4098511969)
第5巻
(2022-08-10発行、 978-4098512362)
第6巻
(2022-09-12発行、 978-4098512829)
第7巻
(2022-10-12発行、 978-4098513376)
第8巻
(2023-02-17発行、 978-4098516346)
第9巻
(2023-04-18発行、 978-4098520091)
第10巻
(2023-05-12発行、 978-4098520633)
第11巻
(2023-06-12発行、 978-4098521371)
第12巻
(2023-07-12発行、 978-4098525461)