MAKOTO

MAKOTO

この世に未練を残した霊の姿が見える監察医を主人公にした、一話完結の連作短編形式で描く人間ドラマ。郷田マモラの代表作である『きらきらひかる』の主人公・天野ひかるも少しだけ登場する。「新マグナム増刊」1999年No.11号から2001年No.20号にかけて掲載された作品。2005年には君塚良一監督・脚本、東山紀之主演で実写映画化もされている。

正式名称
MAKOTO
ふりがな
まこと
作者
ジャンル
ヒューマンドラマ
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概要・あらすじ

監察医の白川真言(マコト)は、霊の姿を見ることができる。この世に未練を残す霊たちは、遺体を解剖された場所や、事件現場などに何も言わずに立ち尽くすのみだった。マコトは物言わぬ霊たちの無念を晴らすべく奔走し、その結果、未練がなくなった霊は成仏するように消えていく。そうやっていくつもの霊を成仏させてきたマコトだったが、最愛の妻・白川絵夢の霊だけは成仏させることができず、マコトは妻の霊の悲しげな顔に悩まされる。

マコトは妻の未練が何なのかを模索しながら、監察医の仕事を続けていく。

登場人物・キャラクター

白川 真言 (しらかわ まこと)

国立O大学病院で監察医を務める男性。年齢は30歳近く。眼鏡をかけ、関西弁を話し、気の弱そうな風貌をしている。子供の頃からぼんやりと見えていた霊が、大学生の頃になると姿かたちまで見えるようになり、監察医となった現在では一目で誰かと判別できるほどハッキリと霊を見ることができる。普通の人はその場に居合わせても見えない。ただし、白川真言(マコト)にも霊の姿が見えるだけで、霊とコミュニケーションをとることはできない。 マコト自身は霊が自らの死について何か訴えたいことがあって出現するのだと考えており、彼らの無念を晴らすために遺体を再度解剖して新たな事実を突き止めたり、友人である刑事の四条マサルに頼んで事件を再調査してもらうなど、奔走する。 事件が解決すると、霊は成仏するように消えていく。大学時代から交際していた白川絵夢と結婚したが転落事故で亡くしている。以来、絵夢の霊が自宅のアトリエに出現しており、妻が成仏していないことに苦しんでいる。

白川 絵夢 (しらかわ えむ)

白川真言(マコト)の妻。黒髪をロングストレートにした瞳の大きな美人。マコトとは同じ大学に通っており、絵を描くという共通の趣味を持ち、親しくしていた。マコトと結婚し、医者の道を目指しながらも絵の世界へのめり込んでいった。幸せな結婚生活を送っていたが、マコトと2人で絵を描きに出かけた先で崖から転落し、帰らぬ人となった。 以来、自宅のアトリエに霊となって出現し、マコトを悩ませている。

四条 マサル (しじょう まさる)

府警捜査一課に所属する刑事の男性。白川真言(マコト)とは同じ大学出身で、その頃からの付き合い。白川絵夢とも顔なじみ。捜査で忙しい日々を送るなか、マコトからさまざまな頼まれごとをされる。マコトが霊を見えることは知っており、多忙ななか協力している。女好きでキャバクラ通いもしているらしく、捜査で訪問した女性を口説くこともある。 刑事としては優秀で、人情味溢れる人物。

野田 春奈 (のだ はるな)

第1話「幽霊が見える監察医」に登場する。母親の野田英美と2人で暮らしていた3歳の少女。朝、寝床で原因不明のまま死亡しており、解剖室に霊となって出現したところを白川真言(マコト)によって目撃される。マコトの検死によって死亡前にできた皮下出血が多数見つかり、母親に虐待されていた可能性が浮かび上がる。

野田 英美

第1話「幽霊が見える監察医」に登場する。原因不明で死亡した野田春奈の母親。3歳の娘と2人で暮らしていた。駅前のレストランでソムリエをしており、仕事に忙しく、娘をなかなかかまってやれなかった。白川真言の検死によって、娘を虐待していた疑いがかけられる。

国分 俊介 (こくぶ しゅんすけ)

第2話「幽霊のあらわれる場所」に登場する。国立O大学で植物学の講師をしていた36歳の男性。山で遭難し、倒れているところを発見されて病院に担ぎ込まれたが、1時間後に死亡した。亡くなった病室に見知らぬ女性の霊が出現するのを白川真言(マコト)が発見し、マコトと四条マサルによる再調査が始まる。その後、国分俊介は霊となって出現し、マコトに何かを訴えかけるようにオオヤマレンゲの木のもとに立っていた。

今里 明彦

第3話「幸せな幽霊の心残り」に登場する。白川真言(マコト)が勤務する国立O大学病院の食堂で、母親と二人暮らしの家計を助けるために働く男子高校生。学年トップの成績で将来は医者を夢見ているのだが、経済的事情により進学をあきらめている。父親の顔は覚えておらず、もうこの世にはいないと自分に言い聞かせている。マコトから「医師をめざす人へ」という本を手渡されたが、進学はしないことを悲しげに伝えた。

城山 秀吉 (しろやま ひでよし)

第3話「幸せな幽霊の心残り」に登場する。城跡電機(じょうせきでんき)という大企業の社長を務めていた禿げ頭の老人。小さな町工場からたった一代で大企業までのし上がった人物で、生前はTVにもよく出ていた。死後、霊となって今里明彦の家の前に出現したところを白川真言に目撃される。

城山 淀子

第3話「幸せな幽霊の心残り」に登場する。城山秀吉の妻である老人。夫の死後、広い家は娘夫婦に譲り、1人でボロ屋に住んでいる。ぜいたくを嫌い、夫のことを調べるために訪ねて来た白川真言と四条マサルにお茶ではなく、水道水を出した。そのため、マサルからはドケチババアと思われている。

高見 真由子 (たかみ まゆこ)

第4話「犯人の霊は殺害現場にあらわれるか?」に登場する。大阪府の山中で遺体となって見つかった18歳の少女。愛媛県出身で、N女子大学に通うため4月から大阪K市内のアパートで一人暮らしをしていた。それから1か月後の5月中旬、後ろ手に杭をロープでくくりつけられ、刃物で心臓を刺されて失血死した。現場に霊となってあらわれ、白川真言に目撃される。

北野 英次 (きたの えいじ)

第4話「犯人の霊は殺害現場にあらわれるか?」に登場する。高見真由子殺害の重要参考人となった22歳の男性。親のコネで大学に入ったものの、ついていけずに半年で退学し、フリーターをしている。そのバイトも長くは続かず、友人からも借金をしているだらしのない性格。その後、山中で首つり自殺しているところを見つかり、霊となって高見真由子の霊とともに、高見真由子殺害現場にあらわれる。

福島 剛士 (ふくしま つよし)

第4話「犯人の霊は殺害現場にあらわれるか?」に登場する。高見真由子殺害の犯人として逮捕された男性。引っ越し業のアルバイトをしており、年齢は26歳。無精ひげを生やした屈強な体格の持ち主。引っ越しのアルバイトで知り合った高見真由子を気に入ったものの相手にされず、犯行におよんだ。

三国 茂雄 (みくに しげお)

第5話「父親の責任」に登場する。自宅近くの道路で赤信号に気づかずにトラックにひかれて死亡した45歳の男性。小さな商事会社で総務をしていて、妻、息子と3人で幸せに暮らしていた。交通事故として処理されたが、事故現場とは異なる公道に霊となってあらわれ、白川真言に目撃される。

三国 隆志 (みくに たかし)

第5話「父親の責任」に登場する。交通事故で亡くなった三国茂雄の息子。警察官を目指して、高校を卒業し警察学校に入学したばかり。5歳の頃、父親に誕生日プレゼントで野球のバットをもらい、大喜びしたものの、数か月後に理由もわからずにバットを処分された過去を持つ。当時は金属バットで父親を殴り殺す事件が頻発しており、父親がバットを取り上げたのは家庭内暴力を恐れたからではないのかと推測し、その頃から心に深い傷を残す。

服部 清和 (はっとり きよかず)

第5話「父親の責任」に登場する。三国茂雄の霊が出現する場所近くの空き地で15年前に遺体が発見された無職の男性。当時の年齢で47歳。営利誘拐で逮捕され10年間服役していた過去がある。当時の空き地にはビルの残骸が残っており、よくそこで酒を飲んでいた。鈍器様の物体が頭部にぶつかったと思われる脳出血による死亡で、階段から落ちて頭を打った事故死として処理された。

沢山 キヨ (さわやま きよ)

第6話「老警官の魂」に登場する。民家で一人暮らししているところを泥棒に襲われ、殺害された72歳の老婆。現場の状況から、深夜寝ている時に泥棒に気づき、揉み合った後に斧のような凶器でメッタ打ちにされたと推測される。容疑者として西岡達彦が捕まったものの、証拠となる凶器が見つからず、事件から半年たった今も解決していない。 鶴田一郎の実家に霊となってあらわれたところを白川真言に目撃される。

西岡 達彦 (にしおか たつひこ)

第6話「老警官の魂」に登場する。元純金販売員の52歳の男性。沢山キヨが殺害された翌日、犯人として逮捕された。はじめは犯行を認める自供をしていたものの、警察側に物証がないことを察知すると、供述をコロコロとひるがえし、事件は半年が経っても解決していない。窃盗罪の前歴があるため、簡単には口を割らず、凶器の斧はいまだに見つかっていない。

鶴田 一郎 (つるた いちろう)

第6話「老警官の魂」に登場する。殺された沢山キヨの故郷である田舎の村で駐在をしていた男性。現在は90歳近くになり、民家で1人、寝たきりの生活を送っている。丹後の生まれで身寄りがなく、20歳の頃から村の駐在所に住み着き、昇進試験も受けず、嫁ももらわずに村の平和を守ってきた。戦時中、憲兵に目をつけられた沢山キヨを助けたこともあり、キヨだけでなく村民から厚い信頼を受けていた。 寝たきりとなった現在はふさぎ込んでおり、村民にも心を開かない。この鶴田一郎の家に、沢山キヨの霊があらわれる。

鬼食村の村長

第7話「鬼の祟り」に登場する。鬼の祟りがあるといわれる山のある、鬼食村の村長を31年務める男性。村の主要道路は舗装もされておらず、曲がりくねっていて年間に十数名の事故被害者を出していた。30年前、建設技師の菊池栄至が提案してきたトンネル工事を新米村長として住民の反対をよそに受け入れたものの、ダイナマイト事故で菊池が死亡したことで工事を中止し、以来山の祠にお供え物を続けている。 山で出会った白川真言と四条マサルに鬼の祟りにあわないうちに気をつけて帰るよう忠告する。

菊池 栄至 (きくち えいじ)

第7話「鬼の祟り」に登場する。交通事故の多い鬼食村に、30年前トンネル開通をもちかけてきた建設技師の男性。トンネルを通せば村は便利になるし、事故も激減するともちかけたが、昔から鬼の伝説のある山を傷つけることを恐れた住民から反対を受けた。当時、村長になったばかりの鬼食村の村長が工事の決行を決断したものの、工事中のダイナマイト事故によって死亡する。

延川 由秀 (のべかわ よしひで)

第8話「或る人間標本の物語」に登場する。白川真言(マコト)が勤務する国立O大学病院で人間標本となっている男性。頭だけが縦にまっぷたつに割られて標本となっている。生前はO大学の助教授で腕利きの外科医であり、マコトたち医学生の兄貴分のような存在だった。交通事故に巻き込まれて手術したものの亡くなり、まだ医学生だったマコトの前に霊となってあらわれた。 延川由秀がなぜ人間標本となったのか、その経緯がマコトが新人医学生たちに語る形で明らかになる。

山田 麻美子 (やまだ まみこ)

第9話「真珠を盗んだ少女」に登場する。宝石展示即売会会場から真珠を万引きしたところを四条マサルに見つかった少女。万引きの常習犯で、和歌山の施設から家出してきた。死んだ母親から山田麻美子が生まれた6月の誕生石が真珠であることを聞いており、真珠を見ると母親を思い出すことから犯行におよんだ。麻美子の将来を考えたマサルは事件をおおやけにせず、知り合いの宝石店を紹介した。 その後、更正して幸せに暮らしていたものの、勤めていた宝石店から宝石を盗んで行方をくらましたという知らせがマサルのもとに届く。

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