概要・あらすじ
田舎でじーちゃんとの2人暮らしを送っていた中学1年生の三宅美紅(ミケ)は、おしゃれに興味はあるものの、お金がないので好きなものも買えず、クラスメイトからバカにされていた。そんな時、2年先輩の有賀斗望(ポチ)から声をかけられ、ゴミをあさる迷惑なカラスやノラ猫たちを紳士にする計画に誘われる。無意味にも思えるその計画に一緒に取り組むうちに、ミケはポチに惹かれていく。
充実した日々を過ごす2人だったが、ミケとポチには、それぞれ誰にも言えない秘密があった。
登場人物・キャラクター
三宅 美紅 (みやけ みく)
中学1年生の少女。有賀斗望(ポチ)に付けられたあだ名はミケ。人並みにおしゃれに関心があるのだが、年金暮らしの祖父と2人暮らしなのであまり金銭的な余裕はない。実は両親が新興宗教にハマっており、もう5年も会っていない。不遇な状況でありながら、無邪気で素直で動物っぽく、環境の暗さを感じさせないほど明るい。美術のセンスがずば抜けている。
有賀 斗望 (あるが とも)
中学3年生の少年。精神的に病んでしまった母から、犬として扱われていた。父は植物人間状態で入院している。そんな不遇な状況でありながらも、ありのままを受け止め、学校では「ノーテンキ大王」の異名を取るほど明るく生きている。周囲からはポチという愛称で呼ばれており、本人も頭で考えるよりも本能的な勘に頼ることが多い。川村哲とバンドを組み、音楽活動もしている。
叶 清香 (かのう さやか)
有賀斗望(ポチ)より1つ年上の高校1年生。成績は優秀で学級委員を務め、さらに家では家事をこなすかたわら、幼い妹の面倒も見る。学校内のアンケートで、「ストレス女王」と称されたほどの真面目すぎる性格で、かつて自分と正反対のポチに強く惹かれたが、彼のピュアさに応えるだけの自信がなく、今は川村哲のことが好き。将来は詩人を目指していて、投稿した作品が「もうひといき賞」を獲得したらしい。
直美 (なおみ)
三宅美紅(ミケ)のクラスメイト。ミケのことを田舎臭い、ダサいと言って目の敵にしている。ミケが有賀斗望(ポチ)と仲良くなってからは、その態度がますますエスカレートする。実は小学生の時はミケと仲が良かったが、一緒にいる時に万引きをして捕まり、なにもしていないミケだけ無罪放免されたことを逆恨みしている。
川村 哲 (かわむら てつ)
お笑いの道を目指す美男子。お笑いの華はボケであると言って譲らないが、そのギャグは周囲から引かれてしまうことが多い。舞台度胸をつけるためにバンド活動をしている。
じーちゃん
自分の畑で取れる作物で自給自足をしている年金暮らしの老人で、孫の三宅美紅(ミケ)とは2人暮らし。美紅の父母が新興宗教の施設に入所する時に、一緒に連れて行かれそうだったミケを強引に引き留めた。指笛を拭いて鳥たちを集めることができる。
美紅の父母 (みくのふぼ)
死後のための修行をするという、とある新興宗教の合宿所という施設に入っている。一度入ると1歩も外に出てはいけない決まりなので、三宅美紅(ミケ)とはもう5年も会っていない。ミケにも入所して欲しいと何度も手紙を出してくる。
有賀 由子 (あるが ゆうこ)
有賀斗望(ポチ)の母。心が弱く病んでいる。ポチが生まれる前に、最愛の娘を3歳で亡くしている。その後、1匹の可愛い捨て犬を拾い、亡くした子供の代わりに愛情をかけて世話をするが、2人目の子供であるポチの妊娠中にその犬も事故で死んでしまう。悲しみで気を失っている間に生まれた2人目の子供であるポチを、死んだ犬が戻ってきてくれたと思い込んでいる。
斗望のばーちゃん (とものばーちゃん)
有賀斗望(ポチ)の祖母で、有賀由子の母。由子がポチに首輪をつけて散歩する時など、他人に見つからないように手助けをしている。事態をあまり深刻に考えず、ちゃっかりした一面もある。ポチの明るさや能天気さは、この祖母の影響が色濃い。
清香の父母 (さやかのふぼ)
かつて大企業に勤めていたが、リストラに遭い今は小さな会社に勤めている。そのせいか、いつもイライラしていて、成績のことで叶清香にプレッシャーをかける。清香の夢を否定し、帰りが遅くなった清香の頬を叩いてしまったこともある。母はパートに忙しく、幼稚園児である次女の彩香の迎えや、お弁当作りなども清香に頼んでいるが、清香がストレスで爆発した時はいたわり、全面的にかばってくれる。