あらすじ
第1巻
203X年の東京、明智小五郎のもとで少年探偵団として活動する花崎健介は、迷い犬メロディーヌ探しの依頼を受けて街中を走り回っていた。閉鎖された遊園地でメロディーヌを見たという情報を得ると、少年探偵団の仲間である野呂誠が操作するフクロウ型メカのピッポといっしょに向かい、遊園地に到着した花崎は、観覧車の頂点近くから飛び降りる小林芳雄を見つける。急いで観覧車の下に向かう花崎だったが、小林にはケガ一つなく、その場から逃げるように立ち去る。翌日、花崎は小林を見かけて声を掛けるものの、小林は再び逃げ出す。必死に逃げる小林だったが、花崎に追いつかれて、逃げた理由を花崎に話す。それを聞いて小林の事を気に入った花崎は、小林を少年探偵団に誘い、入ってくれたら小林の願いをいつか叶えてやると約束する。
第2巻
小林芳雄を加えた少年探偵団は、トラブルを乗り越えながら任務をこなす日々を送る中、少年探偵団の面倒見役の明智小五郎を指定した挑戦状ともとれる映像が、怪人二十面相から警視庁に届く。映像を見た明智は、自分では動かずに少年探偵団に任せようとするが、刑事の中村奈緒に怒られて重い腰を上げる。そして少年探偵団の井上了が映像に映る人質の警官の仕草から、捕らわれている場所を割り出すと、その場所へ急行する。警察と協力して潜伏場所を包囲して建物内を探りながら状況を整理していると、小林、花崎健介、建物内の警官も人質となってしまうのだった。
登場人物・キャラクター
小林 芳雄 (こばやし よしお)
「正体不明のモヤ」に取り憑かれて、死ねない身体になってしまった少年。半径30センチ以内に近づくものに対して、モヤが勝手に攻撃を仕掛けるため、できるだけ他人とはかかわりを持たないようにしている。自分の死を望んで高いところから飛び降りたり、溶鉱炉内や水中に飛び込むなどさまざまな方法を試しているが、いずれも失敗している。この特異な体質を含めて、小林芳雄自身を気に入った花崎健介から少年探偵団に誘われる。 「いつかお前の事を殺してやる」という花崎の言葉には半信半疑だが、少年探偵団の一員となる。以降は、野呂誠からは「コバちん」と呼ばれるようになる。
花崎 健介 (はなさき けんすけ)
明智小五郎のもとで少年探偵団として活動する少年。年齢は15歳。正義感が強く、困っている人を見逃せない性格で、冷静沈着な井上了から小言を言われる事が多い。「正体不明のモヤ」に取り憑かれて死ねない身体になり、自らの体質に苦しむ小林芳雄と出会うと、「いつか殺してあげるから、それまで無敵の身体を活かして探偵になれ」と少年探偵団に誘う。 誰かを助けて事件を解決した時に小林がケガした事から、事件解決のたびにケガしていけば、そのうち小林は死ねると思い、積極的に小林を任務に駆り出す。
井上 了 (いのうえ りょう)
明智小五郎のもとで少年探偵団として活動する少年。年齢は18歳。冷静な性格で頭の回転も速く、その鋭い推理力で少年探偵団のリーダーを務めている。つねに車椅子で移動している。やや無鉄砲な行動をする花崎健介に対する小言が多く、花崎が連れて来た小林芳雄も、周囲を危険に晒すと最初は認めなかった。
野呂 誠 (のろ まこと)
明智小五郎のもとで少年探偵団として活動する少女。年齢は14歳。凄腕のハッカーで機械に強く、ほかのメンバーをサポートしている。ただし引き籠もり体質なため、部屋から出ずに、フクロウ型のメカのピッポを操作して依頼にあたっている。自分の事を「野呂ちん」と呼び、ほかの人もあだ名を付けて呼ぶ事が多い。
ピッポ
引き籠もり体質な野呂誠が、外部と接触する際に使用するフクロウ型のメカ。マイクとスピーカーを介して野呂と会話したり、目の部分に使われているカメラで現場を調べたりする。
明智 小五郎 (あけち こごろう)
明智探偵事務所を営む探偵の男性。花崎健介ら少年探偵団の面倒見役で、年齢は38歳。花崎からは「センセイ」、井上了からは「先生」、野呂誠からは「明ちん」と呼ばれている。依頼人が来るタイミングでカラオケに出かけるなど、仕事に対して不まじめ。19歳の時に海外で民間軍事会社の傭兵をしていた事もあり、身体能力は高い。 傭兵時代に怪人二十面相を助けた事で、怪人二十面相と知り合う。
赤城 めいこ (あかぎ めいこ)
同棲する彼氏の新垣なおきが殺人を示唆する脅迫文と作っている事に気づき、明智探偵事務所に相談しに来た女性。井上了と面談し、新垣が脅迫文を誰に送っていたか、そして実行する可能性があるかどうかの調査を依頼する。年齢は30歳ながら、カツラをかぶって制服を着れば、高校生で通用するほど若々しい。野呂誠からは「めいこっち」と呼ばれる。 穏やかで優しい女性を装っているが、実は遺伝子操作による治療に反対する過激団体の一員。
新垣 なおき (にいがき なおき)
赤城めいこと同棲している男性。弁当屋で働く、勤務態度が非常にまじめな人物。殺人を示唆する脅迫文を作っている疑惑があり、赤城から依頼を受けた少年探偵団に監視と尾行をされる。瀬能忠治講演会のケータリングとして、致死性の毒が入っている水を使ったスープを追加するが、小林芳雄によって見破られる。新垣なおき自身は赤城から受け取った水を使っただけで、水に毒が入っているとは知らなかった。
瀬能 忠治 (せのう ただはる)
遺伝子研究の第一人者として有名な男性医師。遺伝子操作による新しい治療を提案しているが、否定的な意見を言う人や団体が多い。医療関係者を招いた講演会で、致死性の毒が入っている水を飲まされそうになる。
根本 潤子 (ねもと じゅんこ)
失踪した息子の根本紘一の居場所を探してほしいと、明智探偵事務所に依頼するためにやって来た女性。年齢は79歳。夫には先立たれて、紘一と二人で暮らしていた。
根本 紘一 (ねもと こういち)
根本潤子の息子で、年齢は50歳。15年前はカヌー選手として活躍していたが、今は無職。父親が亡くなり、母親も徐々に弱っていき、さらに仕事がない状況に怖くなって、誰にも知らせずにNPO無業者支援団体「ペルセポネー」に身を寄せる。無償で衣食住を提供してくれるペルセポネーに、死ぬまでお世話になるつもりだったが、臓器目当てでペルセポネーに殺されそうになる。
京本 晴海 (きょうもと はるみ)
無償で衣食住を提供するNPO無業者支援団体「ペルセポネー」の男性職員。年齢は43歳。周囲からは「先生」と呼ばれている。つねに笑顔と優しい口調で接し、根本紘一からも信頼されている。しかし、裏ではペルセポネーが組織ぐるみで行う臓器密売のために、複数人から臓器を摘出しており、次は紘一を狙う。
中村 奈緒 (なかむら なお)
警視庁公安総務課の女性刑事。年齢は30歳。明智小五郎や少年探偵団のメンバーと顔見知りで、明智には事件の捜査を何度か依頼している。上層部が関係ないと判断した案件でも自分の勘を信じて捜査を進めたり、少年探偵団と協力体制をとって資料を提供するなど、柔軟な対応が取れる人物。
怪人二十面相 (かいじんにじゅうめんそう)
正体不明の犯罪者で、変装の達人。大きな事件をいくつも起こしており、世界中の警察に行方を追われているが、巧妙に逃げている。19年前に傭兵をしていた明智小五郎に助けてもらい、明智に懐いていっしょに行動していた過去がある。明智が傭兵を辞めて出国すると、明智への気持ちは歪んだものになり、19年経った今でも気持ちは変わっていない。 そして明智との対決を楽しむために、工場の大規模火災や警察官の拉致を行う。