概要・あらすじ
高校生の高槻花綾は、クラスメイトの辻沢生成に恋心を抱いていた。花綾の密かな想いは、保健室でのトラブルがきっかけとなって実を結び、2人は念願の恋人同士となって、初めての夏を迎える。毎日を楽しく過ごす花綾と生成には、この幸せが永遠に続くように思えたが、状況は一変する。花綾の行動が原因となって、生成の父親は行方不明となり、母親は倒れて入院。
生成は引っ越し転校を余儀なくされ、生成の家族は離散することになってしまう。生成は花綾を許せず、激しくなじって彼女を突き放す。しかし突然のことに諦めることができない花綾は、小さな体で精いっぱいの愛情を示し、自分のせいで傷つき、すさんでしまった生成の心を取り戻そうと奔走する。
登場人物・キャラクター
高槻 花綾 (たかつき かあや)
葉庭学園に通う女子高生。紗穂子の妹。おとなしいが芯は強い。母親から受ける過保護な扱いを疎ましく思いながらも、反抗できずにいる。密かに想いを寄せていた辻沢生成と念願かなって恋人同士となり、初めて2人で過ごす夏に胸をときめかせていた。しかし突然の生成の引っ越しに転校、態度の変化に胸を痛める。のちに、自分の行動が原因で、生成の家族が一家離散の憂き目に遭ったことを知り、懸命に彼のために身を捧げる決意をする。
辻沢 生成 (つじさわ きなり)
葉庭学園バスケットボール部に所属している男子高校生。適度に女慣れしていて、適度に優しく、適度に楽しませてくれるところから、初めての彼氏に最適という理由で「入門男」との異名を持つ。密かに想いを寄せていた高槻花綾と、念願かなって恋人同士となり、初めての夏は彼女への思いやりに溢れたものになる予定だった。しかし花綾の行動により、辻沢生成の両親が追い詰められ、一家離散してしまう。 そのため彼女への想いは、やりきれない絶望となって、生成自身を追い詰めることになる。
ロンドナー 織邑 (ろんどなー おりむら)
葉庭学園バスケットボール部の顧問を務める英語教師。5年前に紗穂子と駆け落ちした青年で、現在は紗穂子の夫となっている。学校では厳しい教師だが、高槻花綾が悩みを抱えていることを知り、何かと思い悩む花綾の相談に乗りながら、彼女の背中を押す。
吉倉 みつほ (よしくら みつほ)
中央公園のカフェでアルバイトをしている女子高生。辻沢生成の犬「かわい」を預かっている。高校の先輩である藤瀬真一郎と、誰にも内緒で交際していたが、突然別れを決意し、生成と関係を持ち始める。それからは一人暮らしの生成の部屋によく泊まりに来ている。のちにアルバイト中に倒れ、妊娠が判明する。
紗穂子 (さほこ)
高槻花綾の5歳年上の姉。明るく柔らかな雰囲気を持った女性。17歳の時、ロンドナー織邑との結婚を両親に反対されて駆け落ちをした。以後は花綾を含む家族とは一切連絡を取っていなかった。駆け落ち後は留学することになっていたロンドナーと共にロンドンへ渡り、4年かかって現地のハイスクールを卒業して帰国。先に帰国し高校教師として働いていたていたロンドナーのところへ戻ってきた。 そして5年の歳月を経て、花綾と再会を果たす。
藤瀬 真一郎 (ふじせ しんいちろう)
吉倉みつほの通う高校の先輩。誰にも内緒で交際をしていたみつほの彼氏。ある日突然、みつほから別れを切り出されたことに納得がいかず、彼女のアルバイト先である中央公園のカフェまで何度も足を運ぶが、取り合ってもらえずにいる。
高槻 愁子 (たかつき しゅうこ)
高槻花綾と紗穂子の母親。紗穂子の駆け落ちが原因で、花綾を幼児の様に扱う異常な執着心を持ち始める。風呂で体を洗ってあげようとしたり、ベッドで寝かしつけようとしたりと、娘の成長を認められない状態。
お父さん (おとうさん)
高槻花綾と紗穂子の父親。社会に認められているファッションデザイナー。娘を溺愛しており、頭に血が上りやすい。彼が紗穂子とロンドナー織邑の結婚に反対したことで、2人は駆け落ちすることになった。花綾と辻沢生成の交際にも反対した。