藤田玲司は元NYメトロポリタン美術館のキュレーター。特に作品修復にかけては超一流の腕前を持ち、プロフェッサーの異名をとるほどだった。彼が経営する贋作専門店「ギャラリーフェイク」は、表向きには贋作でも上質な作品を安価で購入できるという触れ込みで、熱心なファンもついている。しかし、裏の顔は美術品の横流しやブラックマーケットの盗品を扱い真贋かまわず売り払ってぼろ儲けをしていた。悪徳画商ならぬ、美術界の鼻つまみ者・藤田が主人公の絵画ミステリー。芸術に社会問題が絡むストーリーで、サスペンスの中で醸し出す人間臭さが後を引く。第41回小学館漫画賞を平成7年度受賞。