よしながふみの代表作の一つ。日本の江戸時代をモデルにした世界が舞台。男性のみを襲う疫病「赤面疱瘡」の流行により男性人口が激減し、女性が社会の主導権を握る男女逆転社会を描く。物語は三代将軍、家光の時代から始まり、赤面疱瘡の流行をきっかけに社会構造が根本的に変化する過程を描く。約80年後、男性の人口が女性の4分の1まで減少したことで、女性が政治・経済・軍事の全てを担うようになる。この変化により、大奥は女将軍の夜伽の場となり、美男子たちが集められる場所として機能するようになる。物語では各時代の将軍とその周辺人物たちの人間関係を通じて、権力構造の変化と個人の生き方の葛藤が描かれる。本作は、フェミニズムの要素を持った歴史改変SFである。男女が逆転した世界を舞台に、史実を再解釈して描いている点が特徴。ジェンダー問題や権力構造、伝統的な社会制度や家族観を扱う社会派作品として、通常の時代劇とは異なる視点から江戸時代を描写している。白泉社「MELODY」2004年8月号から2021年2月号まで連載。2009年に第13回「手塚治虫文化賞」マンガ大賞、2010年に「ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞」、2011年に第56回「小学館漫画賞」少女向け部門を受賞。実写映画やテレビドラマ、配信アニメなど、様々なメディアミックス展開が行われている。