中世の中国を思わせる架空の帝国の後宮を舞台に描かれる歴史ミステリー漫画。花街で薬師として働いていた少女、猫猫(マオマオ)。ある日猫猫は薬草を採りに行った先で人さらいに攫われ、後宮に下女として売られてしまう。その頃、後宮では皇帝の御子たちが次々と亡くなり、呪いだという噂が囁かれていた。だが薬師である猫猫はその事件の真相を見抜いてしまう。
本作は小説投稿サイト「小説家になろう」で人気を博した日向夏作品のコミカライズ。主人公の猫猫はとても現実的で、大人びた考えをしている。それは花街で人間の欲望や醜い側面などを見ていたためであった。後宮で働くことになった猫猫は余計な争いに巻き込まれまいと、化粧でわざと容姿を地味にし、無能を装っていた。しかし呪いではなく毒による御子たちの死を放っておけず、思わず妃たちに投げ文で警告してしまう。後宮に文字の素養がある者が少ないことから、宦官の壬氏(ジンシ)に猫猫が手紙の主であることを見破られてしまう。猫猫はその後も壬氏の元で後宮に渦巻く陰謀を暴くことになり、最初は困惑していたものの、持前の好奇心と知識欲から自ら謎にのめり込んでいく。
オスマン帝国皇帝スレイマン1世の妃で、実在の人物であるヒュッレムをモデルに描かれた歴史ロマン漫画。少女アレクサンドラが暮らす寒村は、ある日賊によって略奪され、彼女は奴隷として売られてしまう。アレクサンドラはオスマン帝国皇帝の小姓頭であるイブラヒムに買われ、ヒュッレムという名で後宮入りすることになる。
主人公のヒュッレムは、後宮に入るまでは外の世界に憧れながらも、村で一生を終えると思っていた。ヒュッレムは美しく素晴らしい歌声の持ち主で、自分を奴隷の身から救ってくれたイブラヒムに恋するが、彼が皇帝のために自分を買ったことを知ってしまう。そしてイブラフムによって教養を身に付けたヒュッレムは、スレイマン1世の後宮に入ることになる。美しく知性溢れるヒュッレムは皇帝の寵愛を受ける。だが後宮では皇帝の第一夫人であるマヒデブランが、懐妊した愛妾たちに罠や刺客をさし向けていた。やがて皇帝の愛を一身に受けるようになったヒュッレムに脅威を覚えたマヒデブランは、ヒュッレムの命を狙う。だがヒュッレムはイブラヒムに危機を救われるのだった。
男女が逆転した江戸時代の「大奥」を舞台にした人間ドラマ漫画。三代将軍家光の時代に、男子のみが罹患する疫病「赤面疱瘡」によって男性の人口が大幅に減少した。病の原因が不明なことから徳川幕府も女が家督を継ぎ、将軍職を務めていた。そんな女将軍のための後宮「大奥」では陰謀がひしめいていた。2010年実写映画化、2012年TVドラマ化。
本作のタイトルとなっている「大奥」は江戸時代に存在した将軍家の子女や正室、奥女中の住居区画である。本作は女社会となった江戸幕府の大奥を舞台とした物語だ。史実では男子禁制の「大奥」だが、ここでは女将軍に仕える男性たちが女子禁制で暮らしている。本作は八代将軍吉宗の物語から始まる。貧乏旗本の息子、水野祐之進は、縁談から逃れるために吉宗の大奥に入った。水野は吉宗に見初められ、最初の夜伽を務めることになる。だが大奥の風習では、最初の相手は「将軍の体に傷を付けた」という理由で、夜伽の後に処刑される運命にあった。吉宗はこの慣習や赤面疱瘡に疑問を抱く。
我鳥彩子原作小説のコミカライズ作品で、趣味に生きる少女が後宮で事件に巻き込まれるラブコメディ漫画。豪商の娘である淑花蓮は裕福な家庭で趣味に没頭して生きていた。だが年頃になり、花蓮の元に次々と縁談が舞い込む。そこで花蓮は後宮に入り、目立たずひっそり生活すれば趣味に没頭できると考えた。だがそんな花蓮は皇帝、天綸に気に入られてしまう。
本作の舞台は架空の帝国、麗鋒国の後宮。ヒロインの花蓮は大好きな本を読んだり小説を書いたり、他にもやりたいことがたくさんあるという趣味に生きる少女。花蓮は縁談が舞い込む年になり、どうしたら趣味を続けられるかと考えた結果が後宮入りだった。美女があふれる後宮で大人しくしていれば皇帝から目を付けられることもなく、結婚も子育てもせずに生活できる、と考えたのだ。そんな時に皇帝暗殺を企てる噂が。皇帝が死ねば花蓮は後宮にいられなくなってしまう。自らの生活を守るために花蓮は調査に乗り出し、皇城警吏の青年、範典琅と出会う。だがその典琅こそ、現皇帝の鋒天綸であった。
阿部智里原作の『八咫烏(やたがらす)』シリーズをコミカライズした和風ファンタジー漫画。山神さまが開いたとされる世界「山内」では八咫烏の一族が世を治めていた。中でも山内の長とされる者は「金烏(きんう)」と呼ばれている。外遊していた次期「金烏」の若宮が帰還することとなり、彼の妃候補たちが住まう「桜花宮」が作られることになった。
原作となった『八咫烏』シリーズは、愛憎の入り混じる陰謀が描かれ、松本清張賞を受賞した人気小説だ。「山内」は人間の姿になることができる「八咫烏」の一族が治める世界。次期の長となる若宮が外遊から帰還することになり、彼の四人の妃候補が後宮である「桜花宮」に集められることになった。東家の二の姫であるあせびは、病に伏せった姉の代わりに桜花宮に入る。あせびの他に集められた姫は、南家の浜木綿、西家の真赭の薄、北家の白珠。若宮の帰還を待ちわびながらそれぞれが家や自身の想いから皇后の座を争う中、桜花宮では次々と陰惨な事件が起こる。あせびの侍女や桜花宮に侵入した男が死体となって発見されたのだ。そして一連の事件の裏にはさらなる陰謀が潜んでいた。