柳本光晴にとって初の長編連載作品で代表作の一つ。現代日本の文芸界を舞台に、15歳の女子高生、響が、圧倒的な文学的才能によって大きな波紋を起こす姿を描いた物語。文芸誌「木蓮」の編集者、花井が響の才能を発見することから物語が始まり、文学界の既存の価値観や慣習に疑問を投げかける展開となる。編集部のゴミ箱に捨てられていた『お伽の庭』と題された直筆原稿を読んだ花井は、その才能に衝撃を受け、作者名以外は一切不明の響と接触するために奔走する。一方の響は高校に入学し、著名作家の娘である凛夏が部長を務める文芸部に入部するが、マイペースで妥協をしない性格が周囲との軋轢を生み出していく。本作は文学をテーマとした人間ドラマである。実際の文芸界の仕組みや小説家という職業の現実を詳細に描写している点が特徴である。新人賞の選考過程、編集者と作家の関係性、文芸誌の運営といった業界の内部構造が具体的に描かれており、従来の漫画ジャンルにはない異色作となっている。小学館「ビッグコミックスペリオール」2014年18号から2019年21号まで連載。2017年に第10回「マンガ大賞」大賞、2019年に第64回「小学館漫画賞」一般向け部門を受賞。2018年9月14日に実写映画(劇場)が公開された。