こんな「役所」もアリですか!?オススメ漫画５選51 Pt.

本作の舞台となるのは、死者が最初に訪れる場所のシ役所。死因毎に部署が分かれ、例えば「自殺課」では死者に対して自殺申請書が手渡され、自殺の経緯を詳細に書かねばならない。また、時には被害者と加害者が鉢合わせすることもあり、トラブルに発展することも。自殺した者、他人をかばって亡くなった者、死刑となった者など、様々な死者について描かれるが、その中の死刑の話では「シ役所」に勤める職員たちの謎についても触れられている。総合案内人のシ村をはじめとした職員たちはいかにして死者となり、死後に役所勤めをすることになったのか。物語が展開するにつれ、各々の職員にもスポットがあたり、生前の彼らのドラマや、職員たちの謎や真実について深く掘り下げられていく。

本作に登場する役所は、神々のいる天界にある。その中でも「太陽課」が作品の主軸になっており、作中には各地の太陽神やその地に纏わる逸話や豆知識が織り込まれている。各話毎に主役となる太陽神が異なり、その太陽神や該当地域についての話が展開される。例えば「目には目を」で知られるハンムラビ王に正義を授けたとされるメソポタミアの太陽神シャマシュは、作中でもいざこざが起きれば物騒な解決法を提案している。個性豊かな神々が集う役所でのドタバタコメディだが、読み進める内に世界の神話や神々に自然と興味が湧いてくるはず。実は血生臭い神話や神々の関係性も、作中ではギャグとして扱われている。神話をよく知る人や興味を持っている人にもオススメの作品だ。

本作に登場する役所は、忍者課のある甲伊賀市役所。忍者課は忍者の町の観光をアピールすることを目的としており、忍者大好きな主人公・しのぶにとっては、正に夢のような職場だ。上司の中には顔が怖いという理由で顔を黒い布で覆い隠している六角課長など、忍者っぽさのある変わった人物もいる。だが、ここはあくまでも役所であり、事務仕事が主な仕事。最初はテンションが下がるしのぶだったが、たとえ地味な作業であったとしても、お得意の想像力で、どんな仕事でも全てが忍者関連に置き換えられ、面白みのあることに変わっていく。それはもはや一種の才能であり、こんな風に何事にも楽しさを見つけて仕事をすることは、仕事のモチベーションや作業率を上げていくためには必要なことなのかも知れないと思わされる。

主人公の千秋がバイトをしている役所は人間相手ではなく、妖怪を専門に扱っている「（裏）多摩市役所」。千秋は事務全般を担当しており、クロクは治安維持担当暮らしの安全課でバイトしている。実はこの世界では妖怪と人間とが共存しており、妖怪絡みのトラブルが多発していた。その対応をクロクたち職員が秘密裏に行っていたのだった。先輩職員のクロクは不思議な「通力」という力を持ち、厄介な妖怪たちに立ち向かうことができるが、千秋は特殊な力を持たない一般人のため、妖怪と争うには不向きだ。しかし、事務仕事は得意で、クロクの方は事務仕事は全くできないため、お互いに苦手分野をフォローできる良いコンビといえるだろう。物語が展開するにつれ、全国にある他の「（裏）役所」についても描かれていく。

「修羅界」は、何らかの争いが日常的に起こっている物騒な世界。青羅は、物心ついた時から周囲の荒々しい空気に馴染めず、努力次第では安心安全な職に就けると信じていた。その努力が実り、青羅はやっとの思いで役所へ就職。しかし、役所といえどもやはり修羅界の役所は一筋縄ではいかない。青羅が所属することになった環境課衛生対策本部では、溜まっている念や淀みや穢れといった「汚れ」の清掃を主に行っている危険な部署だった。汚れの清掃のみならず、その要因や原因の排除も行い、その他にも便利屋に近い仕事も行うため、仕事は多岐にわたる。変わり者に囲まれながら、仕事をすればするほどストレスが溜まり、次第に心が荒れていく青羅の姿がコミカルに描かれている。