百発百中の腕前を持つ弓道部のエースである女子高生が、その腕前を活かして殺し屋のアルバイトに励む殺し屋コメディ。咲宮沙月(さきみやさつき)は、全射皆中させるほどの腕前を持つ弓道部のエース。その腕前と容姿から、部員たちの憧れの的でもある。ある日、後輩から練習を見てほしいと頼まれた沙月は、交換条件としてアルバイト先である渋谷に行くのに付き合ってほしいとお願いする。当日、弓道の道具を持って現れた沙月に、アルバイトは何かと聞いた後輩へ「殺し屋」と答えるのだった。
沙月は射場に立ち、矢を射ればすべて的のど真ん中に充ててしまうほどの腕前を持つ、弓道部のエースである。弓を構えていれば凛として折れない力強さが感じられるが、一度弓道から離れてしまうとその印象はあてにならなくなる。電車の乗り方はわからないし、とにかくマイペースでよく食べる。後輩たちはそのギャップに唖然となっていたが、さらなるギャップが投入されるとは誰も思わないだろう。沙月は弓の腕前を活かし、殺し屋のアルバイトをしている。バイト中の沙月は、部活動とはまた違った凄みがある。弓は元々人の命を奪う道具。沙月は後輩たちにそう説明していたが、矢を射る瞬間はその言葉を自身でかみしめているのだろう。仕事終わりに一礼する姿には、相手に対する敬意すら感じられた。
敗戦により国を追われた大国の王子が仲間と共に成長し、国を奪還するために戦う歴史大河ファンタジー。大陸公路の中心に位置する国家、パルスは国王アンドラゴラス三世の下で栄華を誇っている。美貌の王妃との間に生まれた王子アルスラーンは心優しく慕われてはいたが、次期国王としては不安視する声もあった。ある日アルスラーンが市中に出た時、自分と同じ年頃の敵国の捕虜の少年に遭遇するのだった。原作は田中芳樹の同名小説。2015年のテレビアニメ化他メディアミクス多数。
本作には1対1の戦闘はもちろんだが、国家同士の戦闘のシーンも数多く登場する。数多くの登場人物の中で、主人公アルスラーン側の弓の名手として登場するのがギーヴとファランギースだ。ギーヴは正体不明の流浪の楽士で、琵琶や笛、竪琴など楽器の扱いに長けている。飄々とした性格でつかみどころはないが、弓の腕前は神業的。剣も扱えるまさしく万能の戦士である。ファランギースはミスラ神を信仰する美貌の巫女。彼女が弓を構えるだけで絵になるのだが、その腕前は歴戦の戦士が称賛するほど。誰もが認める絶世の美女ながら、武も優れている。性格が違う2人の共通点は状況を冷静に見ることができる観察眼。共闘する機会も多く、冷静な彼らの一射が仲間の窮地を幾度も救ってくれる。
怪物に襲われた少女を助けようとして命を落とした主人公が、錬金術によって新しい命を授かり、錬金術を用いた武器を使用し戦士として戦っていく現代バトルファンタジー。高校2年生の武藤カズキは廃工場で少女をかばい、怪物に襲われて命を落とす夢を見る。現実ではなかったと安堵するカズキだったが、自分にありえないほどの怪力が備わったことに気が付く。そして、謎の人物から新しい命を大事にしろというメールが届くのだった。2006年10月にテレビアニメ化。
本作は錬金術が生み出した超合金「核鉄(かくがね)」から使用者が独自の形と特性を持った「武装錬金」という武器を生み出し、バトルを繰り広げていく物語である。武器は実際に存在するものをモチーフに作られており、槍や刀だけでなく、防護服や焼夷弾なども登場する。戦場において「武器」の定義の広さを実感するだろう。早坂桜花(はやさかおうか)は弓(アーチェリー)を用いて戦う。容姿端麗成績優秀、銀成学園高校の生徒会長を務める才女だが、彼女の武器「エンゼル御前」はかなり特殊だ。何せしゃべる。口がとにかく悪いのだが、武装錬金という武器の特性を考えると、「もう1人の桜花」といわれても納得せざるを得ない。エンゼル御前は武器としてだけでなく、桜花という人物のもつ複雑さをも表している。
剣と魔法の世界を舞台に、身の丈を超える剣を振るう主人公の戦士が復讐の旅を続けるダークファンタジー。エルフのパックは旅芸人の一座にいたが、盗賊に襲撃されてしまい自身も酒場でナイフの的にされてしまう。危機一髪のところを黒く巨大な剣を背負った戦士、ガッツに救われる。街を占領し暴虐の限りを尽くす盗賊たちをものともしない姿に興味を惹かれるパック。しかし、ガッツは城の領主に捕らえられてしまうのだった。2016年のテレビアニメ化などメディアミクス多数。
主人公のガッツは巨大な剣を振るう戦士である。登場するキャラクターの多くが剣を振るう中、驚異的な弓の腕前を持っているのがアーヴァインだ。狩人のようないで立ちをしており、つばの長い帽子をかぶった姿はどこかミステリアス。儀式により人間から怪物的な力を持った「使徒」となった彼は、ガッツからすれば手強い敵の1人だ。武器は単眼の付いた大型の弓で、一度にいくつもの矢を放つことができる。数が多いとそれだけ威力が減ってしまいそうだが、使徒は人間よりもはるかに強大な戦闘能力を持った存在だ。人間離れした力で放たれた矢は、とてつもない飛距離と驚異的な精度で確実に敵を葬り去る。味方であれば心強いが、敵となると話は別だ。後方から狙われれば逃れることは難しい。
江戸時代中期、数多くの武芸者が集う藩を舞台に、次期藩主を決める戦いに参加することになった主人公が強敵たちと戦いを繰り広げる、和風バトルファンタジー。数多の武芸者が集う「鬼の巣」と呼ばれる海原藩。現藩主の二十八男である鷲津直善(わしづなおよし)は最強の剣客、黒鉄陣介(くろがねじんすけ)に会うため、供を連れて藩境にある大亀流の道場を探し当てた。さっそく道場内に入ろうとした直善たちの前に、大亀流の者だという少年我間(がま)が現れる。彼は自分が認めた者しか門の中へ入れないと告げるのだった。
古くは槍や弓、鉄砲など様々な武器を使用したが、戦から遠ざかった江戸時代で主に使用されたのは刀である。戦いの方法が変わったためだが、本作でも武芸者たる登場人物たちが駆使するのは刀だ。その中、たった1人で流派を守っているのが中泉新(なかいずみあらた)だ。次期藩主を決める海原大仕合の参加者で、我間とも戦うことになる。中泉は弓に全身全霊を捧げており、とにかくストイック。日々数千本もの矢を放って体得したのは、舞い落ちる木の葉ですら正確に射貫くことができる技能。地道な鍛錬だけでなく、新たな弓を開発するなどかなり意欲的で、勝利に対する貪欲さが窺える。刀が一番評価される時代に、弓を極め続けるのは並大抵のことではないだろう。弓の技術そのものが、中泉の強靭な精神力を表している。