さまざまな「椅子」をめぐる物語！ オススメ５選0 Pt.

亜間宮瞳子は、椅子の中の世界にすっかり魅了されてしまっていた。きっかけは、人と目が合うととてつもなく恥ずかしくなり涙が溢れ出てしまう厄介な体質のせい。今度こそ上手くやろうと、知り合いのいない遠方の学校に入学した瞳子だったが、人とぶつかった拍子に涙があふれて止まらなくなってしまう。この苦しみが一生続くのならいっそのこと、と考える瞳子。そこにハンカチを差し出したのが、生徒会長の神楽坂マリだった。美しく優しい彼女に心を奪われた瞳子は、会長が愛用している椅子をくりぬいて中に潜み、彼女のそばにいるという選択をする。そこで会長の秘密を知ってしまった瞳子は、自分が会長を守ろうと決意する。

東都大学の就職課には、伝説の就職課課長、野々山希望という男がいる。在校生だけでなく、卒業生も含めた様々な人々が就職の悩みを抱えて野々山の元を訪れる。ある日野々山の元に、在学生の父親が息子の人生をどうしてくれるのか、と怒鳴りこんで来る。話を聞けば、彼の息子は地元の役場で公務員の職が決まっているにも関わらず、東京の小さなゲーム会社を受け、そこでも内定をもらったのだという。息子の将来を考え安定した公務員になってほしい父親と、自分の選んだゲーム会社へ進みたい息子。それぞれの話を聞いた野々山は、息子を連れて彼の実家を訪れ、旅立つ時に後を濁さない、立つ鳥後を濁さずだというアドバイスを送る。

本作の物語は、選挙運動中の民自党公認候補、仲阪典栄の選挙事務所に、白鳥遥と名乗る大学生が尋ねてくるところから始まる。2年間休学して世界をひとり旅していたという白鳥は、仲阪の著書に感銘を受け、自身もその経験生かして政治に携わりたいと思いを語り、仲阪の選挙ボランティアに加わってまたたく間に信頼を得ていく。そんなある日、事務所に仲阪が海外で買春した際の写真を同封した脅迫状が届く。自分に対応させてほしいと申し出た白鳥は脅迫者と話をつけ、問題は解決したかのように見えた。だがその写真こそ、海外で旅をしている最中に白鳥が撮影したものだった。腹に一物を抱え、手段を選ばずに政治の世界でのしあがって行こうとする白鳥のピカレスクサスペンス 。

椅子をテーマとした「処刑教室」の物語の舞台は、とある小学校の6年1組。いじめられっ子の白沢杏をいつも助けてくれるのは親友の美優だった。杏が、明るくて強い美優のように、自分ももう少し強くなれればと思いながら過ごしていたある日、クラスの自習時間に嫌われ者の大野先生が来る事になり、そこで呪われているという噂がある空き椅子に先生を座らせようという話が持ち上がる。椅子に座った先生は3日後、原因不明の高熱で入院。椅子の呪いは本物と認定され、クラスの中で悪い行いをした生徒が無理やり座らされる処刑道具のように扱われていく。自分をいじめていた子も椅子の呪いにかけられて喜ぶ杏。だが、呪いの椅子の乱用は少しずつエスカレートし、クラスの空気は徐々に変化していく。

タイトルの「緋色の椅子」は、王座のこと。その椅子に座るべく旅立った少年の消息を追う少女が、主人公のセツだ。故郷の村の武道大会で賞金を稼ぎ王都を目指したセツは、旅の途中でルカリア新国王が即位したという話を耳にする。新国王はセツの幼なじみのルカで、セツの旅の目的は彼に会うことだった。国王の妾腹の子で王家の血をひく最後のひとりだったルカは、5年前、跡継ぎが途切れそうになった王室から極秘に招かれて密かに村を出ていた。セツはルカが無事に王となれたことを喜んだが、王都についた彼女が目撃した新王は、ルカとは似ても似つかない青年だった。真相を知るべく王宮での舞踏会に潜り込んだセツは、そこで陛下からルカが行方不明となっていることを知らされ、彼の消息を求めて再び旅に出る。