とある目的のため、総理大臣を目指して暗躍する青年の半生を描いた立身出世ストーリー。衆議院議員総選挙真っ只中の民自党議員・仲阪典栄の事務所に、白鳥遥(しらとりはるか)と名乗る青年が訪れる。白鳥は彼の政治理念に感銘を受けたため、選挙を手伝わせて欲しいと申し出る。仲阪に気に入られた白鳥は、献身的に尽くしスキャンダルを揉み消したことで信頼を勝ち得ていく。ついに白鳥は公設第一秘書にまで登りつめるが、それは「総理大臣になる」という野望達成の布石に過ぎなかった。
白鳥は仲阪を懐柔したのち、彼がかねてから抱えていた買春や再開発に関する疑惑を暴き自殺に追いこむが、すべて計算ずくでの行動であった。実は、彼が総理大臣を目指すのは「戦争を起こし、日本を壊滅させる」というとんでもない目的のためであった。仲阪の後釜として議員となった白鳥は甘いマスクと誠実さで国民の支持を勝ち取る一方、次々と裏工作を仕掛け総理の椅子を目指して成り上がってゆく。しかし、そんな白鳥をしつこく付け狙うのは政治ゴロのジャーナリスト・戸桐信司であった。取材を続けるうちに、戸桐は彼に隠された重大な過去を知ることになる。政治にまつわるドス黒い世界を、白鳥を通じて痛いほど思い知らされるが、晴れて総理となった彼が巻き起こす衝撃の結末にも注目だ。
男ばかりの私塾を舞台に、塾生たちの闘いや友情を描いた宮下あきらの『魁!!男塾』の続編。脆弱した現代において、真の男の育成を目的とした私塾「男塾」。一号生筆頭・日登(ひのぼり)直樹を中心とした塾生たちは、渋谷の若者たちの茶髪をバリカンで刈り上げるという身勝手な粛清を行っていた。たまたま近くを通りがかった青い瞳の青年・剣獅子丸(つるぎししまる)も彼らに言いがかりをつけられるが、規格外の強さで全滅させる。時を同じくして、塾長・江田島平八の元にとある男が訪れていた。
江田島を訪ねたのは、時の総理大臣・剣桃太郎であった。桃太郎は、外国人女性との間に設けた一人息子である獅子丸を男塾で預かって欲しいと頼みに来たのであった。入塾を許可された獅子丸は、さっそく渋谷で頭を刈られた安東洋明(あんどうひろあき)が復讐に現れたところに出くわし、刀でもって制圧する。獅子丸は一号生となり、日登や入塾した安東を仲間に従えさまざまな敵と闘いながら友情を育んでいく。本作は、今となっては化石のような「漢」の闘いや生き様が暑苦しいほどに描かれている。また、総理大臣として登場する剣桃太郎は前作の主人公だ。政治で辣腕を振るいつつ、悪の組織「ソドム世界会議」との決戦には自ら斬り込みにいくなど武闘派なところも相変わらずであり、懐かしさを感じるだろう。
国も時空も超えた歴史上の首脳たちが、威信をかけて闘う社会派「麻雀」コメディ。沖縄は万国津梁館で開かれた「日米首脳会談」。3日間に及ぶ外交は大成功に終わったかに見えた。日本国内閣総理大臣・小泉ジュンイチローに帯同していた衆議院議員・杉村タイゾーは、アメリカ合衆国大統領のジョージ・W・ブッシュに呼び止められ部屋に招かれる。タイゾーが向かうと、目の前にはなんと麻雀卓が置かれていた。続編に『ムダヅモ無き改革 プリンセスオブジパング』がある。
ブッシュに麻雀を教えて欲しいと頼まれたタイゾーだが、それは全て「罠」であった。会談は表向きで、裏では小泉とブッシュは三日三晩麻雀に明け暮れていたのである。ボロ負けしていたブッシュはタイゾーを人質に取り、小泉をおびき寄せることに成功する。ブッシュが突きつけた「点F-15」という戦闘機を賭けたリベンジマッチに、小泉は見事に勝利する。総理大臣を退いた後も小泉は、難局を乗り越えるべく各国の首脳たちと麻雀で決着をつけてゆく。政治家のパロディキャラがガチンコ勝負を挑むさまは、麻雀や政治を知らずとも楽しめる。小泉が得意とする「国士無双十三面(ライジング・サン)」や「轟盲牌 (ごうもうぱい)」など、麻雀に到底ありえない必殺技もバカバカしく楽しい。
平凡な高校生男子が歴代の総理大臣たちから英才教育を施され、自ら総理大臣を目指してゆく帝王学コメディ。主人公・日向(ひなた)大悟はどこにでもいる普通の高校生だ。サッカー部で頭脳明晰、顔も性格もパーフェクトな双子の弟・日向慎吾と比べて何も取り柄がない。夢もなく、大悟は自信のなさから進路は就職を希望するほどだ。そんなある日、彼の元に眼鏡をかけた青年が現れる。促されるまま黒塗りの車に乗せられ連れて行かれた場所は、何と国会議事堂であった。
謎の青年に国会議事堂の地下室へ案内された大悟であったが、そこは見たこともない不思議な空間で7人ものイケメンたちが彼を待ち受けていた。なんと地下室にいた彼らは明治時代の歴代の総理大臣たちであり、時代を超えて元首たちが集う「総理倶楽部」のメンバーだったのだ。そこで大悟は、自分が未来の総理大臣であることを告げられ、就任前に特別に連れて来られたことを知る。さっそく初代内閣総理大臣・伊藤博文から手厚い歓待を受け、すっかりその気になった大悟は彼らから総理大臣になるための帝王学を学んでゆく。本作は伊藤博文や大隈重信など、教科書でお馴染みの総理大臣に関する豆知識が豊富で勉強になる。大悟がどのようなプロセスで総理大臣になっていくのか、展開が楽しみだ。
余命わずかの総理大臣と守護霊のギャルが、バディを組み国を変えるべく奔走するサイコ・ヒューマンストーリー。ギャル系の少女・リヨンは僅か18歳でこの世を去り、霊界の最下層にある学校で怠惰な日々を過ごしていた。そんな彼女に校長は業を煮やし、現世に降りて人間の守護霊となるよう命じる。渋々命令に従うリヨンであったが、偶然にも余命約1年半の中年・春日荘一郎に憑くことに。人間界に降り立った彼女が目にしたのは、酒に溺れる総理大臣の姿であった。
なんと春日は、余命幾ばくもない日本の総理大臣であった。間もなく彼は重度の脳梗塞で死にかけるが、リヨンの手助けもあり命を取り留める。それがきっかけでリヨンの姿が見え、他人の心を読む特殊能力を身につけた彼は、彼女と共に日本を変えるべく立ち上がる。しかし、人が変わったように精力的に動き回る春日を見て、若手議員・泉美大希(いずみだいき)は訝しんでいた。泉美は秘密裏に霊能力者・久保光司を使って身辺調査に動くが、久保こそが日本を破滅に導く悪の元凶であった。当初は春日を中心とした社会派ストーリーであったが久保の登場以降、次々とサイコな展開が巻き起こるのが面白い。彼が命を賭して日本を守ろうとする姿に、真のリーダーシップを感じることができるであろう。