歴史の改変を企てる学者と、彼を阻止しようとする歴史調査官の戦いを描くSFサスペンス。物語の舞台は、一種のタイムマシンである「航時機」が発明された未来世界。航時機とは、肉体から意識を分離し、自分と似た遺伝子を持つ過去の人物と精神をシンクロさせるマシンである。シグマ・サイは「歴史は流動的なものである」という理論を掲げる航時学者。彼は自説を証明するため、ナザレのイエスとシンクロし、歴史の改編を企てる。歴史調査官・ヴェアダルは、それを阻止すべく、イエスの使徒ペテロとシンクロする。
本作における使徒は、本家本元であるナザレのイエス(キリスト)の教えを広めた十二使徒の1人、シモン・ペテロ。主人公である歴史調査官・ヴェアダルは、未来世界からタイムマシン「航時機」を用いてこのペテロと意識をシンクロさせている。彼の目的は、同じようにイエスとシンクロした航時学者シグマ・サイの歴史改変を阻止すること。だが、航時機による過去人とのシンクロ率は、遺伝子が近いほど高くなる。驚異的なシンクロ率により、シグマはイエスの肉体をほぼ自分のもののように操れる。一方、ヴェアダルとペテロのシンクロ率は、シグマとイエス程ではなく、条件はかなり不利。加えてヴェアダルはイエスの行動が何処まで歴史通りなのか見極める必要があった。下手をすると、ヴェアダルが歴史を歪めてしまう事態もありうるのだ。様々な困難が重なる中、ヴェアダルの任務は予想外の結末を迎える。
汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」と、謎の存在「使徒」との戦いを描くTVアニメシリーズ「新世紀エヴァンゲリオン」のコミカライズ。アニメのキャラクターデザイナーである貞本義行自身が漫画化を行った。ストーリーは概ね、原作のテレビシリーズ第壱~弐拾四話までと、劇場版第25~26話を適宜省略しつつ再現し、漫画版独自のシーンや結末、エピローグが追加されている。設定や人間関係なども細部で異なり、特に主人公・碇シンジと父・碇ゲンドウによる父子の葛藤のドラマがより強調されている。なお、雑誌連載は原作アニメのテレビ放送より数ヶ月先駆けて行われた。
本作における使徒は、人類に敵対する謎の存在だ。使徒にはそれぞれ聖書偽典の天使に由来する名称が付けられており、その姿は巨大な人型から触手を備えた軟体動物、無機質な正八面体など、実に様々である。共通点は「A.T.フィールド」と呼ばれる、通常兵器では突破不能な防壁を展開すること。そして、体内に存在する赤い球体「コア」を破壊すると停止することだ。この使徒を殲滅するために組織されたのが特務機関NERVであり、使徒との戦いの切り札が、汎用人型決戦兵器「エヴァンゲリオン(EVA)」である。主人公・碇シンジは、EVAのパイロットの1人として、人類の存亡を賭けた過酷な戦いに身を投じることを余儀なくされる。物語の序盤では、使徒の成り立ちや目的、彼らが第3新東京市を襲撃する理由など、数多くの部分が謎のままだ。だが、これらの謎がストーリーへの興味を掻き立てる大きな要因となっている。
人類が平等かつ、幸福に生きられる世界を目指して活動する天才少年・悪魔くんの活躍を描いた、オカルト・ファンタジー。主人公の異なる3種類のシリーズが存在しており、本作の主人公は松下一郎。リメイク作品として『悪魔くん復活 千年王国』、さらにその続編に当たる『悪魔くん世紀末大戦』が刊行されている。その他に、山田真吾を主人公とする『悪魔くん』、埋れ木真吾を主人公とする『最新版悪魔くん』が発表されている。
本作に登場する使徒は、十二使徒という名前だがイエス・キリストの弟子ではない。彼らは主人公・悪魔くんこと、松下一郎に仕える古代の魔法使いや悪魔たちだ。悪魔くんは小学2年の少年だが、その頭脳は1万年に1人というレベルの超神童。そんな悪魔くんは、秘術を用いて古代の魔法使いの魂を召喚し、人間に憑依させて配下としているのだ。その第一使徒で、悪魔くんの腹心の部下が蛙男である。かつては悪魔くんの家庭教師だった男だが、魂の憑依によって蛙の顔を持つ異形の姿に変貌。元の家庭教師としての人格も消滅してしまっている。かなり物騒なことを事も無げに行う悪魔くんだが、彼が目指すのは全人類が幸福に生きられる世界の実現。その目的を達成するため、彼は敵対する勢力と戦いながら、優れた能力を持つ使徒たちを集めていく。
異形の怪物を狩る“黒い剣士”ガッツの活躍を描く、壮大なスケールのダーク・ファンタジー。物語の舞台は中世ヨーロッパをベースとした剣と魔法の世界。主人公・ガッツは、身の丈を超える大剣「ドラゴン殺し」を携え、右腕には大砲を内蔵した義手を備える超人的な剣士だ。彼は復讐の相手を捜し求め、使徒と呼ばれる怪物を狩りながら世界を放浪する。精緻かつ重厚な画力と、巧みな心情描写を交えたストーリーは、国内のみならず海外でも高い評価を得ている。1997年にテレビアニメ化され、2012年に3部作の劇場版アニメが公開、さらに2016年にはテレビアニメ第2期が製作された。
本作における使徒は、欲望のままに人間を弄び、蹂躙する異形の怪物である。彼らは元は人間だったが、人の身に余る願望を叶えるために掛け替えのないものを生贄として、魔の力と人間を超越した肉体を手にしたのだ。そんな使徒たちが神と崇めるのが、5人のゴッド・ハンド。その内のひとりである“フェムト”ことグリフィスこそ、主人公・ガッツが追い求める復讐のターゲットだ。グリフィスも使徒たちと同じく元人間であり、かつてガッツとグリフィスは固い絆で結ばれた戦友だった。ところがふたりは些細なきっかけから袂を分かつ。そして自らの夢が潰えたグリフィスは、ガッツを含め、千人以上の仲間を生贄に捧げ、ゴッド・ハンドとして転生したのだ。悪夢のような生贄の儀式“蝕”を生き抜いたガッツは、復讐のため使徒を狩る過酷な旅に出る。
人の命を狩る死神と、彼の依り代として使役される少年、そして天才的な頭脳を持つ少女の3人を中心に展開する、新約聖書をモチーフとしたダーク・ファンタジー。物語の舞台は現代の日本。16歳にして白血病の特効薬を開発するなど、数々の偉業を成し遂げた天才少女・綾瀬瑞樹は、心に大きな罪の意識を抱え、自ら死を望んでいた。投身自殺を図った彼女は、偶然その場に居合わせたイブ=真久蘭という少年に救われる。イブは少女にしか見えない外見で、温和な性格の持ち主だが、実はJUDASという死神の依り代だった。
本作に登場する使徒は、イエスの十二使徒が元ネタとなっている。名前もペテロ、ヨハネ、マタイというように本家と同じである。主人公のJUDAS(ジューダス)もその1人で、彼の正体は「イスカリオテのユダ」だ。もっとも、各々の性格などは福音書に登場する使徒とはかなり異なる。JUDASは女好きな上にドSな性格で、自らの依り代として使役する少年・イブ=真久蘭をオモチャ扱い。嫌がる彼に女装をさせて楽しんでいる。JUDASは背信者とは言え、イエスの高弟とは思えない、鬼畜かつ自由奔放な男だ。そんなJUDASは、とある理由から呪いを受けて死神となり、666人の命を狩る宿命を背負っている。だが彼は実体を持たないため、イブの肉体を操ることで死神としての役目を遂行する。やがてそんなJUDASの前に、使徒の筆頭格であるペテロが登場。彼が率いる「聖王庁」の計画により、物語は大きく動き出すこととなる。