非情な世界で子供たちが果敢に戦う！ オススメ漫画5選178 Pt.

これほど理不尽で非情な設定で子供が戦う作品も珍しいと思われる。何かに巻きこまれて、子供が戦わなければならなくなるという作品は多いが、ロボットに乗って戦うたびにその操縦者が死んでしまう、という作品は珍しい。一人目のパイロットのワク、二人目のコダマは勝利したにもかかわらず戦闘後に絶命する。動揺する子供たちに、案内役のコエムシがロボット・ジアースは搭乗者の生命力を使って稼働することを明かし、また、契約の解除もできないことを打ち明ける。敵との戦いに勝利しても絶命し、負ければこの世界そのものが消滅してしまう。自分が死ぬと判っていながら戦わなければならないという状況は、まさに非情と言えよう。

戦場でアラタが出会った子供たちは、タジキスタンの村からPMSCsに売られた子供たちの生き残りだった。子供たちはPMSCsから戦闘訓練を受け、銃弾が飛び交う非情な世界で戦わされていたのだ。アラタが出会った少年兵のジブリールたちは、村からも、PMSCsからも見放された辛い立場となっていた。アラタはその不遇な子供たちを引き取り、独立した傭兵業を生業とすることを決意する。しかし、アラタは子供たちに戦闘と無縁に生きて貰いたいと思いながらも、生きていくためには戦場で戦わせないとならないという矛盾に苦しむ。それでも、子供たちの信頼を得たアラタの指揮の元で部隊は戦果を上げ、アラタは「子供使い」の異名で知られるようになるのだった。

前世でのエリートとしての記憶を持っているターニャを、子供として扱うことに異論もあるだろうが、この異世界では戦いを強いられている9歳の幼女である。前世では徹底した合理主義によりエリートとして出世していたが、その才能はこの世界の軍隊に於いても発揮されることになる。ターニャ自身は軍で手柄を上げた後に、前線から退いて平穏な生活をすることを願っているのだが、その高い能力が裏目となり、常に最前線へと送り込まれていく。華々しい戦果によって「白銀」の２つ名を持つ彼女は、本人の意志とは裏腹に最前線という非情な世界で戦い続けるのだった。

本作で義体を得て戦うのは、重病で死にそうだったり、事件に巻き込まれて瀕死の重傷を負うなど、重度の障害をもった少女たちだ。彼女たちの多くは事件や事故により、心にも重い障害を負っている。義体を得たことによって体の自由を取り戻し、洗脳によってつらい過去と決別できた少女たち。しかしそれは、非情な世界で戦うために与えられたものだった。少女たちを扱うのは成人男性の担当官で、少女たちが「兄妹」として忠実に指示に従うよう洗脳を施す。任務遂行のための洗脳だが、担当官の中には常に一緒の行動をすることによって、本当の妹以上の感情を持ち、苦しむ者も出てくる。抗えない運命に翻弄される少女たちと担当官の物語は、読む人の心を強く揺さぶる。

未曽有の大災害、「セカンド・インパクト」が起こった時、人類は強大な敵「使徒」の襲来を予測していた。これに対抗するために開発されたのが巨大な人型決戦兵器「エヴァンゲリオン」だった。この兵器を操縦するパイロットには、特殊な条件が必要だった。その条件に適応するとして選ばれたのが「エヴァンゲリオン」とのシンクロ率が高い、3人の14歳の子供たちだった。いきなり使徒との戦闘を命じられたシンジは、恐怖と反発心で拒否するが、満身創痍の女の子が代わりに搭乗しようとするのを見て戦いを決意する。しかしそれは命をも犠牲にしなければならない、非情な世界での戦いだった。単なるロボットバトル漫画ではなく、人類の存亡という大きな使命を背負って戦う子供たちの苦悩まで描いている点が、多くのファンの心を掴んだポイントだと言えるだろう。