幼い頃にバレエに魅了された主人公の少年が、ある少女との出会いをきっかけに、一旦は諦めたバレエダンサーの道を目指し始める、熱血バレエ系青春学園漫画。小学生の村尾潤平は、姉が通っていたバレエスクールの発表会に出演していた男性バレエダンサーの演技に刺激を受け、バレエを始める。長髪で女の子によく間違われる潤平は周囲の友人から「男のくせに」とからかわれながらも、母の応援を受けてバレエに熱中する。ところが、そんな潤平の家族に突然の悲劇が訪れる。
バレエを習うことで友人と喧嘩になった潤平を「バカは話してもムダだから」と優しく慰める母。その時一本の電話がかかってきた。それは映画監督だった父が心筋梗塞で突然死したという知らせだった。潤平の父はバレエを習うことには理解を示していたが、アクション監督をしていたことから、息子にはブルース・リーがやっていた格闘技「ジークンドー」をやらせたがっていた。潤平は父の死をきっかけに「家族を守るために男らしく生きる」ことを決意。バレエの道を諦め、父が望んだ格闘技の世界に入る。しかし、中学2年生になった潤平は転校生の五代都(ごだいみやこ)と出会い、封印していたバレエへの情熱を再び燃やし始める。男性がバレエの世界に飛び込む苦悩と葛藤を正面から描いたリアルなダンス作品。
ライバルに監督デビューのチャンスを奪われた自主映画監督の主人公が、殺人を犯した熱烈ファンの女子高生と共に逃亡劇を繰り広げるドタバタ系映画ラブコメディ。商業映画デビューを目前にしていた自主映画監督の真島アキ。ところが、直前で同じ自主映画監督の新開エージにその座を奪われてしまう。やけくそになったアキが大切にしている愛用のカメラを歩道橋から投げ捨てようとした時「だめぇぇ~!」と一人の女子高生が身を挺してそのカメラを救った! 2008年に実写映画化。
「だめです! 何があっても才能あるあなたがカメラを、映画を捨てるなんてっ…」。アキの大ファンだと言うその女子高生の名は鰐淵(わにぶち)ミカ。酷いけがを負っているにもかかわらず、病院を拒否した彼女をアキは自分の部屋で看病する。「俺の部屋に女がいるなんて」。余りの突然の出来事に戸惑いを隠せないアキはベッドで眠るミカを何気なく撮影し、カメラ映えする被写体だと気が付く。アキは「オレのデビュー映画に出て欲しい」とミカに頼み込み、アキの映画に出られることに狂喜乱舞するミカ。しかしそれが嘘であり、本当のヒロインが自分がコンプレックスを抱く巨乳女優の中村ヒナだと知ったミカは、ヒナの楽屋に乗り込み、ヒナを殺害。アキはミカと逃避行し、二人の逃亡劇を映画にすることを決意する。ハラハラのロードムービー的要素てんこ盛り作品。
東京で雑誌モデルをしていた美少女が、父の実家のある田舎に引っ越したことで芽生えた恋心を通じて揺れ動く十代の心情を描いた青春学園系恋愛少女漫画。小学6年生の望月夏芽(なつめ)は、父が危篤の祖父に代わって実家の老舗旅館「ひねもす屋」を継ぐことになったため、否応無しにモデルの仕事を辞め、父の故郷の浮雲町に引っ越すことに。ところが、東京から5時間かかるその町は、夜は真っ暗で明かり一つなく、あるのは猿の出る山と美しい海だけだった。2016年に実写映画化。
「東京の生活が全てではない」と覚悟を決めてやってきた夏芽だったが、「じゃあもうずっとそっちに住むんだ」とのモデル仲間からの電話に「すべてに忘れ去られ、埋没してしまいそうな焦り」に苛まれる。その焦りを忘れるために、旅館の宴会を手伝いながらも、ふて寝ばかりの生活が続く。「怖い!」。ある夜、夏芽は夜中に飛び起き、外に出て「神さんが居るから近づいてはいけない」と言われていた海の鳥居に入ってしまう。そこで夏芽は一人の少年(長谷川航一朗)と出会い、恋心を抱くようになる。十代という少年少女が一番心揺れる時期を、触れれば切れる「ナイフ」という言葉に込めた作者が、繊細かつ巧みな心情表現で描いた青春恋愛漫画の秀作。
自己主張するのが苦手でいつも人に合わせてしまう女性が、元カレと別れるために引っ越した先で初めて本当に好きな相手に出会う、オトナ恋愛漫画。CDショップで働く25歳の梅宮志乃は構って欲しい系の寂しがり屋の上、情に流されやすい性格。「こんな自分を好きになってくれる」という理由だけで正樹とズルズルの関係を続けている。正樹は志乃とは正反対の性格で自己主張が強く、自分の要求が通らないとキレてしまう。しかし、志乃には正樹の他にも付き合っている相手がいた。2015年に実写映画化。
初対面で告白、3回会っただけでプロポーズしてきた正樹との関係を続けながらも、遊びで寝てしまった同じ職場のミツとの関係も終わりに出来ないでいた。ミツは自分の言い分が通らないと、まるで小学生のような嫌がらせをするため、職場で嫌な思いをする志乃。ところが、ミツとの浮気が正樹にばれ、志乃は正樹から暴力を受ける。それでも志乃は自分からは別れを言い出さない。一見従順そうだが、それは正樹に罪悪感を抱かせる志乃の小さな復讐でもあった。志乃は正樹と別れるために今のバイトを辞め、アパートを引っ越す。そこに志乃にとって運命の出会いが待っていた。志乃は新しいバイト先の店長である30歳の菅原京志郎に強く惹かれる。男子には志乃の優柔不断さが許せず、女子は「分かる」と共感する。恋愛体質女子必見の作品。
35歳、バツイチ漫画家が担当編集者に脅迫されて夫婦になってしまう、不器用なオトナたちの恋愛コメディ。「わたしのマンガ、パクってたんですね。バラされたくなければ、わたしと結婚して下さい!」。元嫁と別れたダメージが癒えぬまま悶々とした日々を送っていた漫画家の祭田丈(まつりだじょう)は、担当編集者の丹下日歌(にちか)にパクリを指摘される。日歌は7年間同棲していた売れない役者のヒモ彼氏と別れ、祭田と一緒に暮らす覚悟を決めてやってきたのだった。
実は日歌は元漫画家だった。漫画家時代に入選していた作品を祭田がパクっていたことを指摘した日歌。ヒモである彼氏と恋人として付き合い続けるよりも結婚して子供を産むことを優先したい彼女は、結婚することで祭田のパクリの隠蔽と自分の願望が叶う「一石二鳥」の提案をしてきた。離婚でもう二度と結婚出来ないほど打ちのめされていた祭田だったが、しぶしぶ日歌の提案を受けることに。その上さらに「バラされたくなかったら、新婚旅行はアフリカにする」と日歌に脅される。未来の見えない二人の正に「夫婦サファリ」が始まったわけだが、この旅行が祭田のすさんだ心を癒やし、殺伐とした日歌との関係も変化を遂げていく。マイナスから始まった夫婦生活が徐々にプラスへと変貌する、これから夫婦になるカップルにもぜひ読んでもらいたい逸品。