ネットで公開されていた小説が書籍化され、更にマンガ化されるのは近年では珍しくない。主に中世ヨーロッパを舞台とした異世界、転生、チート、ファンタジーなどの投稿作品が多い。今回は、その「小説家になろう」が原作のマンガ作品を紹介する。
誰でも無料で掲載出来る小説投稿サイト「小説家になろう」。ここから書籍化、アニメ化、実写化された作品は多い。今回は、「小説家になろう」が原作のマンガ作品を紹介する。
出典:Amazon.co.jp
ネットで公開されていた小説が書籍化され、更にマンガ化されるのは近年では珍しくない。主に中世ヨーロッパを舞台とした異世界、転生、チート、ファンタジーなどの投稿作品が多い。今回は、その「小説家になろう」が原作のマンガ作品を紹介する。
出典:Amazon.co.jp
原作者は「理不尽な孫の手」、キャラクター原案は「シロタカ」、作画は「フジカワ ユカ」が担当している作品。「小説家になろう」に今もなお掲載されている『無職転生 ~異世界行ったら本気だす~』のウェブ版は2017年6月現在、総合累計ランキング1位を保っている。現代日本に暮らす34歳無職の主人公は、両親の死をきっかけに無一文で実家から追い出されてしまう。人生をやり直したいと後悔していた彼は、トラックに轢かれそうな高校生を助けようとして、呆気なく死んでしまった。ところが、彼は剣と魔法の異世界で「グレイラット家」の長男「ルーデウス」として転生。魔術の才能を開花させた彼は、「今度こそ本気で生きる」と後悔しない人生を生きる決意をする。果たして第二の人生を後悔しないで生きることが出来るのか⁉ 本作は、「小説家になろう」主流の「異世界に転生した主人公が、前世の知識を生かして無双する」設定のハイ・ファンタジー。しかし主人公が前世のトラウマを乗り越え成長していく要素や、家族を含めた人間関係、主人公に恋心を抱くヒロインの心理描写も織り込まれた作品である。特に、彼の家庭教師になる「ロキシー」や、クォーターエルフの「シルフィエット」、凶暴な性格の令嬢「エリス」といったヒロインたちは、それぞれ個性があって魅力的だ。それは、主人公も例外ではない。「ルーデウス」の見た見は無邪気な子どもだが、精神は前世の知識を持ち込んでいる34歳のため、外見と内面のギャップが激しく大変面白い。また、冒険の要素、学園生活、コミカルとシリアスが絶妙に描かれている点も見どころだ。
出典:Amazon.co.jp
原作は「澪亜」、キャラクター原案は「双葉はづき」、作画は「梅宮スキ」が手掛けている。婚約者だった王子に、とある女子生徒への嫌がらせを糾弾され、大勢の人の前で取り押さえられた公爵令嬢「アイリス」。そこで彼女は、突然自分の前世を思い出す。この世界は、前世の自分がプレイしていた乙女ゲーム『君は僕のプリンセス』のエンディングシーンということ、自分はそのゲームでヒロイン(プレーヤー)に嫌がらせをする悪役だということ、このままでは修道院へ幽閉されるということを……。退学にはなったが、咄嗟の機転でその場を上手く切り抜けた「アイリス」は、実父との面接を経て、領主代行として領主経営を命じられる。幽閉から免れた「アイリス」は、前世の記憶や知識、優秀な人材を集め、領主経営に挑む。乙女ゲームのような世界が舞台だが、イケメンが集う逆ハーレムが始まるわけではない。この作品は、前世は会計士の仕事をしていた「アイリス」が、その時の記憶や豊富な知識をもとに、領地の経営を行う物語だ。チョコレートやリンスを作り出し、帳簿のつけ方の統一、銀行の創立など、中世ヨーロッパ風の異世界を舞台に現代の知識を活用し、領地を繁栄させようと奮闘している。『まおゆう魔王勇者』などが好きな人には楽しめるのではないだろうか。「アイリス」が様々な問題にぶつかりながらも、鮮やかな手腕で領主経営をする姿は必見である。
出典:Amazon.co.jp
原作は「馬場翁」、作画は「かかし朝浩」が担当している作品。底辺女子高生の「私」は、ある日突然、種族最底辺の「蜘蛛」になっていた。孵化して早々命の危機に遭い、彼女はなんとか生き残る。恐らく異世界転生だと推測した彼女は、毒蛙、大蛇、果ては龍が跋扈するダンジョンで生き抜く決意をする。果たして「私」は、「スキル」「ステータス」に支配されるこの異世界で、ダンジョンから脱出することが出来るのか⁉ 蜘蛛になった「私」の視点で進む本作は、蜘蛛になったショックをあまり引きずらないメンタル最強の女子高生である。生きるためにゲテモノも食べ、自分より格上の魔物と戦い、時には進化して強くなっていく。罠や自身のスキルを駆使した戦闘は必見だ。傍から見れば悲惨な状況なのだが、「私」のメンタルの強さとデフォルメされた蜘蛛の姿、コミカルな台詞で、その辛さを微塵も感じさせない。テンポよく進んでいくので、ストレスなく読み進めることが出来る。主人公が努力する姿をコミカルに楽しめる作品ではないだろうか。
出典:Amazon.co.jp
原作は「蝉川夏哉」、キャラクター原案は「転」、作画は「ヴァージニア二等兵」が手掛けている。城壁の古都「アイテーリア」。給料日、いい酒場があると誘われた衛兵「ハンス」。彼は「ニコラウス」と共に、謎の店「居酒屋のぶ」に訪れ、異国の冷えたエール(ビール)や馴染みのない異国の料理に舌鼓をうつ。すっかりこの店の常連となった「ハンス」だが他にも異世界の様々な人間が「居酒屋のぶ」の常連。この居酒屋を中心に、店内または店外で様々な出来事が起こっていく。現代日本では珍しくもないガラス製品など、未知の文化に驚く異世界人の反応がリアル。恐らく、文化が未発達の世界から来た人間が、発展している世界の文化に触れると恐らくこのような反応になるのだろう。この文化の違いだけではなく、料理がとても美味しそうに描写されている。1話の枝豆もおでんも美味しそうだが、何よりその料理を食べる異世界の人間の表情が生き生きとしている。味に感動する様子は、こちらも顔が綻び、彼らが食べている料理を食べたくなるほど。読了後、居酒屋で「トリアエズナマ」と言いたくなってしまう作品だ。
出典:Amazon.co.jp
原作者は「住野よる」、作画は「桐原いづみ」が担当。「小説家になろう」に投稿した作品が、ライトノベル作家の目に留まり書籍化されたという経緯がある。今まで紹介してきたマンガ作品とは違い、「小説家になろう」でよく見られる「異世界」「転生」「ファンタジー」といった要素が一切ない、現代日本を舞台とした物語だ。高校生の「僕」は、病院で偶然、ある文庫本を拾う。「共病文庫」のタイトルが付けられたその本は、クラスメイトの「山内桜良」のものだった。興味本位で中身を覗いたことで、「僕」は彼女が膵臓を患い、余命もあまりないことを知る。身内以外で病気のことを知る唯一の人となった「僕」は、「桜良」が死ぬまでにやりたいことに付き合う羽目になるのだが……。この作品が魅力的なところは、性格が正反対の「僕」と「桜良」にあるのではないだろうか。友人や恋人など、人と関わりを持たず、人間関係が自己完結している「僕」。それから、病気のことを身内以外には一切口外せず、多くの友人たちに囲まれている天真爛漫な「桜良」。「共病文庫」の存在がなければ決して交流はなかっただろう2人が、「山内桜良の死ぬ前にやりたいこと」をやることで、それぞれに成長・心境の変化が現れるところは、この物語の目玉。原作でも面白かった2人のやり取りが綺麗な絵柄で再現されている。読了後、読者はきっと『君の膵臓をたべたい』の本当の意味を知ることだろう。
71 Pt.
244 Pt.
291 Pt.
232 Pt.
297 Pt.
230 Pt.
86 Pt.
234 Pt.
いいね!・フォローしてマンガ・アニメのニュースを受け取ろう!