とある女騎士が、持ち前の経理の知識で困窮する人々を救うべく奮闘する異世界会計冒険譚。人間が治める「人間国」と魔族が住む「魔国」との100年を越える戦争が続くとある異世界。主人公・シルヴィア・ワールシュタットは金欠の女騎士だ。金のため魔国での仕事(クエスト)に励んでいたが、失敗しオークに捕らえられてしまう。野蛮な彼らに辱めを受けることを危惧し死を覚悟したシルヴィアだったが、なんと「会社の経理のお姉さんになって欲しい」と懇願される。
図らずもオーク一族の経営する会社の経理担当となったシルヴィアは、簿記2級を取得するなど努力を重ねていた。しかし仕事にも慣れた頃、突如人間国から勇者が攻め入り、会社は壊滅的なダメージを受ける。失意の中人間国へ戻ったシルヴィアは、空腹のあまり倒れそうになったところを偶然通りかかった港街銀行の経営者・ロレンツォ・グリマルディに助けられる。ロレンツォに簿記経験を買われ銀行経営の再興を託されたシルヴィアは、同じく経理知識豊富なダークエルフのルカ・ファン・ローデンスタインと共に数々の経営難の人々を救っていく。本作は中世の架空世界を舞台にしているが、経理の専門用語が飛び交う特殊なストーリーが興味深い。経理を知るための入門書としてもオススメだ。
最強の女騎士と魔法使いの青年が織りなす、異世界いちゃいちゃラブコメディ。主人公・レオ・コルネリアは隻眼の女騎士だ。戦うために生まれ、魔物を倒すための道具として育てられてきた彼女は「無敗の聖剣」という異名を持つほどである。ある日レオは、魔法使いの青年・フーリー・デントに声をかけられる。剣の相手の申し込みと勘違いし、にべもなく断ろうとする彼女に、花束を抱えたフーリーは跪き愛の告白をする。しかし、レオが取った態度は意外なものであった。
今まで女扱いされたことのない過去を抱えていたレオは、騙されていると勘違いし冷酷に突き放そうとする。フーリーは大の「腹筋」マニアで、レオのシックスパックを愛でまくる姿にレオ自身、ドン引きだ。しかし、魔物との戦闘で傷ついたレオを自身の生命力を削りながら「回復魔法」で癒やそうとする彼に心打たれ、クエストのパーティを共にすることに。フーリーの妹・アンリ・デントやダークエルフの占い師・サリエラなど良き理解者に恵まれ、二人は徐々に距離を縮めていくのであった。戦うことを宿命づけられ女であることを許されなかったレオが、彼との出会いをきっかけに変わっていく姿が微笑ましい。若干変態チックなフーリーの腹筋愛も面白く、最後まで読みごたえたっぷりだ。
オーク族に捕らえられた「残念」な体型の女騎士が、元の姿に戻るべく奮闘する異世界ダイエット戦記。舞台は、人間と亜人族との諍いが絶えないとある異世界。主人公の女騎士は、一人でいたところをオーク族に捕らえられてしまう。オークに凶悪で下品・不潔な印象を抱いていた彼女は拷問を受けるものだと怯んでいたが、彼らは全くそんな素振りを見せない。なぜなら、女騎士は怠慢な生活が災いし髪はボサボサ、たるんだ体型の残念な容姿の持ち主であった。
女騎士はろくにクエストにも行かず食べ歩き、体重65kgのデブに。好きな食べ物はチョコケーキとプリン、運動が苦手と騎士としてどうしようもない。だが、オークの若頭はそんな彼女を見捨てず「立派な女騎士に育成してやるぜ!」と宣言する。当初は難色を示すが、かつて騎士団に所属していた際幼なじみの勇者に体型をなじられたことを思い出し、彼女は一念発起。「女騎士(仮)」、通称カッカリという不名誉なあだ名を付けられながらもダイエットに励む。しかし、若頭には彼女を育成する真の目的があった。本作は、女騎士がハードな訓練に弱音を吐きつつも、オーガ村のスローライフに少しずつ溶け込んでいくさまが牧歌的だ。若頭の意に反して、全く痩せない彼女がどう変貌を遂げるか最後まで目が離せない。
オークの漫画編集者と女騎士の漫画家がタッグを組み、漫画界に旋風を起こすべく奮闘するお仕事コメディ。主人公・イェルドは異世界に住む心優しきオークだった。しかし、オークは人里を狩り略奪する野蛮な種族であり、大好きな漫画を楽しむ暇もない。そんな世界に嫌気がさしたイェルドは、漫画編集者を目指し意を決して上京する。修業を経て1年後、いっぱしの編集者となった彼の元に、漫画家志望の女騎士・アンネリースが原稿を持ち込んでくる。
さっそくアンネリースが持参した原稿に目を通すイェルドだったが、内容は女騎士のイメージとは遠くかけ離れた古臭い胸キュンラブストーリーであった。そして、イェルドが原稿に対してダメ出しをする度に彼女の鎧はひび割れていき、とうとう全裸になってしまう。実は彼女はとんでもない豆腐メンタルの持ち主で、鎧の精神的ダメージへの耐久力を上回るストレスを受けるたびに壊れてしまうのであった。そんな彼女を見てイェルドは努力の大切さを説き、連載を目指すべくコンビを組むことを決意する。本作は、オークと女騎士という異色の組み合わせが漫画界の裏事情を暴露していくさまが痛快だ。事あるたびに全裸になり、女騎士お馴染みのセリフ「くっ……殺せ!!」を頻繁に呟くアンネリースの残念ぶりも面白い。
恋に不器用なこじらせ女騎士と新米少年騎士のピュアな恋模様を描いた、異世界年の差ラブコメディ。とある王都の治安維持を保つため、日夜勤務に励む近衛騎士団第四騎士分隊「ブラックホーク」。隊長のカレンは、29歳にして隊を統べるエリートだ。そんなブラックホークに、騎士学校を首席で卒業した16歳の新人騎士・ハルが配属される。実は、ハルは入団式の日にカレンに一目惚れをし、全員の前で愛の告白をするという大事件を起こしていた。
公開告白をしたハルに平手打ちを見舞うカレンだが、動揺から転倒したり鼻血を出したりと散々である。実はカレンは、男に負けまいと剣の修業に励むうちに、29歳にして男性経験もなく独身をこじらせていたのだ。意外な一面を見て、ハルはますます惹かれていき、猛アタックを繰り返しては彼女を翻弄していくのであった。本作では、知人の結婚式に一人で参列したくないと本気で凹んだり、お見合いの席でガチガチになったりとカレンの意外な乙女ぶりが炸裂だ。また、ハルは天然の人たらしで、騎士学校の同級生・マルベリ、元気が取り柄のメイビィ、王の一人娘・エルルカなど魅力的な女性に囲まれている。ライバルたちにふりまわされつつ、ピュアな年の差恋愛を育む二人が微笑ましい。