偶然発生した事故に遭遇した大学生の男女2人組が、あの世から出入り禁止と言われているという自称仙人の男に協力し、幽霊にまつわる様々な事件に巻き込まれていく現代オカルトファンタジー。大学3年生の真木と八重は、通行人の頭に空から降ってきた広辞苑が直撃するという現場に遭遇する。同じゼミの藤村が所持していたものだと気が付いた真木は、責任を感じ血まみれの男の介抱をしようとする。しかし男は、救急車を呼ぶことを拒否。大丈夫だと言い張り、けがをそのままに走って逃走するのだった。
道を歩いていて、偶然降ってきた広辞苑が頭部に直撃する確率はどのくらいだろうか。少なくとも、交通事故に遭う確率の方が格段に高そうである。天文学的な確率の不運に見舞われた男、百暗桃弓木(もぐらももゆき)は、やけにもっさりとした青年である。外見から浮世離れしている印象を受けるが、実はあの世から出入り禁止をくらっている自称仙人なのである。ツッコミどころ満載だが、関わるようになった真木と八重子は幽霊が見えるようになり、騒動に巻き込まれるようになった。現世に住み、行くことはできないが限りなくあの世に近い場所に立つ百暗は、曖昧な境目を根城に住むモグラであることは間違いない。
交番勤務の主人公が、暴力団の会長逮捕のために潜入捜査官として暴力団に入会し成り上がるため活躍していくアングラバトルコメディ。警視庁谷袋署の交番勤務をしている菊川玲二は揺るぎない正義感を持つ熱い男だが、まっすぐすぎるがゆえに行為が行き過ぎてしまうこともしばしば。ある日万引き事件の通報をしたコンビニ店主の悪行に気づき、拳銃を向けたことから呼び出されてしまう。署長から命じられたのは、懲戒免職処分及び犯罪組織への潜入捜査任務だった。2014年に実写映画化。
警察官を見たことがある人は多いだろう。警察署に行かなくとも、交通整理や何かで必ず見かけるものだ。ではヤクザはどうだろうか。社会の闇に生きる彼らも、一般人とは隔絶した世界に生きているわけではない。普通にコンビニやスーパー、公共交通機関も利用する。つまりは見かける機会はある。警察官とヤクザはある一点において共通点がある。強面という点だ。正直、並んだ時にどちらがどちらなのかわからない可能性もある。それだけ互いに迫力負けしたら終わり、という自負があるのかもしれない。玲二は強面ではないが、度胸は人一倍ある。本作でのモグラとは潜入捜査官のこと。裏社会という闇を、玲二が進んでいく。その姿はまさにモグラそのものだ。
六つ子の主人公たちが起こす様々な騒動に、幼馴染やクラスメイトの少女、近所の人たちが巻き込まれていく日常ギャグマンガ。松野家はおそ松、一松、カラ松、チョロ松、トド松、十四松の六つ子兄弟はそっくりで両親でも見分けがつかない。ある日おやつの場所を聞かれた母の松代だったが、用意したはずのおやつが不足してしまう。出かける必要があった両親は留守を兄弟に任せ家を出る。そこへ、怪しい2人組の男が現れるのだった。1966年テレビアニメ化他、メディアミクス多数。
六つ子を主人公としたギャグマンガである。六つ子たちはもちろんのこと、痩せた体型と出っ歯が特徴のイヤミや、丸い目と一本毛の二段頭が目を引くチビ太、パンツだけしかはいていないという強烈なインパクトのデカパンなど、とにかくキャラクターが濃い。動物的な特徴を持っているキャラも登場するが、そんな中にモグラもいる。その名もモグラ丸。六つ子のライバルとして登場するチビ太に忍者のハゲ丸が扮するというエピソードで登場するのだが、そのハゲ丸の相棒として登場するのがモグラ丸である。大きな黒メガネをつけた風貌がどことなくモグラのようである。そのほか様々な端役として登場するのだが、「~でゲす」という語尾が特徴的。モグラがごとき目立たなさではあるが、ぜひ画面の中で探してみてほしい。
印刷工場で働きながら絵の勉強をしている主人公が、極度の人見知りと自信のなさが原因で失恋したことをきっかけに、自分の殻を破ろうと奮闘する青春成長ドラマ。20歳の堂本は北海道の印刷工場で働きながら絵画教室に通い、勉強をしている。極度の人見知りで、勤め始めて2年が経過しても仕事仲間と馴染めないでいた。ある日繁は、同じ会社に勤めている憧れの女性、高久洋子から映画に誘われる。心が弾む繁だったが、揶揄われているのではと疑い始めてしまうのだった。
繁は極度の人見知りで自信がない男である。絵画教室の先生に賞への出品をすすめられても断り、誘ってくれたデートは行くと返事をしながらすっぽかしてしまった。繁は失恋をしてしまうのだが、芸術家にとって失恋は飛躍のきっかけともなる。感情が大きく揺さぶられるということなのだろう。繁も洋子への想いと決別するために絵に向き合い、やがて大作を完成させる。人と相対することができず、自分の世界に引きこもって布団の中を主な居住地としている繁は、暗闇の中を生きるモグラそのものだ。実際のモグラは光のある世界では生きられないが、繁は自身の殻を打ち破り飛躍することができるのか。泣きながらキャンバスに向かう姿に、変わりたいという強い意志を感じた。
5年連続の大飢饉で多くの死者が出る中、権力を我がものとする老中が国を支配する時代、南蛮の面をかぶった異色の剣士が、刺客と死闘を繰り広げながら蔓延る悪を切っていく、江戸剣客アクション。田沼意次が老中として江戸を支配している時代、世は大飢饉に見舞われ民衆は苦しんでいた。そんな中悪徳商人に天誅を下す「土竜」と呼ばれる剣士が、民衆の関心を集めていた。土竜の襲撃に怯える商人に護衛をつけた田沼は、土竜を名乗る人物を追い詰めるため捜索を続けるのだった。
田沼意次は江戸中期の人物である。9代将軍徳川家重に重用された後、10代家治の時に側用人(将軍の側近)となり後に老中となった。田沼時代は幕府の利益が重視される政策をとり多くの民衆の反感を買ったが、加えて天候に恵まれなかった。浅間山噴火も重なり、世は空前の大飢饉である。一揆が頻発するのも致し方ない。燻る民衆の不満をスカッとさせるのが、南蛮の面をかぶった謎の剣士、土竜である。悪徳商人に天誅を下す剣士の正体は質屋「銀屋」の土蔵に隠れ住み、ぐーたらと寝て過ごす栫蔵人(かこいくらんど)だった。実はやんごとない身分の蔵人は、自身の危険を顧みず世を変えるために刀を振るう。日のあるうちは隠れ住み、夜に紛れて動く姿はまさしくモグラである。繰り出すのは一撃必殺の剣だ。