こんな仕事が!? 特殊な職業漫画40 Pt.

世の中には実に様々な職業が存在する。一般にはあまり知られていない職業から、ポピュラーな職業の中の特殊な一面まで。特殊な職業を扱った漫画作品を紹介しよう。

本作で描かれる特殊な職業は、「潜入捜査官」だ。主人公・菊川玲二は、スケベな男だが、曲がったことは大嫌い。万引きした女子高校生に過剰な身体検査をしたコンビニ店長に、拳銃を向けたりと正義感により暴走する。しかしその際の店長を隠れ犯罪者と見抜いた洞察力、誰に遠慮することなくハッキリ物を言う心意気を「潜入捜査官の適正あり」と判断される。そして玲二は、谷袋警察署長・酒見路夫から、潜入捜査官になることを命じられる。潜入先は、日本一凶暴な暴力団・数寄矢会。潜入捜査官であることがバレれば命はない、危険な任務だ。しかし玲二は、持ち前の洞察力、ハッタリ、危機回避能力を活かして驚異的なスピードで出世を重ね、数寄矢会の幹部にまで駆け上がる。本作には個性的なキャラクターが多数登場する。なかでも玲二にとって暴力団での「兄貴」にあたる、クレイジーパピヨンこと日浦匡也の男気、人並外れた強さに注目だ。日浦匡也を主人公とした『土竜の唄外伝 狂蝶の舞』も連載されている。

本作で描かれる特殊な職業は、「ハッカー」だ。ハッカーとは本来、IT業界で最高峰の技術者に与えられる、名誉ある称号。米アップル社創業メンバーのひとり「ウォズの魔法使い」こと、スティーブ・ウォズニアックは、ハッカーの称号を得たひとりだ。本作の主人公・是枝一希も、「最高峰の技術者」という意味でのハッカーである。ただし、物語当初の是枝は、現在世間一般に浸透している悪い意味でのハッカー、いわゆる「クラッカー」と呼ばれる犯罪者だ。是枝は、金融機関への不正侵入をくり返し、世間を騒がせていた。是枝の並外れた技術に、エンジェル投資家・坂井大輔が興味を抱く。坂井は、自分が投資して起業した若きIT集団「ヘッジホッグ」の助けを借り、是枝の居場所を突きとめる。坂井に「俺はお前の手を使って世界征服がしたい」と言われた是枝は、やがて自らの知識と経験を活かし、IT犯罪に対処する仕事に携わることとなる。

本作で描かれる特殊な職業は、「プロゲーマー」だ。プロゲーマーとは、文字通りゲームプレイを職業にしている人々のこと。彼らの主な収入源は、大会で勝ち抜くことで得られる賞金、スポンサーとの契約料、動画配信サイトにプレイ動画をアップすることで得られるCM収入だ。ゲームをプレイすることを「eスポーツ」と呼ぶことが定着してきた昨今。海外では、優勝賞金が10万ドルを超える大会も多い。トッププレイヤーの年収は、数億円にも達する。ただし、「遊んで稼げる羨ましい仕事」などという、生やさしいものではない。トッププレイヤーは、日々たゆまぬ努力と研鑽を重ねている。本作では、トッププレイヤーたちの実像に鋭く迫り、ディープなプロゲーマーの世界を描き出している。

本作で描かれる特殊な職業は、「特殊清掃業」だ。特殊清掃業は、さまざまな悪臭が漂う中、汚物の除去・清掃や消毒、害虫駆除を行うキツイ仕事だ。幼少期に母が自殺し、心に大きな傷を負った主人公・春野太慈。彼は、色々な人間の人生を垣間見ることで心の傷を癒したいと考え、特殊清掃業に就いた。ある日、死体を切り刻み「END」の文字の形に並べる、猟奇連族殺人事件「END事件」が世間を騒がせる。春野は、その事件現場となった部屋の特殊清掃を担当。部屋からは、事件とは別の白骨死体が発見される。そして、過去にその部屋の特殊清掃を行った、春野が勤める会社の社長の関与が疑われる。END事件は、春野の家族や関係者を巻き込みつつ、一気に混迷を深めていく。本作の本質は、猟奇連族殺人事件の犯人は誰なのかに迫ることだけではない。犯罪者の家族や犯罪被害者の心や立場に分け入って、それぞれが迎える人生の重大な局面が克明に描き出されているのが魅力となる作品だ。

本作で描かれる特殊な職業は、「ムショ医」だ。「ムショ医」とは、刑務所で受刑者たちの治療を行う医師のこと。職業そのものが特別というより、勤務場所が特別な職業である。主人公・粂川晶は、大学病院で救急救命医として働くかたわら、週2～3回、女子刑務所の非常勤医師を務めることとなる。刑務所勤務を希望する医療関係者は少ない。それを補うため、刑務所では特別な制度を設けている。それは、模範的な受刑者が医師の仕事を補佐する、「看病婦」という制度だ。粂川は、一般的な病院とは異なる刑務所という現場で、戸惑うことも多い。だが、そんな彼女にとって心強い味方となるのが、看病婦・上野だ。かつて看護師として働いていた上野は手際が良く、仕事ぶりも真面目。しかし上野もまた、受刑者特有の闇を心に抱えていた。