兵役によって離れることになった韓日カップルを通して韓国のリアルを描くヒューマンドラマ。韓国では、国に生まれた全ての男子に兵役の義務が課せられている。ソウルに住む大学生・ハンも例外ではなく、多くの韓国人男性同様に軍に入ることが決まっていた。そんな彼には、さおりという日本人の恋人がいた。兵役の期間は2年。その間ほとんど外出は認められない。韓国人カップルですらほとんどが別れてしまうという大きな壁が、韓日カップルの前に立ちはだかる。
ハンとさおりは、仲睦まじい国際カップル。そんな2人が、韓国の兵役義務によって離れ離れになるところから物語は始まる。2年間、ハンとさおりはまともに会うことすらできない。韓国では、彼氏の兵役期間中に別れるカップルがほとんど。大抵が恋人を待ちきれなかった女性の浮気が原因で、破局率は99パーセントなのだという。韓国人カップルでさえ続かないという厳しい現実。意地の悪いハンの先輩は、国際カップルなら尚更続かず、別れる可能性は99.99パーセントだと言う。それほどまでに難しい兵役期間中の恋愛事情にももちろん注目だが、何よりの見所は兵役という制度のリアル。軟弱な青年・ハンを通して過酷な訓練の様子、兵役を課された男たちの複雑な胸中を知ることができる。
野球部を存続させるために奮闘する主人公と仲間たちの活躍を描いたスポ根ギャグ漫画。主人公は全力学園高等学校に通う少年・不屈闘志。彼は野球部のキャプテンを務めているのだが、ある日校長から呼び出され、野球部の廃部を告げられてしまう。不屈は校長に野球部の廃部を考え直してもらうため、甲子園で優勝することを宣言。その宣言が夢物語ではないことを示すため、まずは野球の強豪校である日の出商業野球部に10日以内に勝利すると告げる。2005年7月に実写映画化。
不屈はまず廃部回避のための第一歩として、日の出商業野球部を倒すことを目標に掲げ、部員たちと特訓を開始する。ところが、試合3日前に5人の部員たちが様々な理由で次々と脱落。野球は9人いなければ戦えないスポーツなのに、試合に出場可能なのは不屈を入れてたったの4人になってしまった。日の出商業野球部との試合は奇跡的に不戦勝となったものの、以降、不屈たち全力ナインには次々と困難な状況が襲いかかってくる。本作の魅力は、現実ではありえないほどの逆境を、不屈率いる全力ナインが根性で乗り越えていく姿にある。度の過ぎた逆境に真面目に向かい合う不屈たちの姿は馬鹿らしくもあるが、そんな状況下で生まれる熱い名言に、読者は心をつかまれるだろう。
一度野球から離れた高校球児と熱血少女の恋を描いた、青春ラブストーリー漫画。北村洸生(きたむらこうき)は東京の高校で野球部に所属していた天才ピッチャー。エースとして活躍していたが、甲子園の地方大会で敗北した責任をチームメイトになすりつけられたことがきっかけで退部。北海道・釧路にある父親の親友の家に引っ越し、野球から離れた生活を始めようとしていた。そんな彼の前に現れたのが、転校先の野球部に所属する少女・鹿山映未(かやまえみ)。その出会いをきっかけに、2人の恋が動き出す。
洸生が出会った少女・映未は野球部に所属している。しかし、現在野球部にいる部員はたった3人。最低でもあと6人いなければ試合はできない。映未は部員を集めようと言うが、部員たちにその気はない様子。このままでは野球部が廃部になってしまう。映未は1人で部員集めに奔走する。映未がそこまでする理由は、自分自身が野球が好きだからということもあるが、何よりずっと注目していた選手である洸生が再び野球をしたいと思ったとき、それができる場所を残しておきたかったから。映未の真っ直ぐな思いに心を打たれた洸生は、映未のために野球をすることを決意。新たな仲間たちとともに、甲子園出場を目指す。洸生の夢と恋の行方が気になる、爽やかな空気を纏った作品だ。
1人の少女がビリヤードの魅力に取り憑かれていく、スポーツ青春漫画。主人公の沢村未花(みか)は、学校が大好きな中学2年生の少女。彼女は進路調査書に書けるような将来の夢も目標もない、退屈な日々を過ごしていた。そんな未花はある日、不良だと噂されている無愛想なクラスメイトの少年・水上楓(かえで)がビリヤード店にいる姿を目撃。それをきっかけに店へと足を踏み入れた未花は楓が真剣にビリヤードに打ち込んでいることを知り、自身もビリヤードの虜になっていく。
高校生たちと派手に遊び歩いているという悪い噂があった楓。しかし実際は、ビリヤード店「7th Avenue」で年上たちに混じって真剣にビリヤードをしているだけだった。楓の姿を見てビリヤードに興味を抱いた未花は自分もやってみたいと楓にねだり、彼と「ナインボール」というゲームをすることになる。「ナインボール」は、手玉を使って1から9の球を順番に落としていき、9番を落としたほうが勝ちというゲーム。このゲームで未花は見事なブレイクを決め、9番のボールを落としてみせる。この出来事がきっかけで、未花は楓同様ビリヤードにのめり込むようになった。ビリヤードの魅力に触れながら、ビリヤードを通して変化していく未花と楓の関係性に注目してみよう。
9人の変わり者たちの運命が交錯し大事件に関わっていく様を描いた、ライトノベルのコミカライズ作品。主人公の我聞悠太は、吉祥寺で暮らす17歳の男子高校生。彼はオカルト板まとめブログ「超常科学キリキリバサラ」の管理人を務めており、ブログ運営だけで食べていける素敵なニート生活を目指している。そんな彼を含めた9人の日常が悠太のブログ「キリキリバサラ」を通してつながり始め、やがて悠太はとある大事件に巻き込まれていく。原作小説が2016年10月にテレビアニメ化された。
主人公の我聞悠太、霊媒の才能を持つ成沢稜歌、合理主義者の橋上サライ、予知能力を持つ相川実優羽、オカルト雑誌記者の澄風桐子、黒魔術代行業を営む紅ノ亞里亞、幽体離脱体質の日下部吉柳、成人向け同人作家の西園梨々花、オタク刑事の森塚駿。以上9名が、本作の主要登場人物だ。彼らの周囲で幽霊、都市伝説、黒魔術など様々なオカルトにまつわる事件やそれらに関係する小さな違和感が生じ、ブログ「キリキリバサラ」を通してつながっていくことで、後に大事件へと発展していく。本作の見所は、あちこちに張り巡らされた伏線の数々だ。キャラクター同士のちょっとしたやり取り、日常の些細な出来事が、実は重要なことだったのだと後に気づいたときの衝撃を堪能してほしい。