都市伝説、恐怖譚に取り憑かれた者同士の争いを描く、新感覚のオカルト・ファンタジー。主人公・遠野セイは、オカルト嫌いの少年だ。民俗学者の父はオカルトに傾倒して旅先で失踪。母親はそんな父に愛想を尽かし、セイが幼い頃に家を出ていた。ところが、そんな彼が暮らす街では、新たなオカルトブームが巻き起こっていた。やがてセイは、「テラー」と呼ばれる存在による争いに巻きこまれていく。
本作では、都市伝説で語られる「恐怖(テラー)の対象」と、その対象自身がパートナーと認めた人間の「語り部(テラー)」によるペアを「テラー」と呼んでいる。「恐怖の対象」は、「語り部」とペアになることで潜在能力を覚醒させる。遠野セイは、ふとしたきっかけから、有名な都市伝説で、「恐怖の対象」となっている口裂け女に好意を寄せられ、彼女の「語り部」となる。本作の口裂け女は、思い込みが激しいものの、寂しがり屋で大人しい美少女である。口の大きさも感情が昂ぶっていないときは、普通の人間と同じだ。ただし、彼女の容姿を貶す禁句を言われたり、気分を害されると性格が激変。刃物を手に暴れ回り、破壊の限りを尽くす凶暴な面を覗かせる。本作には「ヒサルキ」「邪眼」「くねくね」といった様々な都市伝説が「テラー」として登場。力を巡って争いを展開する。口裂け女とペアになったセイは、この争いの渦中に巻きこまれていく。
不条理、不可思議な事件に真っ向から勝負を挑む「都市伝説研究会」の活躍を描いたオカルト・コメディ。主人公・大島田満子は、霊能力はゼロだが、都市伝説や霊に関する知識は豊富な女子高生である。彼女は、霊視能力を持つ人面犬と、人外のカラス女のサポートを受けて、都市伝説と呼ばれる奇怪な存在や現象に、果敢に立ち向かっていく。
現代社会に溢れる噂の裏側に潜む都市伝説。それは霊的なものから、人災、偶然の産物まで実に様々。これらの都市伝説を解き明かし、人々の心に平安を取り戻すことが、代々木第4高等学校「都市伝説研究会」の目的だ。所属メンバーは、主人公で会長代理の大島田満子と、人面犬で会長の滝川信悟、そしてカラス女の少女・井黒巴。満子以外の2人(?)は都市伝説そのものという、ツッコミ所ありありの組織である。しかも、滝川信悟は人面犬のクセに妖怪や幽霊の類が大の苦手。主に除霊を担当する満子は霊能力ゼロ。そもそも、綺麗なお題目を並べているが、研究会の真の目的は金稼ぎ。色々と問題だらけの「都市伝説研究会」だが、バイタリティ溢れる満子を中心に、彼女たちは次々と都市伝説案件を解決していく。かなり型破りな都市伝説コミックだ。
都市伝説に取り憑かれた人々を救済する「寓話探偵」の活躍を描いた、オカルト・ミステリー。主人公・亜想大介は、亜想探偵事務所を運営する元刑事の探偵だ。浮気調査や逃げたペットの捜索といった普通の探偵業も行うが、彼にはもうひとつの顔がある。それは、都市伝説(寓話)に取り憑かれた人々の悩みを解決する「寓話探偵」だ。大介は、寓話に干渉する特別な能力を武器に、様々な怪事件に挑んでいく。
本作では、都市伝説を寓話と称する。寓話は「本当にあるかも知れない」と、信じてしまうと、現実となって襲い来る。つまり「寓話憑き」の状態になると、現実には存在しないはずの「ベッドの下の男」や、「口裂け女」が実体化してしまうのだ。自分自身が寓話に憑かれやすい体質である大介は、2つの寓話に憑かれている。1つは「トイレの花子さん」。そしてもう1つは、「100回続けてシャックリをすると死ぬ」という寓話だ。他人と異なり、大介にとって「寓話憑き」であることは悪いことばかりではない。大介は寓話の気配が近づくとシャックリが始まるため、死の危険があるものの、シャックリは探知機代わり。また、本作の花子さんは、機械いじりが得意でパソコンのプログラミングにも精通する。大介にとっては、有能なパートナーといえる存在だ。そんな花子さんと共に、大介は数々の都市伝説に絡む事件を解決していく。
週刊少年マガジンの編集部員たちが、超常現象や怪事件、都市伝説を調査していく様子を描いた、ドキュメンタリーテイストのオカルト・サスペンス。キバヤシをリーダーとするマガジンミステリー調査班(MMR)は、UFOや超能力といった、超常現象を科学的に調査する特別班。様々な調査を重ねるうち、やがて彼らは人類滅亡を予言したノストラダムスの謎に深く関わっていくこととなる。
本作で取り上げられる都市伝説は、UFO、超能力、心霊現象といったオカルト系の題材から、難病の原因物質や生命を模したコンピュータプログラム、人工生命等の科学分野まで多岐にわたる。主人公・キバヤシを始めとするMMRのメンバーは、それぞれ実在の編集者がモデルとなっている。また、清田益章や宜保愛子のような実在の人物も登場。当時の社会現象、事件なども物語の中で扱っているが、本作はあくまでも「現実を元にしたフィクション」である。敢えて何処までが事実か、どこからがフィクションかを曖昧に物語を構成することで読者の興味を煽り、サスペンスフルな展開を盛り上げている。本作が執筆されていた1990年代には、人類滅亡について書かれた「ノストラダムスの大予言」が話題となっていたこともあり、これらの多様な切り口から、謎の秘密結社や隠謀論、終末預言といった、大がかりな結論に結びつけるのが本作の特徴的なパターンとなっている。
女子高校生の主人公・八尋寧々が、かもめ学園に住む怪異である花子くんとともに、怪異にまつわる事件を解決していく。レトロホラー要素を含むハートフル・コメディ。有名な都市伝説であり、学園七不思議の1つ「トイレの花子さん」。その花子に恋愛成就を願った寧々は、思いもよらない流れから、花子のパートナーとなる。
「トイレの花子さん」は、もっともメジャーな都市伝説の1つだ。しかし、本作の「花子」はひと味違う。「花子さんは、大切なものと引き替えに、呼び出した人の願いを叶えてくれる」。そんな噂を聞いた寧々は、旧校舎3階の女子トイレ、奥から3番目の個室で「花子さん」を呼び出す。ところが、現れたのはレトロな学帽と学生服を纏った少年だった。予想外の事態に驚愕しつつも、寧々はその少年・花子くんに対し、想いを寄せる学園の王子様・源先輩との恋愛成就を願い出る。しかし、花子くんのアドバイスに従ってのアプローチはことごとく不発。だが、アプローチを続けるうち、彼女は自分でも意識していなかった本当の願いに気付く。やがて寧々は、紆余曲折の結果、花子くんの助手となる。花子くんの目的は、学園に存在する怪異を見張り、人と怪異の関係を正しく保つこと。かくして寧々は、花子くんと共に様々な怪異に対応していくこととなる。