インターネットで話題となっている怪談に夢中になった主人公が廃墟を探索中に異世界への「扉」に遭遇し、そこから「裏世界」の存在を発見したことで様々な超常現象に巻き込まれていくダークファンタジー。高校時代から廃墟フリークだった紙越空魚(かみこしそらを)は、ネット上で心霊スポットとして有名な廃墟を訪れて調査しているうちに、古ぼけたドアを見つける。ところが、その扉の先に続いていたのは果てしなく広がる草原だった。
興奮した空魚はその場所を「裏側」と名付けた。そして3度目の探検に踏み込んだその日、そこで「くねくね」という化物に遭遇して動けなくなってしまう。身を異様にくねらせ踊っているように見える化物のくねくねは、2003年頃からネット上で話題となっており、出くわすと狂気に苛まれると語られていた。身体が動かないまま湿地の水の中に倒れてしまい、首を上げていなければ溺れてしまう絶体絶命状態の空魚。死を覚悟した空魚だったが、岩塩の塊を投げつけてくねくねを撃退してくれた仁科鳥子(にしなとりこ)と名乗る金髪の美女に命を救われる。空魚が見つけた扉から元の世界に戻った二人だったが、以後その扉から向こうの世界には行けなくなってしまう。しかし1週間後、鳥子から裏の世界に一緒に行ってほしいと頼まれた空魚は、鳥子と共に再び異世界への扉を開く。
「アナザー」と呼ばれる常人には認識出来ない人ならざる存在に対応する役所の特殊な部署を舞台に、何も知らぬままにそこに配属された新人公務員の活躍と奮闘を描いたオカルトファンタジー系ヒューマンドラマ。新宿区役所内の夜間地域交流課に勤務することになった新人公務員の宮古新(みやこあらた)。しかしながらこの課は「様々な分野及び立場の人達と世代を越えて交流企画推進する課」とは建前で、実はオカルト現象が原因のトラブルを解決することが本当の仕事だった。2019年テレビアニメ化。
夜間地域交流課のリーダーである榊京一から「お前さ、妖怪や天使や悪魔とかって視たことある?」と尋ねられた新だったが、どうしてそんなことを聞かれるのか全く理解できない。現場でいろいろ理解させる「通過儀礼」が必要と京一から判断された新は同じ部署の姫塚セオと男3人で真夜中の新宿御苑に出向く。そこで新は人ならざる存在「アナザー」に接し、それらとのいざこざに際して仲裁に入ると、それら全てが自分に異様な目を向けていることに気が付く。新本人は分かっていなかったが、新には「アナザー」の言葉を理解することが出来る「砂の耳」という特殊能力が備わっていたのだ。アナザーの言葉を理解する能力が在るが、優しい性格ゆえにアナザー同士の紛争に巻き込まれていく新。テレビアニメ化をきっかけに、話題沸騰となった人気作品。
首都圏に在る「みどり書店」を舞台に、小説家志望の女性と友人の少年が町に起こる怪異の謎に挑むエロティック系ミステリー怪異奇譚。15歳の時に書いた怪奇譚小説が新人賞を取ってデビューした緒川菫子(おがわすみれこ)。しかし、栄光は過去のものとなり、今は「普通」の人になってしまっていた。プロにはなれず、夢を捨てきれない菫子は書店で働くことで心の平静を保っていた。28歳の誕生日を迎える菫子は、同僚の大仁志から店に勝手に置いて行かれた出所不明の一冊の本を渡される。
夜中、その本に書かれている歌を詠んだ菫子はコンビニに買い物に行く。店内で突然、身体の変調を感じた菫子は眩暈を感じてへたり込むが、次の瞬間、菫子の身体は何と子供になっていた。翌日、菫子は書店を無断欠勤。大仁志から理由を聞かれた友人の少年・化野蓮(あだしのれん)は適当にごまかすが、実は連絡をとっていた。けれど、彼女は子供になったことで以前のように小説のアイデアが湯水のように湧いてきて執筆に熱中してしまい、化野は「邪魔をしないでくれ」と一蹴されてしまっていた。そして、それっきり菫子は姿をくらます。ネット上のオカルトファンの心をがっちりと捕らえており「読むとゾクッとする」といった感想が多く寄せられている。また、「読者の性癖を探る感が好き」など、作者が描くエロティックで魅力的な女性も評判で、先の読めないストーリー展開にも目が離せない。
創立60年の私立学園を舞台に、校舎内で語り継がれている七不思議の怪談や学園内で頻繁に発生する怪奇現象の謎を解明しようとする生徒たちと幽霊の少女の活躍を描いた学園ホラー系ラブコメディ。中高一貫の私立誠教学園は多くの増築に伴って中高の校舎が絡み合い、迷路のように入り組んだ建築物と化していた。旧校舎の1階で迷ってしまった中等部1年生の新谷貞一(にいやていいち)は、大きな鏡の前で切れ長の目をした色白で長い黒髪の美少女に出会う。2012年テレビアニメ化。
「わたしが出口まで案内してあげる」言われるままに女生徒について行った貞一だったが、「そもそも、どうしてこの人はあんな所にいたのだろう」と疑問を抱き、学園の七不思議である「旧校舎の幽霊」の話を思い出す。すると、その女生徒は「だって、わたしは旧校舎の幽霊だもの」と貞一に告げる。実は学園の七不思議は全てその女生徒が関わっていたものだった。庚夕子(かのえゆうこ)と名乗った女生徒は、自分の姿を見たり触ったりすることが出来る貞一に会えたことを喜び、その後も貞一の前に姿を現す。「自分が死んだときのことを覚えていない」と言う夕子のために貞一は、夕子が立ち上げた「怪異調査部」の活動を始め、彼女にまつわる謎や記憶を失った経緯について調べ始める。
「週刊少年マガジン」の実在の編集部員5人から成るマガジンミステリー調査班(MMR)のメンバーが、UFOや超能力をはじめとする様々な超常現象を科学的側面から解明していくミステリー系ノンフィクション風サスペンス。週刊少年マガジンの編集部が募集したUFO体験談に全国の読者から多くの手紙が送られてきた。編集長の五十嵐はその中の一通に興味を示し、編集者のキバヤシとコイブチに取材をしてくるように命じる。1996年テレビドラマ化。
その体験談の内容とは「夕方の5時ごろ、塾からの帰り道で山の上にオレンジ色の物体が飛んでいるのに気づいた。山の間に隠れてしまったその物体を探しに翌日その山に登ってみると、そこにUFOが着陸したような円型の跡があった」というもので、送り主は北海道に住む中学1年生の少年だった。キバヤシはこの体験談に非常に興味津々だったが、コイブチは全く信じていなかった。キバヤシ、コイブチ、天文学者助手のカジワラの3人は少年の言う山に登り、UFO着陸の跡と言われる環状痕を発見する。次の日、3人は山のふもとにある古い神社の神主から昔から伝わる「神隠し」の言い伝えを聞くのだが、これがまさか、現実の話になるとは……。この作品は事実を元にしたフィクションである。信じるか、信じないかは読者の自由。真実は……神のみぞ、知る。