「世間の大人どもが本当のことを言わないならオレが言ってやるっ…! 金は命より重い…! そこの認識をごまかす輩は生涯 地を這う…!!」主人公カイジの宿敵・日本最大のコンツェルン帝愛グループの最高幹部、利根川幸雄の台詞。負債を抱え、命がけの見世物ギャンブルに挑戦する人々に対する説教の中でも、最もインパクトがあるのがこのくだりでしょう。福田元首相の「命は地球より重い」という発言を前提にしての台詞ですが、この異様な説得力は多くの読者の心を摑みました。人間は生きているだけでコストが発生する生き物。そしてそのコストと生涯生産を比べたとき、コストが勝っていたら…? そう考えるとこの台詞の説得力もますます増してくるような、そんな気分になったらもうあなたは利根川の術中にあると言っても過言ではないでしょう。
「とおし とおし 大どおし 一発 ツモッ」「わー本当だったらリーチ一発ツモメンホン白ドラ一で倍満だぜ」「これがハネ満にしかならねえのか! ついてねえ完全についてねえ」セオリー無視の一発屋、織田信太郎の台詞。麻雀をやったことが一度でもある人ならば、このむちゃくちゃ加減がよくわかることでしょう。一発ツモなんか狙ってできるものではありません。それでもリーチをかけたら「とおしとおし大どおし!」と気迫をこめて唱えてみるのも一興です。ただ、フリー雀荘でやるとマナー違反ですので、身内でのセットの時にやりましょう。
「たとえばおまえらがその昔…幼き頃…捨てられて凍えてる仔犬を助けた事があるとしよう…」「でも死ね」ストリートファイト四天王にして凄腕ゴーストライター、坂本ジュリエッタの台詞。傍若無人、わが道を行く最強のロマンチストといった性格のジュリエッタの、なんとこれは態度の悪い女子高生を蹴り飛ばしたときの台詞。女子供にも平等に容赦せずという彼の性格をよく現したシーンですが、このあと主人公・摩季に惚れ込んで彼の運命は大幅に変わることになります。(性格はさほど変わりません)
「核が怖くて、極道がやってけるかぁ~!!」日本最強の武闘派極道、岩鬼組の御曹司岩鬼将造の台詞。殺戮と破壊を何よりも愛する将造は、父の仇であり世界を牛耳ろうとするデス・ドロップ・マフィアとの抗争の中で左腕と右足を失うが、日本政府によって勝手に左腕を機関銃、右足をロケットランチャーに改造されてしまいます。異形の体となってしまった将造の感想は「よくもこんなスバラシイ身体にしてくれたのう! 最高じゃあ!」なのでした。そんな彼が体内に核爆弾の起爆装置を持った敵との戦いで放った一言が上記の台詞なのでした。「核」と「極道」が同一線上に並ぶのは、漫画界広しと言ってもこの作品だけでしょう。