破天荒な保健医の香椎(かしい)あやめをはじめ、個性的な教師と生徒たちが繰り広げる学園コメディ漫画。日本のどこかにある私立聖九洲学園を舞台に、一見普通だがどこか変な人々が、おかしな学園生活を過ごす姿をコミカルに描いている。
私立聖九洲学園(通称・センキュー)の保健医である香椎あやめは、生徒たちから「香椎ちゃん」と呼ばれるスタイル抜群の美女だ。しかし、教師であるにもかかわらず、髪を金髪に染め、小言を言われたら「外国人とのハーフだ」と言い張るふてぶてしい性格。しかも、お金にがめつく美少年が大好き。保健委員の「佐々木ちゃん」へ仕事を押しつけたり、セクハラまがいの悪ふざけをしてはハリセンで制裁を受けているが、2人の仲はとても良い。やりたい放題の問題教師ではあるものの、からっとした性格で男女ともに生徒からの人気は高い。個性的な生徒相手にツッコミ役に回ることもあり、彼女の奔放な学園ライフには笑いがあふれている。
産休の養護教諭の代理として赴任した牧野は無愛想ながらも、子供たちの様子を見守っていく医療漫画。口が悪く、格好もだらしがないが、小児科の専門医である牧野が成長期の子供たちの繊細な心と体を、温かく見守っていく。子供の病気や医療についてもわかりやすく解説がされている。
小学生の子供たちは、心も体も非常に繊細だ。些細な言葉で傷つくし、ちょっとしたことでも体調不良の原因になる。牧野は、そんな子供たちのことをよく理解している。子供たちにとって「ちょっと怖いけど、自分のことをしっかり見てくれる先生」だ。授業中に居眠りが多いとか、好奇心に任せて山の中で遊んで虫に噛まれる、家庭環境の悪化で精神的に追い詰められた等々、子供たちの数だけ問題がある。牧野は仏頂面ながらも、決して「みんな同じだろう」とは扱わず、「ひとりの患者」として向き合う。その姿は自分の体調すら把握できない子供にとって、間違いなく「頼もしい味方」だ。保健室を子供たちにとっての「最後の砦」として描いている作品だ。
全国でも少ない「男性の養護教諭」として子鴨小学校に赴任した保坂健輔(ほさかたかすけ)が、子供たちの心身を見守る姿を描いた医療漫画。男性の保健医ということで様々な壁に当たりながらも、子供たちのために奮闘する若い教師の姿を描いている。
現実では男性の「保健の先生」の数はまだ少ない。2017年8月の国の調査では、全国の約4万人の養護教諭と助教諭(つまり保健の先生)の中で、男性はわずか65人。保坂はその66人目という設定だ。特に思春期の女の子にとっては、大人の男性に「怖さ」を感じることもある。保坂も目つきの鋭さもあって度々ネガティブな印象を抱かれ、保護者や他の教師から不安視する声も上がるが、保健医としての職務を臆することなくこなす。偏見に遭遇して凹む人間臭さを見せながらも、理解者を徐々に獲得し子供たちを見守っていく「保健の先生」の奮闘が描かれている。
端元中学校に赴任した「単眼」の養護教諭の真中一美(まなかひとみ)が、生徒たちの悩みを見守っていくファンタジー漫画。二次性徴によって人々が妖怪のような成長をする世界を舞台に、誇張されながらも思春期の繊細な子供たちの心と体を見守る保健の先生の奮闘が描かれている。
一美先生は妖怪「一つ目小僧」のような大きな「単眼」を持った先生だ。この世界では二次性徴によって、人々が妖怪のように誇張された個性を獲得する。「あかなめ」のように舌が長かったり、体が透明になったり、男性なのに女性のような乳房を持ったり。それが当たり前で、大人になれば大半の人がそれを受け入れてしまう世界だ。しかし、怖がられることこそないが、思春期の子供たちはそれを特に気にしてしまう。そんな子供たちに「その個性を受け入れていく」ことを諭していくのが、本作の趣旨だ。下ネタに近いギャグも多く、コメディタッチで一見してイロモノのように思える作風だが、その実「君が気にしている体は欠点じゃない」というメッセージが一貫してこめられている。
小中高一貫の超マンモス校・燕舞台(えんぶたい)学園を舞台に、個性的な養護教諭たちが繰り広げるドタバタコメディ漫画。超マンモス校であるが故、12もの保健室が存在する学校で、理想の「青春」を追い求める南園若葉が普通の保健医たらんと奮闘する。
本作には数多くの変わった保健の先生が登場する。生徒数が4000人のマンモス校のため、保健室が12もあるのだが、担当している保健医はいずれもあまりに個性的。SMの女王のようなボンテージ姿だったり、いつも競泳水着の上から白衣を羽織っていたりと、とても保健医には見えない。この学校では保健室は生徒の人気によって、ランキングがなされていた。彼女たちは、保健室のランキングを競っているのだ。そのぶっ飛びぶりに若葉は、「保健室は生徒のためにある、ランキングのためじゃない」と激昂するが、だらしなく部屋も用意してもらえない13番目の保健医の早乙女椿に「生徒が行かない保健室には意味がない」と一刀両断される。若葉は混乱しながらも、自分にとっての保健の先生とは何かを体当たりで探っていく。