マジック好きの高校生が、父の死の謎を追うため大泥棒に扮して活躍するアクション漫画。主人公・黒羽快斗は、8年前に事故死した世界的マジシャンの父・黒羽盗一が、世間を騒がせた大泥棒・怪盗キッドだったことを知る。さらに、父の死が何者かによる殺人だったことをつかみ、謎を追うため二代目怪盗キッドとなる。『名探偵コナン』で知られる青山剛昌の初連載作品で、怪盗キッドは同作にも登場する。2014年には「まじっく快斗1412」のタイトルでテレビアニメ化された。
主人公・快斗の表の顔は、手品が得意な高校生だ。ヤンチャな元気者で、クラスメイトの前でマジックを披露したりするなど、お気楽な高校生ライフを送っている。しかし、自宅にあった隠し部屋を見つけたことから、父が大泥棒・怪盗キッドだったことを知る。さらに、父の付き人・寺井黄之助から父の死の謎を教えられ、真相解明のため自分も大泥棒・怪盗キッドという裏の顔を持つことを決意する。白のシルクハットにタキシード、マントに片眼鏡という衣装を身にまとい、父譲りのマジックの技で警察をも翻弄。普段はやんちゃな快斗だが、いざ怪盗キッドになると一変する。父の教え「ポーカーフェイスを忘れるな」を信条に、クールでキザな怪盗として華麗な活躍を見せる。
昼は下着メーカーの平社員、夜は暴力団の総長という2つの顔を持つ男を描いたヤクザ漫画。主人公・近藤静也は、弱小下着メーカー「プリティ」の冴えないデザイナー。しかし実は、関東最大のヤクザとして知られる、新鮮組二代目総長・近藤勇足の息子だった。堅気の暮らしを望んでサラリーマンをしていたが、父が抗争で急死。三代目を継ぐことになり、ヤクザとサラリーマンの二足の草鞋をはく生活が始まる。全108巻からなる長寿の人気作品で、ドラマ化や実写映画化もされた。
静也は、小柄で小太りに加えて童顔という人畜無害な風貌をしている。そんな彼の裏の顔がヤクザだと思う人はまずいないだろう。下着メーカーのサラリーマンとしてパンティのデザインをし、争いを好まず、無駄に血を流すことを嫌う。そんな彼を見て、「静かなるドン」と揶揄する組員もいるほどだ。しかし、幼い頃から武芸や射撃などを叩きこまれ、ヤクザとしての英才教育を受けてきた静也は、本当はとんでもなく強い。その上、極道としての血が目覚めた時には、誰よりも冷酷になるのだから驚かされる。昼間はスーツ姿だが、総長の役目を果たす時は、白いスーツに黒いシャツ、サングラスを身に着け、威圧感たっぷりな主人公の表と裏の顔の落差が存分に楽しめる作品だ。
謎の女怪盗団「キャッツ・アイ」と、彼女たちを追う刑事の姿を描くアクション×ラブストーリー。キャッツ・アイは、予告状を送りつけ、ミケール・ハインツというドイツ人画家の作品や遺物ばかりを奪い去っている。刑事・内海俊夫(うつみとしお)は、彼女たちの逮捕に失敗してばかり。恋人の来生瞳(きすぎひとみ)は落ち込む俊夫を励ますが、彼女と姉・泪(るい)、妹・愛(あい)の来生三姉妹こそがキャッツ・アイの正体だった。ラジオドラマ、テレビアニメ、実写映画化と幅広くメディア展開された。
キャッツ・アイは、予告現場にレオタード姿で現れ、狙った美術品を鮮やかな手口で奪い去って行く。来生三姉妹が裏の顔を持つ理由、それは、彼女たちの父が画家のミケール・ハインツで、父の作品を取り戻すために怪盗となった。普段の彼女は、泪や愛と共に、俊夫の勤務する犬鳴署のほど近くで喫茶店「キャッツ・アイ」を営んでいる。キャッツ・アイを取り逃がして雪辱に燃える俊夫を、その張本人である瞳が励ますという設定も本作の面白さの一つだ。表の顔と裏の顔を鮮やかに行き来する姿に多くの読者が心を奪われた。
池袋を舞台にカラーギャングの抗争を描く群像劇。竜ヶ峰帝人(りゅうがみねみかど)は、非日常に憧れを抱き、友人・紀田正臣(きだまさおみ)の誘いで上京。池袋にある私立来良学園に入学した。初めての池袋で、都市伝説「首なしライダー」を目撃したことが、望んでいた非日常的な世界の幕開けとなる。成田良悟による同名のライトノベルをコミカライズした作品で、アニメ化やゲーム化もされている。
本作における表と裏は、「日常」と「非日常」と言い換えることができる。主人公・帝人は、ごく普通の高校1年生。「こんな普通な僕にも地元を出れば非日常が訪れるかもしれない」と、親の反対を押し切って上京したが、池袋では、彼の想像を超える非日常が待っていた。最初に出会ったのは、池袋の生ける都市伝説「首なしライダー」ことセルティ・ストゥルルソン。その正体は、人外の妖精「デュラハン」だ。帝人は、この出会いをきっかけに、カラーギャング「ダラーズ」の一員として非日常的世界へ足を踏み入れる。規格外な人物たちとの出会いを重ねる内、次第にアンダーグラウンドな裏の顔を持つようになっていく。ネット上で繰り広げられるメールやチャットのやりとりが、登場人物の人物像を掘り下げることに一役買っている設定も面白い。
喫茶店「night」に集う常連客たちが窃盗を成し遂げる一話完結の怪盗もの。長野の田舎から上京した「風(ぷー)」こと田中風太郎は、裏の世界では名の知れた泥棒だ。足を洗い、田舎に引っ込んでいたが、昔の仕事仲間だった故買屋・平井平吉の下に転がりこんだことで裏稼業に復帰する。表向きは喫茶店のマスターである平吉が営む「night」の常連客は、実は手練れの犯罪者たちばかり。それぞれの得意分野を生かし、チームを組んで盗みに挑む。
主人公・風太郎は、一見すると生活能力のないダメ男。喫茶店「night」のウエイトレス・遠藤由里が、何もない部屋でごみに囲まれて寝起きする彼を見かねて、家具や身の回りの品を買いそろえるなど世話を焼いている。しかし、その正体は、裏の世界では名を知られたやり手の泥棒。手先の器用さを生かしてスリを専門としており、頭の回転も速く行動力も抜群だ。そして、「night」の常連客で組んだ窃盗チームのリーダー的存在となっていく。「night」の常連客たちも、美人局やハッキング、金庫破りといった裏の顔をもっているため、大仕事の前には、何の変哲もない平凡な喫茶店がアジトに早変わり。犯罪のプロフェッショナルとしての裏の顔が現れる。