あの高橋留美子も太鼓判を推すという本作は、中高一貫女子高校の2年3組を舞台に展開する。
この物語はこの狭い社会をリアルに切り取っている。学校という社会しか知らない少女たち。
やがて卒業と共に大海を知る事になるのだが、彼女たちにとっては、クラスが社会そのものなのだ。
私はこの女より上 でもこの女よりは下
学校生活においてそれは死ぬほどどうでもよくて
でも死ぬほど重要なこと
この言葉から始まる『17歳の塔』。まさにこの言葉がこの物語の全てを凝縮している。
クラスを支配するヒエラルキー。それを「塔」という形で描いている。
主役は17歳という思春期真っ只中の少女たち。
舞台は学校のクラスという、閉ざされた狭い社会。そんな中で必死に生きている彼女たちの日常をオムニバス形式で描く物語だ。
講談社ハツキスにて好評連載中、コミックは現在第1巻まで発売中。
物語はそんな塔の頂上に立つ高瀬理亜(たかせりあ)から始まる。
美人で学校内でもひときわ目立つ存在の彼女。自分が好きで、自分が一番、自分より不細工な人間は全部見下している彼女は、いつも自分を取り巻く仲間たちとグループを作っていた。
そんなある日、理亜のグループに冴えない小田嶋美優(おだじまみう)が近寄ってくる。
進級して2年3組になった時に同じクラスになった小田嶋は、憧れだった理亜と友達になりたくて近づいてきたのだ。
自分を慕ってくる彼女を都合の良い駒として気に入る理亜だが、小田嶋はだんだん理亜の誘いを断るようになっていく。気に入らない理亜は立場を利用して小田嶋を除け者扱いにしようとしたのだが、そこには大きな罠が待ち構えていた。そう、築き上げてきた「塔」を崩壊させるための罠だったのだ。
クラスメートにも焦点が
2年3組には36人の女生徒が所属している。彼女たち一人一人にも焦点を当て物語は進んでいく。
それぞれが自分の方法で、自分の居場所を作りあげていく。塔の頂上を目指すもの、はなから塔を無視するもの。
自分の居場所を作り守るということは、生存をかけた戦いとも言えるのだろう。
女性なら、この感覚が分かるのではないだろうか。
なぜなら、この塔は、実社会でも無意識下で築き上げられているからだ。
少女たちのリアルな感情描写は、読み進めることで辛い体験、心温まる追体験をすることができる作品だ。
男性は、そんな女性たちを恐いと思うのだろうか。読んだ感想を聞いてみたい。