超能力を持つ火星人のヒロイン・星(セイ)と、彼女を愛した異星人・エルグが担う火星と火星人の行く末を巡る物語。地球から惑星への移民が進んだ未来。しかし火星では胎児が全て死亡してしまう現象が起き、移民先から除外された。だが、火星では超能力を持つ人類として密かに生息。セイも自分が火星人であることを知らずに、地球で暮らしていた。第11回星雲賞コミック部門受賞。
少女漫画界の巨匠・萩尾望都のSF作品。不良少女のセイはある日、謎の青年・エルグと出会う。エルグは特殊な力を持つ異星人であった。やがてセイは自分が火星人の末裔であることを知る。火星はかつて地球からの移民が失敗し、犯罪者の流刑地になった星。その後、囚人が死に絶え無人になったと思われていたが、密かに生き延びていた人々がいた。彼らは決まった場所でしか子を産むことが出来ないが、過酷な環境で産まれた子どもは超能力を有していた。だが再び移民を計画して来訪した地球側と戦争になってしまう。五世代目の火星人として産まれたばかりのセイは、運よく養父・徳永博士に拾われ地球人として育てられた。やがてセイはエルグと共に火星へ赴き、火星と火星人の未来を担うことになる。
未来の地球を舞台にした、宇宙と生命の神秘的な謎に迫るSF作品。流星群の災害から五年後の西暦2505年、地球ではとある異変が起きていた。南極に突如、驚異的なスピードで増殖する植物群が現れたのだ。若き天才科学者イオ・フレミングはその調査に南極へ。彼を待ち受けていたのは謎の少女・ディエンヌだった。第12回星雲賞コミック部門受賞作品。
主人公のイオは固定観念に捕らわれない想像力を持つ科学者だ。イオは南極に驚異的なスピードで起きた変化を、常識ではありえない植物の群生だと見抜く。調査に赴いた先で出会ったのは、流星群の被害から生き残った少女・ディエンヌだった。ディエンヌは死を覚悟していたが、心を持つ植物「ジュマ」によって飢えや寒さから護られ、生き延びていた。彼女を護るためにジュマは驚異的なスピードで増殖したが、それによって南極の氷が溶けだし、地上に水没の危機が迫った。イオはディエンヌを救いながらも、ジュマを消滅させようと計画するのだった。物語はイオの本当の姿と、ジュマに関わったディエンヌに焦点が当てられ、異次元への進化を描いた続編『伝説-未来形-』に続いていく。
人間と、地球への望郷の思いを持ち帰還を目指す、超能力を持つ新人類「ミュウ」との戦いを描いたSF作品。。人類がコンピューター管理の元、移民惑星で生活する世界。14歳になるジョミーはまもなく成人検査を受けることに。しかし彼は人類から排除される対象「ミュウ」であった。第9回星雲賞コミック部門、第25回小学館漫画賞少年少女部門受賞作。1980年アニメ映画化、2007年TVアニメ化。
本作に登場する人類は、深刻な環境汚染から地球を浄化するために他惑星へ移民している。人々はコンピューターの管理の元、理想的な市民として育成されていた。そのような中「ミュウ」と呼ばれる超能力を持つ新人類が生まれ始める。ミュウは市民に相応しくないと排除されてきたが、密かにミュウたちは指導者ソルジャー・ブルーの元で結束し、地球への帰還を夢見ていた。また、ミュウたちは超能力と引き換えに身体に何らかの障害を持つ者がほとんどだった。だが主人公のジョミーは完全な健康体であった。ソルジャー・ブルーは自分の後継者としてジョミーを導き、人類の故郷である地球への帰還を願う。そんな彼らの前に人類側のエリート「無垢なる者」キースが立ちはだかるのだった。
夢の世界「R-ドリーム」の中で繰り広げられる非情な戦いを描いたSF作品。198□年12月20日、世界中の人々が同じ夢を見た。以来R-ドリームと呼ばれる夢の世界に人々は引き込まれる。美大浪人生・西荻北斗はR-ドリームにおいて、戦士ホクトとして敵であるゼルと戦っていた。そんなある日、ホクトは最強の戦士と呼ばれる謎の少年・リュオンと出会う。
SF系作品に定評のある佐々木淳子の代表作。主人公の北斗(R-ドリームのホクト)は日々を漫然と過ごしている美大浪人生。そんな彼はR-ドリームでリュオンに出会い、この夢の世界に強く関心を持つようになる。R-ドリームでは現実世界の人間がなんらかの姿で存在する。だがR-ドリーム内で侵略者・ゼルに殺されたり、別の原因でも死亡すれば、現実世界でも命を落としてしまう。R-ドリームで最強の戦士と呼ばれる少年・リュオンは現実世界での自分を一切思い出せず、他の者が目覚めて現実に戻っても孤独に戦っていた。そんなリュオンのため、北斗は彼の正体を見つけると約束する。だがリュオンの正体を追う内に、彼らはゼルやR-ドリームの非情な真実に辿りついてしまう。
古代超人類の血を引く主人公・小松崎蘭と、彼女の力を狙う秘密結社タロンとの闘いを描いたサスペンスSF作品。蘭は「古代超人類」の持つ超能力「紅い牙」の継承者であった。しかしその力を隠し、普通の少女として生きようとしていた。だが、蘭に秘密結社タロンの魔の手が次々と襲い掛かり、彼女の大切な者をも巻き込んでいく。
本作の主人公・蘭は、古代超人類が持っていた超能力「紅い牙」の力を有していた。両親は飛行機事故で亡くなり、蘭は狼に拾われて五歳まで育てられた。そんな過酷な宿命を持つ蘭は、その力を秘密結社タロンに狙われ、彼女を護るために普通の少女として育ててきた養父も殺されてしまう。闘いのなかで相思相愛だった恋人・バードも記憶と生身の体を喪う。本作は大きく分けて八部構成になっており、第七部からはもう一人の超能力者、ソネット・バージとのダブル主人公で綴られる『紅い牙 ブルー・ソネット』シリーズになっている。このソネットは蘭と同等の超能力を持ち、そのために陰惨な過去を持つ少女だ。タロンのスカウトに乗りサイボーグの体となり、蘭と闘いを繰り広げる。