江戸時代末期といえば、新選組、白虎隊など様々な志士達が、激変する時代の中で己の命をかけて戦った時代。
この物語は後に幕府の遊撃隊第二番隊長となる“伊庭八郎”(いばはちろう)を描いたものだ。
小さい頃の彼は、とても病弱な少年だった。
少し動けば熱をだす。薬湯ばかり飲んでいるので食事もまともに喉を通らない。何故自分はこうも病弱なのか。少年は悩んでいた。伊庭家は江戸でも名の知れた四大道場の一つ「心刀形流」の錬武館という剣術道場を開いている。八代目当主伊庭軍兵衛秀業の長男として生まれたからには、できれば父や兄弟子たちにまじり、剣術を習いたかったのだが、病弱な身体では道場にでることも難しく、書庫にこもり本を読みふける毎日を送っていた。
ある日一人で屋敷を出た八郎。途中船酔いで体調を崩し、休んでいたところを、生涯の友となり、一の子分となる板前の“荒井鎌吉”と出会うのだった。
板前の鎌吉は、病弱な八郎に町人たちが食べているうまい食べ物を食べさせる。食事とは生きる手段である、と割り切っていた八郎に対して、鎌吉は言う。
「不味い不味いと思いながら幾ら詰め込んだってイイ血肉にゃならねぇ。」
鎌吉においしい寿司や、色々な食べ物、さらには遊びを教えられながら、だんだんと強く頼もしくなっていく八郎は、やがて剣の道へと邁進していくことになる。
ヤングキングアワーズにて連載中、6月30日に最新3巻発売。